痴漢容疑をかけられ警察で上申書を作成!これからどうなる?
「先日、痴漢容疑をかけられ、警察署で上申書を書かされた!」 このようなことがあると、その後どうなるのか不安になる方も…[続きを読む]
もしも自分、もしくは自分の家族が盗撮をしてしまい、逮捕されてしまったら・・・。
弁護士、警察、検察官、一度でも関わったことがあるという人は決して多くはないはずです。
あまり想像したくないかもしれませんが、もしそのような事態になった場合、どのような流れで手続きが進むのでしょうか?
手続きの流れのほか、被害者との示談方法や示談金の相場、刑事事件においての弁護士の重要性についても必要な情報をまとめました。
基本的なことですが、「盗撮罪」という罪はありません。盗撮をした場合、「迷惑防止条例違反」もしくは「軽犯罪法違反」などの条例違反に問われることになります。
ただし意外と多いのが「盗撮した」という事実以外もあわせて罪を問われる場合ああります。たとえば盗撮のために他人の住まいや建物に勝手に入ったことによる「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」になることです。また撮影対象が18歳未満だった場合は「児童ポルノ法違反」に問われ刑法違反、つまり罪が重くなるわけです。
迷惑防止条例違反の罰則は自治体によって異なりますが、撮影した場合で「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」という程度のところが多いです。
また軽犯罪法の場合は「拘留または科料」となっていて、迷惑防止条例違反よりは軽い罰則となっています。
次に実際に逮捕された時の流れです。
盗撮に限りませんが、逮捕された場合の大まかな流れは下記のとおりです。
上記の流れにおいてそれぞれ注意すべきことはありますが、まず何より最優先すべき事項が「勾留」を回避し、「不起訴」を勝ち取ることが一番のポイントです。
ここでは各段階においての詳細は省きますので、関連ページをあわせてご確認ください。
盗撮をして逮捕された場合、ポイントになるのが「被害者との示談」です。
示談が成立するかどうかで、刑事事件の流れは大きく変わります。端的に言うと、「被害者と示談をすることで不起訴になる確率がぐっと高まる」のです。
不起訴になると、前科がつきません。
また、不起訴になったと同時に釈放され、身柄の拘束が解かれます。一方、起訴されてしまうと、裁判で「無罪」とならない限り前科がついてしまいます。
前科がつくと、就業規則によっては勤務先を解雇されてしまったり、就職活動の時に制限を受けてしまったりするなど、社会的な不利益を多く被ることになるでしょう。
詳しくは下記の記事もご参考ください。
それを避けるためにも、不起訴に持ち込めるように早い段階から策を講じる必要があるのです。
被害者は「不快な思いをした」ことによる慰謝料を加害者に請求できます。
これが一般的に「示談金」と呼ばれるものです。気になるのはその金額ですが、「相場」というのは実はあってないようなものです。
一般的には10~30万程度が目安になりますが、被害感情が大きい場合(例:繰り返し盗撮していた、ネット上に画像・動画が流出していたなど)や加害者の社会的地位によっては、さらに高い金額を請求されることもあります。
もちろん被害者の気持ちを第一に考えるべきではありますが、示談を早く成立させたいあまりに無理な金額の要求を飲んでしまうようなことがないよう、慎重に交渉に挑む必要があります。
特に刑事事件における示談は、弁護士に依頼することが不可欠ですから、必ず盗撮に強い弁護士に一度相談することにしましょう。
次に被害者との実際の示談の流れについてです。
では、前科が付かない=不起訴にするためには、どのようにすれば良いか項目ごとに見ていきましょう。
これは簡単で、「早ければ早いほどいい」です。
たとえば、被疑者が勾留されている場合、勾留期限(最大20日)までに起訴か不起訴かが決まります。
不起訴を狙うためにはそれまでに示談を成立させる必要がありますが、「示談しましょう」と言われてすぐに「いいですよ」と応じる被害者はほとんどいません。そもそも示談に応じてくれるのか、応じるとしたら条件は何か、など、何度も意見を交換しつつ着地点を探っていくことになるため、たいていの場合交渉には時間がかかります。
勾留期限(最大20日)までに示談を成立させ不起訴に持ち込むためには、できるだけ早く交渉に着手する必要があるのです。
先述のとおり、勾留事件の場合、勾留期限(最大20日)までに処分が決まりますから、デッドラインは勾留期限まで、と言えます。
もちろん勾留が決定する前、つまり逮捕から72時間以内に弁護士に依頼することが可能な状況なら、それが一番です。
身柄の拘束もすぐに解かれるので、示談成立は早いに越したことはありません。
できるだけ早期に示談を成立させることはその後の生活のために非常に大切なのですが「実際どう行動したらいいのかわからない」そう思う人も多いでしょう。
そんな時に頼りになるのが「弁護士」です。
刑事事件は1日の相談の遅れが、その後の加害者の生活に大きな影響を与えます。
家族が接見できないときでも、基本は弁護士なら自由に接見ができ、早い段階から示談交渉を開始することができます。
弁護士は刑事手続のプロです。事件の進み具合や今後の見通しなどもある程度はわかるので素早く行動をしてくれます。
加害者本人が「私はあなたを盗撮してしまったのですが、いくら払えば許してもらえますか?」などというように直接被害者と交渉するのは、現実的に考えてかなり難しいのが現状です。
しかし間に弁護士が入ることで、「弁護士さんとなら話をしてもいい」と態度が軟化する人も多いのです。
交渉のテーブルについてもらえるというのは非常に大きなメリットです。
示談書に「将来この件について何も請求しない」というような条項をきちんとした文言で盛り込むことは、刑事事件のみならず将来民事裁判に発展しないようにするためにも重要です。
法律の専門家を介さず当事者同士が適当な文章で示談をしてしまうと、その場はしのげても後から不備が発覚し、面倒な事態に発展することもありえます。法律の専門家である弁護士が間に入ると、法律的に効力のある書類を作成することが可能です。
このように、盗撮事件において「示談」を成立させることはその後の生活のために非常に重要です。そして示談を早期に成立させるためには弁護士の力を借りることが大切です。
盗撮に限らず刑事事件はとにかくスピードが命。相談は「早すぎる」ということはありません。盗撮で逮捕されてしまった、もしくは逮捕されるかも…と不安に思ったら、まずは弁護士へ相談してみてください。