執行猶予になる条件とその意味をわかりやすく解説!
執行猶予と聞くとなんとなく「許された。」「無罪とどう違うの?」などという漠然としたイメージ、疑問を抱いている方も多い…[続きを読む]
痴漢や盗撮は、法律の規定で禁止されています。
とは言え、痴漢や盗撮は「よくある犯罪」「軽い罪だ」と思われやすく、逮捕されても「裁判(起訴)まで発展することはないだろう」と考えがちです。
実際、弁護士に依頼して「示談によって不起訴で釈放」という例は珍しくありません(特に初犯の場合)。
しかし、これらの犯罪の罪が「軽い」と考えた結果、痛い目に遭うことがあります。
事件の内容によっては、釈放されず正式裁判になってしまうケースもあるからです。
正式裁判となってしまった場合には、「執行猶予」を得ることが非常に重要です。
「執行猶予」という言葉をテレビや雑誌で目にすることはあると思うのですが、具体的に何を意味するのか知っている方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、痴漢・盗撮で逮捕から執行猶予判決までの流れ、執行猶予は何か、痴漢・盗撮を弁護士に相談するメリットまで見ていきます。
痴漢行為は、各都道府県が定める「迷惑行為防止条例違反」、又は刑法の定める「強制わいせつ罪」となります。
法定刑は、東京都迷惑行為防止条例に違反した場合には「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、強制わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」です。
他方、盗撮は「迷惑行為防止条例」又は「軽犯罪法」で処罰されます。
迷惑行為防止条例違反の盗撮行為の刑罰は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」、軽犯罪法違反の場合は「1日以上30日未満の拘留または1,000円以上10,000円未満の科料」が科されます。
「執行猶予」とは、刑事裁判の判決において刑の執行を一時的に猶予することをいいます。
有罪判決が出された場合に、懲役~年となってても、執行猶予がついた場合、すぐに刑務所に収監されることはありません。この場合、執行猶予期間中に新たな犯罪を犯す等の行為をした場合に初めて刑務所に行くことになります。
執行猶予が付くか否かは、行為の悪質性、反省や前科の有無、被害者の処罰感情、示談成立の有無等諸般の事情を考慮して決せられます。
なお、よくある疑問として「執行猶予なら前科はつかないのか?無罪なのか?」というものがありますが、前科の有無は刑務所に行くかどうかとは関係なく、「犯罪認定されたか」どうかで判断されるため、執行猶予の場合は、有罪かつ前科がつくといえます。
次に、痴漢・盗撮事件で逮捕されてから判決までの流れを解説します。被疑者が実際におかれる状況や不安な気持ちについても見ていきましょう。
逮捕後は警察署内にて取り調べが行われ、事件についての状況説明などを求められます。
その後、警察は、検察官への身柄送致を行います(逮捕後48時間以内)。
そして、取り調べの時点で疑いが晴れる、あるいは留置の必要がないと判断された場合、釈放されることもあります。
ちなみに、この間家族と面会することはできません。弁護士との面会のみとなります。家族と面会できるタイミングは、逮捕後釈放された場合や、勾留された場合の接見時となります。
この際、一番辛いのは、「お前がやったんだろう?」と詰問を受けることです。
最初は話を聞いてくれた警察官も、次第に高圧的な態度で迫ってくることがあります。
仮に犯罪を犯していない場合には、ここで折れずに立ち向かう必要があります。
もっとも、犯罪を認めない場合には取り調べが長くなることも多く、釈放がなかなか行われないケースもあるでしょう。
被疑者は、昼間は取り調べのため、あまり留置施設にいることはありませんが、夜間は留置場にいなければいけません。留置場が混んでいる場合には、他の犯罪者と同じ部屋にいなければいけないこともあり、これにショックを受ける方もいます。
検察官が被疑者の身柄を受け取ったあとは、24時間以内に「勾留請求」をするかどうかが判断されます。
警察署から検察庁に移動し、検察官が被疑者からの話を聞いたあとに、勾留するかどうかを判断するため重要な面会を行います。
