痴漢で被害者と示談する流れ。示談金・慰謝料の相場は?

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は痴漢・盗撮弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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痴漢は、強盗や殺人などの凶悪犯罪と比較すると「軽い罪だから簡単に解決できるはずだ!賠償金も安いはず!」とイメージされる方もいらっしゃるかと思います。

しかし残念ながら事はそう単純ではありません。

もし痴漢の疑いで捕まってしまったら、解決を早めるために早期に「被害者と示談」をする必要があります。

なぜなら、示談で和解できるか、できないかによってその後の人生が大きく変わるからです。

もしもご本人やご家族(夫・息子)が逮捕されてしまったならすぐに弁護士にご相談ください。当サイトでは「全国の痴漢に強い弁護士」も紹介しております。

お急ぎの方はトップページもしくは下記ページに戻って頂き、ご参考頂ければと思います。

今回は迷惑防止条例違反や強制わいせつなどの疑いで逮捕された場合の、示談金・慰謝料など損害賠償金の金額相場、また示談の流れなどもあわせて解説していきます。

逮捕後、示談を成立させるとどんなメリットがあるか

起訴される可能性が下がる

実は、迷惑防止条例違反や強制わいせつで逮捕されても、必ずしも「起訴」されるとは限りません。

起訴するかどうかは検察官に決定権があるので、検察官が、起訴をする必要がないと考えれば起訴されずに済みます。起訴されなければ、裁判所で有罪判決を受けることもありません。

そうすると、「必ずしも起訴されるわけではないのなら、示談そて和解しなくても良いのでは?」とお考えになるかもしれません。しかし、示談をすることにより、検察官が起訴を控える可能性が高まります。一方、示談をしないと、その後の流れをすべて検察官にまかせてしまうことになります。

起訴処分に踏み切られる可能性を少しでも減らすために、示談で和解を成立させなければなりません。

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刑事裁判の処分が軽くなる

示談が成立していると、被疑者の刑事処分が非常に軽くなる傾向があります。

検察官が起訴を選択した場合、裁判が始まりますが、その裁判において、裁判官が有罪か無罪かを判断して、有罪なら刑罰の適用、つまり「判決」が下されます。

その際、示談が成立していると、その刑罰が軽くなる傾向があります。

「強制わいせつ罪」など重い罪の場合、示談ができないと「懲役刑」が科されるおそれもありますが、示談が成立していさえすれば、強制わいせつ罪の痴漢でも「執行猶予」がつく場合があります。

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逮捕されても「前科」がつかない

逮捕されても、起訴前に示談で和解していると、起訴される可能性自体が低くなり「不起訴処分」となると、前科がつきません。

前科は、報道された場合や、ネットや近所で噂が流れた場合は、周りの人間に知られて、「前科者」とのレッテルを張られてしまいます。

また再犯した場合には、以前痴漢で罰金刑を受けていることが明らかになり、それも斟酌した上で処分が決定されることになります。

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痴漢示談金・慰謝料の金額相場は?

迷惑防止条例違反・強制わいせつ罪の示談金相場

示談して和解するということは、被害者に慰謝料を支払うことです。そうだとすると、示談金の相場がいくらくらいになるのかが問題です。

迷惑防止条例違反・強制わいせつ罪の示談金の相場については、ケースバイケースです。民事裁判で損害賠償請求訴訟を起こされても、100万円を超えることは少ないでしょう。30万円~50万円程度で示談をすることも多いです。

なお、示談金の金額相場は、加害者の収入や地位、年齢などによっても異なります。

一般的に、収入が高い人や社会的地位が高い人、年長の人などの場合、そうでない人より慰謝料(示談金)の金額が上がります。

社会的地位が高く収入も高額な人の場合、痴漢の示談金に数100万円を支払うケースもあります。

痴漢は弁護士なしで示談できる?

被害者と示談を進めるときには、必ず弁護士に依頼すべきです。

身柄を拘束されていた自分で示談交渉をすることはできませんし、また、自分ではそもそも被害者の連絡先がわからないことも多いからです。

たとえ自分で示談ができる状況が揃っても、相手に怖がられたり余計に刺激してしまったりするおそれが高いです。

弁護士なしで、当人同士で示談するには、痴漢事件ではまず難しいといえるでしょう。

起訴前に示談を成立させたいなら、まずは刑事弁護に強い弁護士に相談をしましょう。そして、弁護士を通じて示談を進めてもらうのが、正しい示談の進め方です。

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具体的な示談の流れは?

それでは、弁護士に依頼して示談交渉を進めてもらう場合、どのような流れになるのでしょうか?

