AirDrop痴漢で逮捕。その後の流れと弁護士依頼のメリット

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は痴漢・盗撮弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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airdrop痴漢

AirDrop痴漢が流行中。痴漢で捕まったらどうなる?

最近では痴漢事件がメディアで報道されることも多くなりましたが、これまでとは違う手口の痴漢行為も目立つようになってきました。最近話題になっているのは、AirDrop痴漢(エアドロップちかん)という手法です。

AirDropテロ、iphone画像テロなどと呼ばれることもあります。

駅のホームなどでiPhoneの機能を利用して、知らない相手にわいせつな画像を送りつける行為が問題となっています。いたずらでやってしまう方もいるかもしれませんが、これは痴漢事件として逮捕される可能性があります。

そこで今回は、AirDrop痴漢で逮捕された場合の罪名、刑罰の重さ、逮捕後の流れ、弁護士に相談するメリットについてご説明します。

AirDrop痴漢とは

まずは、AirDrop痴漢の内容や実際にあったイタズラ事例を見ていきましょう。

AirDrop痴漢は、iPhoneの便利機能を悪用した新種の痴漢行為

Airdrop痴漢とは、iPhoneのファイル共有機能を悪用し、見知らぬ相手にわいせつ画像を送りつける迷惑行為を指します。駅のホームで電車を待っているとき、駅構内で誰かと待ち合わせしているとき、駅構内を歩いているときなどに、いきなり自身のiPhoneに大量の画像が送られてきます。画像を開いてみると、わいせつ画像や不愉快な画像が送りつけられているというものです。

iPhoneのファイル共有機能の名称であるAirDropは若い世代を中心に利用されています。iPhone同士なら、友人と撮った写真などをメールやアプリに添付せずにBluetooth機能を使って送信することができるため大変便利な機能であり、この機能を理由にiPhoneを購入する方も多いそうです。送信できるものは写真だけでなく、動画や位置情報、連絡先、URLなどさまざまであり、使いこなせばさまざまな利用方法が考えられますが、これが悪用されています。

最近では、ナンパ目的でAirDrop機能を利用してメッセージを送ってくる人もいるため、iPhoneを利用している方は、AirDrop機能の詳細設定をするなどの対策が必要です。

本当にあった!AirDrop痴漢で逮捕

最近話題になった事件としては福岡県で起きた事件が有名です。

37歳の男性が電車内で34歳男性のiPhoneにわいせつ画像を送信して書類送検されました。逮捕された男性は、何度もこのような行為を行っていたようです。

この事件では、被害にあったのはたまたま男性でしたが、ツイッターなどでは女子高校生がiphoneの悪用によるAirDrop痴漢の被害にあったことを多数報告しています。いきなり画像が共有され、よくわからず誤って「受け入れる」を選んでしまい、わいせつな画像を見てしまったというケースが多いようです。送られてくる画像の種類としては、以下の通りです。

  • 女性のわいせつ画像
  • 男性のわいせつ画像
  • バカ殿の画像を大量に送付
  • 不愉快・恐怖を抱くような画像

このように、わいせつ画像だけでなく、嫌がらせ・いたずら目的で見た人が不快になる画像が送られてきます。

AirDrop痴漢の法律と刑罰

AirDrop痴漢で逮捕の事例が出ていますが、どのような罪名で検挙されているのでしょうか。AirDrop痴漢を規制する法律と刑罰を見ていきましょう。

迷惑行為防止条例違反|6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

AirDrop痴漢に関しては、他の痴漢事件と同様に迷惑行為防止条例違反で立件されています。具体的には、各都道府県によって異なりますが、東京都の迷惑行為防止条例5条1項3号とほぼ同等の内容の条例によって以下のような形で規制されています。

“何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行
為であって、次に掲げるものをしてはならない。…人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。(東京都迷惑行為防止条例5条1項3号)”

通常の痴漢の場合は、条例5条1項1号で規制されるのですが、airdrop痴漢の場合は、直接身体に触れることがないため、3号で規制されます。また罰則としては、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金(同法8条1項2号)」が規定されています。

こちらの条例は、主に卑猥な画像を送りつけたケースについて問題としていますが、わいせつ画像ではなく不快な画像であっても、迷惑行為として警察から注意を受けるケースもあります。

わいせつ電磁的記録頒布罪|2年以下の懲役もしくは250万円以下罰金など

次に問題となりうるのが、刑法のわいせつ電磁的記録頒布罪(刑法175条1項)です。

こちらの条文では「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者」あるいは「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者」が罰せられます。

この法律は、インターネット上でわいせつ画像を公開する、SNSなどで共有する行為などを規制しています。AirDrop痴漢に関しても、これらと同様に、iPhoneの送信機能を使ってわいせつな電磁的記録を送りつける行為にあたるため適用される可能性があります。

こちらの法律で立件されると「二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科」に処される可能性があります。迷惑行為防止条例違反よりも重い罪であるため、よほど何度も繰り返し行っていたか、AirDrop痴漢以外にもわいせつ画像をインターネット上で公開していたケースなどで適用される可能性があります。

実際に逮捕された事件では、迷惑行為防止条例違反が適用されていますが、わいせつ電磁的記録頒布罪も適用可能と考えられるため、知っておくべき法律です。

AirDrop痴漢で逮捕されるとどうなる?