ただし痴漢・盗撮等の場合、全面的に罪を認め、身元がはっきりしている場合(逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合)には、勾留請求しないケースもあります。
勾留請求が行われない場合には、すぐに釈放され家に帰ることができるでしょう。
勾留請求が行われ、勾留が決まった場合には、原則として10日間釈放されません。必要と判断された場合には、さらに最大10日延長されることもあります。
勾留が行われたあとは、検察官が「起訴」「不起訴」の判断を行います。
不起訴となった場合にはその日のうちに釈放されますが、起訴となった場合には(保釈を求めない限り)そのまま勾留(被告人勾留)が続きます。
起訴後、約1ヶ月を目安に裁判が行われ、被告人が罪を認めている場合には、1度の審理で終了し、次回は判決という流れになります。
「実刑判決」「無罪判決」そして「執行猶予判決」のうちどれかが下されることになります。
痴漢や盗撮の場合は、よほど悪質であるか再犯でない限り、起訴が行われても執行猶予判決が行われることが多くなっています。
なお、正式裁判を行うほどでもないと判断された場合には、略式裁判(略式起訴)が請求される場合もあります。
痴漢や盗撮などの刑事事件を犯した場合に、弁護士に相談したほうが良いということを聞いたことがあるかもしれません。
「痴漢や盗撮で捕まった」あるいは「後日逮捕の可能性」があるという場合、実際、弁護士に相談すると下記のようなメリットがあります。
まず、一番のメリットは「被害者と示談ができる」ことです。
示談が成立したという事実は、刑事手続きで被疑者が不起訴になる、執行猶予付きの判決になる等、有利に作用するものです。
ただ痴漢や盗撮の被害者は、加害者と直接会って示談を進めたい人はまずいません。
仮に話をすることができたとしても「脅している」と取られてしまう可能性もあるため、示談を自分や身内が行うことは大変危険な行為です。
この点弁護士がいると、示談がスムーズに進みます。弁護士となら話してもよいという被害者も多く、示談後、事件解決まで最短で進むことができます。
また、後のトラブルの種とならないよう、正確な示談内容を記載した示談書を作成してくれます。
示談の成立により被疑者は「釈放までの期間が短く」なります
示談は、不起訴処分を受けるためにも重要なステップです。示談があるのとないのとでは、事件解決までの時間に大きな違いがでます。
示談があれば逮捕後「2〜3日で釈放」もありますが、なければ何週間も外にでられないこともありえます。
1人で警察官や検察官と対応している場合、いくら「早く外に出たい」といっても、捜査が終わるまでなかなか釈放はしてくれません。
加害者側に弁護士がいれば、早く釈放するための手立てを打つことができます。示談をできるだけ早く取りまとめ、勾留請求前に釈放してもらえるよう尽力できるのです。
弁護士は、被疑者の早期釈放のため、被害者との示談だけでなく、意見書を作成してこれを検察官は裁判官に提出し、被疑者に身体拘束の必要性がないと言うことを主張していきます。
被疑者が弁護士に依頼すると、罪が軽くなる可能性があります。
ご説明したように、痴漢や盗撮の場合、罰金刑が多く、支払えば解決すると思うかもしれません。しかし、これは一般的なケースをお話ししているだけであり、すべてのケースがそうであるとは言えません。
実際のお話しを聞くと、悪質と判断される内容であったり、状況的に不利な場合もありえます。とくに、常習性があると判断された場合には、実刑判決の可能性も捨てきれないのです。
懲役刑の可能性もある場合には、できるだけ早く弁護士をつけ、示談の成立により刑を少しでも軽くすることが適切です。
以上が、弁護士をつけるメリットとなります。この中でも、弁護士をつけることで示談が可能になることは大きなポイントです。ぜひ検討してみてください。
「痴漢事件や盗撮事件なら、放っておいても執行猶予判決になる」と甘く見ている人もいるかもしれません。
確かに、初犯であればその可能性も高いでしょう。
しかし、判決が出るまでの間に時間がかかれば、社会生活に多大な影響を与えます。友人や会社にばれたくない、家族に迷惑をかけたくない、さまざまな想いがあるでしょう。
これらを解決するためには、一刻も早く釈放され、不起訴にするしかありません。
もっとも、再犯など、余罪が出て来ればそれも厳しい可能性があります。今後、普段の日常生活に早く戻りたいと考えるなら、まずは弁護士に相談しアドバイスを求めるべきです。