大まかには、次のような流れになります。

  1. 弁護士が被害者の連絡先を入手
  2. 謝罪文を被害者へ送付
  3. 1回目の示談金額の提示
  4. 金額のすり合わせ
  5. 示談書を作成し、示談成立

まず「被害者の連絡先の入手」から始まります。

被害者が「連絡先を教えて良い」ということであれば、検察官を通して弁護士が被害者の連絡先を入手することができます。ただし、連絡先は加害者本人には通知されません。

そして、弁護士は被害者に「謝罪文」を送り、加害者が示談したいと望んでいることを伝えます。このとき、加害者の手書きの謝罪文を同封することなどもあります。

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相手が示談の話合いに応じてくれるということであれば、具体的な示談金についての話合いを行います。金額の提示は加害者側からすることが多いです。

その後、被害者側から返答があります。納得してくれたらその内容で示談が成立しますが、1回で納得してもらえることは少なく、たいてい「当初提示金額よりは高額」になります。

相手から高額な示談金の提示を受けたら、今度は加害者側がその条件を検討します。このようにして、双方が示談金についての条件をすりあわせて、合意ができたらその内容で示談が成立します。

もしも示談が成立したときには、弁護士が示談書を作成してくれるので、被害者と加害者が双方署名押印することとなります。そして、加害者は示談書の内容にしたがって相手に対する示談金の支払いをします。

合意できない場合もあり

これに対し、当初にこちらが連絡を入れても、相手が全く示談する気持ちがない場合や、示談の話を進めても双方に金額の合意ができない場合には、示談は成立しません。

その場合にはあきらめるしかなくなります。

特に痴漢した相手が「未成年」の場合は、その両親が激怒し合意できない可能性が少し高くなります。

お金の支払い・渡す方法

次に、示談が成立したとき、そのお金をどのようにして支払うのか渡すのかも問題です。

「手渡しのほうが、誠意があるのではないか」と考えがちですが、通常は、相手の指定する銀行口座に振り込む方法となります。

支払いについては、加害者が直接行うこともありますし、弁護士に示談金を預けて弁護士に支払ってもらうこともあります。

また、事案によっては、弁護士が相手の指定する場所に行って、相手に直接お金を渡すこともあります。その場合、加害者は事前に弁護士にお金を渡しておく必要があります。

このような損害賠償の支払い方法は、すべて「被害者の指定」にもとづくものです。こちらは、是非とも相手に示談に応じてもらわなければならないため、支払方法についても相手が主導権を持ち、基本的に相手の指定に従う必要があるのです。

示談金の支払い時期・タイミングに注意

示談金の支払い時期についても注意が必要です。

早期に示談を成立させたいのは、示談成立によって起訴を免れるためですが、そのためには、示談書の成立だけではなく「示談金の支払い」までが行われている必要があります。

示談書だけ作成して、「お金がないから支払いは1ヶ月後にしてほしい」などと言っていると、検察官が「実際には支払われないかもしれない」と判断して、起訴してしまうおそれもあります。

なお、示談金を振り込みで、送金した場合などには、確実に支払ったことの証拠が必要です。

「振込証」を手元に残して弁護士に渡し、検察官に提示してもらいましょう。

支払った証拠がなければ、検察官が「証拠がないなら支払ったかどうかわからない」などと言って、起訴してしまうおそれもあります。

分割払いは不可能か?一括払いでないとダメか

もちろん示談金は早期に一括で支払った方が良いですが、中にはどうしても一括払いができないケースもあります。

その場合、相手との話合いにより、分割払いにしてもらうことも可能です。たとえば、示談金を50万円と定めたら、頭金を20万円としてあとは月々10万円ずつ分割払いする、などの方法です。

ただ、この場合、評価してもらえるのは基本的に「支払い済みの分」だけです。

そこで、なるべく起訴前に多くの頭金を支払いましょう。そして、その後確実に支払いができることを説明する必要があります。

たとえば、会社員などであれば給料から支払いをすることが期待できますし、家族が連帯保証人などになっていると、支払いの確実性が高まります。

これに対し、定職に就いていないケースや、誰も保証していない場合などでは、その後の支払いの確実性を疑われて、当初支払い分のみが評価の対象になります。このことは、起訴か不起訴かの判断の場面だけではなく、裁判になった後の判決における情状酌量でも同じです。

まとめ

以上のように、迷惑防止条例違反・強制わいせつ罪で逮捕された場合には、不起訴処分を勝ち取るか恩情をかけてもらうためにも、早期に被害者と示談をする必要があります。

示談をして不起訴になれば、会社にも早期に復帰できて解雇やその他の不利益を受けるおそれもなくなりますし、前科がつくこともありません。

特に身柄拘束事件の場合、早めに示談を成立させる必要があるので、逮捕されたらすぐに弁護士に相談して示談をすすめてもらいましょう。

示談交渉を成功させるには、刑事事件が得意な腕の良い弁護士に依頼することが極めて重要です。自分や家族が痴漢で逮捕されたら、とにかく早めに弁護士を探して示談交渉を含めた刑事弁護を依頼しましょう。

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