痴漢の罪名!迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪は大違い
「ここにチカンがいます!」突然電車内で叫ばれ、駅員室に無理やり連れて行かれ、その場で現行犯逮捕されてしまいました。万…[続きを読む]
電車を使用して通勤する方にとって、痴漢事件は身近なものです。いつ自分が痴漢事件に遭遇するかわからないし、もしかすると被疑者・被害者となってしまう可能性があります。
上記のような、疑問を抱いている方がいると思います。そこで、今回はどこから痴漢になるのか?また痴漢の具体的な場所の種類や内容等について説明します。
そもそも「痴漢罪」という罪は存在しません。痴漢を罰する条例・法律は下記の2つです。
迷惑防止条例は、各都道府県が定めています。内容は微妙に異なりますが、禁止している行為はほとんど同じです。ここでは東京都迷惑防止条例を引用しています。
なお、迷惑防止条例違反は「6月以下の懲役又は50万円以下」の罰金に処されます(ただし常習として行うと1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
上記の通り、痴漢をすると、迷惑防止条例違反か強制わいせつ罪になります。それでは、両者を分ける基準はいかなるものでしょうか?両者を分けるポイントを簡単に言えば下記のとおりです。
ただし、服の上から触れる場合でも、暴力や脅迫を用いた場合には、迷惑防止条例違反ではなく「強制わいせつ罪」となることがあります。
迷惑防止条例と強制わいせつ罪の違いについて、詳しくはこちらをご覧ください。
ここでは、痴漢が行われる場所の例や痴漢行為の種類、その内容について説明します。
皆さんが想像する痴漢は、満員電車において、手で相手の胸や下半身等を触る行為と思います。しかし、痴漢行為はそれだけにとどまりません。例として、以下の行為が痴漢にあたることがあります。
また、有名な痴漢行為として、手で触れる行為以外に「押し付け痴漢」というものがあります。これは、手で相手に触れるのではなく、腕や下半身を相手に押し付けることを言います。
痴漢で処罰されるのは電車内で痴漢をした場合に限られません。迷惑防止条例の本件規定が、痴漢行為を「公共の場所・乗物で行った場合に処罰するもの」としているからです、
例として下記のような場所でも、(1)で紹介した行為を行うと、痴漢として扱われます。
Air Dropとは、iPhoneの機能で、自己が保存している写真を共有するものです。最近話題となっているAir Drop痴漢とは、この機能を用いて知らない相手にわいせつな画像を送り付ける行為です。
Air Drop痴漢は、「迷惑防止条例第5条1項3号」や「わいせつ電磁的記録頒布罪(刑法175条1項)」に該当する可能性があります。
なお、注意が必要なのは、痴漢として迷惑防止条例や強制わいせつ罪で処罰されるのは、これらの行為を「故意」に行った場合です。
つまり、満員電車等で意図せず周りの人に触れるなどした場合には痴漢で処罰されません。
もっとも、「故意ではない!」と主張したとしても相手がそれを認めないで争うといったことは多々あります。
痴漢を疑われた場合、後に逮捕されたり、裁判になる可能性があります。
しかし痴漢を疑われた場合に、逃げるのはお勧めできません。
後に身元が割れた場合に、自分が痴漢を行ったことが強く推認されるおそれがあるためです。
これを回避するには、痴漢を疑われた段階で弁護士に相談することが重要です。弁護士は、自分の行為が痴漢に当たらないという事を法的観点から適切に指摘してくれます。
なお、最近は偶発事故やトラブルに限定した「痴漢冤罪保険」「弁護士費用保険」なども登場しているのでこちらも併せてご参考ください。
痴漢の定義・意味、また痴漢と言われる行為には様々な種類があることがお分かり頂けたと思います。
しかし、自分がした行為が痴漢にあたるか否かを自ら判断するのは難しいです。そんな場合は、弁護士に相談し助けを求めるのが一番と言えるでしょう。