AirDrop痴漢の多くは現行犯逮捕となっています。誰から送りつけられてきたかわからないケースもありますが、被害者が注意深く周囲を見渡したときに怪しい人物を見つけ、警察に通報するようです。

逮捕〜勾留請求まで3日間

スマホの画像の証拠などをきっかけに逮捕されてしまった場合は、その後48時間は警察署内で拘束され取り調べを受ける可能性があります。否認しているケースや余罪が疑われる場合は、この時間内に釈放されず拘束が続きます。その後、検察に身柄が送致され、送致から24時間以内に勾留請求を行うかどうかが決定されます。逃亡の可能性や証拠隠滅の可能性があると裁判所が判断した場合には、請求が認められ勾留が決定します。

勾留は最大20日間

勾留が決まると、原則として10日間、延長があればさらに10日家に帰ることはできません。勾留中に、検察によって起訴・不起訴が決定され「起訴すべきだ」と判断した場合には1ヶ月程度で裁判が始まります。この間も必要があれば被告人勾留が続きます。

起訴〜裁判まで約1ヶ月

迷惑行為防止条例違反の場合は、罪を認めている場合に略式起訴といって裁判のない起訴を行うこともあります。この場合は罰金刑となります。正式裁判となれば、公判が開かれ99%以上の確率で有罪となります。有罪となれば、執行猶予でも前科がつきます。

ほんの出来心から始まったことであったとしても、上記のような流れで裁判まで進み、有罪となってしまうことがあるのです。罰金刑でも前科はついてしまうため、もし逮捕されたら早期の釈放と不起訴を目指すことが大切です。

弁護士相談するメリット

AirDrop痴漢で逮捕されたら、できるだけ早い段階で弁護士に相談すべきです。弁護士に相談するメリットは主に以下の3つといえます。

報道をおさえる

痴漢事件、特にAirDrop痴漢の場合は、世間の注目を集めやすい事件といえるため、内容によっては報道されてしまう可能性もあります。一旦実名で報道されてしまうと、インターネット上などから完全に消去することは難しく、犯罪を行ったこと自体がインターネット上に残ってしまう可能性があります。

インターネット上に残ると、企業の採用などにおけるチェックで引っかかってしまうなどの事態も考えられます。弁護士としては、将来への影響が出ないように、実名報道を控えるように意見書などを提出することで、被害を最小限に抑えることができます。

性犯罪に対する社会の目は厳しくなっているため、できる限り実名報道に対する対策を講じるべきです。

被害者との示談を早期成立

逮捕されてしまったら、被害者と示談をすることが不起訴・早期釈放への近道となります。

示談とは、当事者間の和解の性質をもつものであり、「当事者間では事件は解決している」として検察官の起訴・不起訴の判断に影響します。また、示談書では被害者が起訴を望まない旨の文言を加えることが一般的であるため、そのような文言を加えることができれば「処罰感情も小さい」と判断して不起訴の可能性も高くなります。

もっとも、性犯罪の場合当事者間だけで示談を成立させるのは難しいといえます。被害者は加害者とは関わりたくないと考えるのが一般的であるためです。第三者であり専門家である弁護士を挟むことで示談がスムーズに進みやすくなります。示談に必要な内容や示談金の相場なども熟知しているため、早期示談成立も望めるでしょう。

不起訴になれば、前科もなく罰金もありません。将来への影響を少なくする手段をしては一番効果的です。

事件を早期解決

刑事事件はスピード勝負といわれています。弁護士がつけば、逮捕後3日間以内の釈放を目指します。

これ以上の拘束となれば、会社を休む言い訳もできなくなり、逮捕を告げるしかなくなってしまいます。社会生活に影響が出ないよう、早期に弁護活動を開始することが大切です。

警察に逮捕されてしまった後でも、必ず長期に拘束され、勾留・起訴となってしまうとは限りません。逮捕された時点で弁護士に依頼すれば、すぐに釈放が叶うこともあります。刑事事件の弁護活動は、ご自身では難しいからこそ弁護士に依頼すべきといえるのです。

ご家族が逮捕された場合でも同様です。ご家族が接見できるのは勾留が決まった後です。それまでにコンタクトを取りたい場合は、弁護士が必要となります。

以上が、AirDrop痴漢事件を弁護士に依頼するメリットです。逮捕された場合はもちろん、逮捕される可能性がある場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。示談を早期に成立させ、将来への影響を最小限にすることが大切です。

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