スマホで盗撮は危険!絶対に捕まる理由とは?
盗撮は常習性の高い性犯罪であることはよく知られているかもしれません。実は、使われる道具もこれに影響している可能性があります。というのも、盗撮で検挙されている事犯において、盗撮道具として押収されたもののほとんどがスマホということがわかっているからです。スマートフォンの普及で、生活が便利になった一方、犯罪にも使われるようになってしまったのは皮肉です。今回は、盗撮の現状からスマホで盗撮すると捕まる理由、スマホ盗撮で逮捕された場合の影響までを解説します。
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盗撮の現状
まずは、近年の盗撮犯検挙の統計から、実際の状況を理解していきましょう。
盗撮の検挙率
では、近年どれくらいの盗撮行為が確認されているのでしょうか。
検察庁の平成26年度の犯罪白書によると、迷惑防止条例違反のうち、盗撮事件の検挙率は、3265件が報告されています。そして、この統計には、どのような時間・場所で多く報告されたのかという統計も記載されています。犯行時間では、15時〜18時が27.9%、18時〜21時が19.8%となっており、夕方から夜にかけての時間帯に盗撮行為が多く行われていることがわかります。
盗撮場所
また、犯行場所は、駅構内が32.2%、ショッピングモール等商業施設が28.5%となっており、多くの人が行き交う場所において犯行が行われていることがわかるでしょう。
このように、1年間だけで3000件以上の盗撮行為が行われており、犯行時間としては夕方から夜にかけてから多くなっていることがわかります。また、世間でのイメージ通り駅での盗撮が多い結果となっているようです。
盗撮手段
では、盗撮にはどんな器具が用いられているのでしょうか。
スマホ・携帯電話
同年の検察庁の統計によると、盗撮行為に使われていた道具として一番多かったのがスマートフォン・カメラ付き携帯電話であり、全体のうち70.9%を占めています。次に多かった道具が、小型(秘匿型)カメラの11.0%であることを考えると、ほとんどの盗撮行為が今はスマホで行われているということがわかります。一昔前までは、盗撮行為を行う人は、見つからないようにペンに小型カメラを設置しているなどの情報もありましたが、今ではスマホが一番使いやすい盗撮道具となっているのかもしれません。スマートフォンの普及により誰もがカメラマンになったと言われる時代ですが、犯罪行為に使われてしまうのは悲しい現実ですね。
このように、盗撮行為には、スマホが一番使われているという現実があります。また、これは検察庁の統計であるということからすると、検挙されやすいのがスマホによる盗撮であるということも言えるのかもしれません。
スマホ盗撮が検挙されやすい理由
では、なぜスマホによる盗撮行為がこれほど多く検挙されているのでしょうか。
スマホの利便性の高さ
まず、考えられるのがやはり利便性だと推測できます。
手軽に高画質な動画や写真がスマホで撮れるようになったので、わざわざ盗撮用の小型カメラを使う必要がなくなったということが理由に挙げられるでしょう。盗撮犯でなくとも、歩きスマホをする人は駅や商業施設にはたくさんいます。そんな人たちの中なら紛れこみやすく見つからないという感覚があるのかもしれません。そうすると、スマホが盗撮行為に使われやすくなり、数の多さから検挙率も高くなるという結果が想定できます。
また、毎日持ち歩くスマホであるからこそ、盗撮に対する心理的ハードルも下がるということもあるでしょう。ゲームやアプリを操作する感覚で盗撮行為に走りやすくなるという側面もあるかもしれません。仮に見つかっても、スマホを見ていただけだと言い訳できるという事情も影響している可能性があります。
「スマホで盗撮する」という世間のイメージ
スマホ盗撮の検挙率が高いのは、周囲の意識の変化も影響している可能性があります。
メディアや新聞、さまざまな報道によって、「スマホで盗撮が行われた」ということを見聞きする機会は増えました。女性だけでなく、男性であったとしてもスマホで変な行動をとっていると、怪しんで見てしまうという傾向はあるかもしれません。昔なら、盗撮する人は、オタクっぽい印象で、挙動不審で、特殊な道具で女性を狙っているというイメージがあったと思います。しかし、今のイメージは「スマホ」です。しかも、痴漢と同様の犯罪と認識されているため、痴漢の犯人と同様に、普通の真面目そうなサラリーマンであっても、盗撮行為を行う人がいるんだという世間一般の認識が広がっています。このような背景が、スマホによる盗撮に気づく要因となっているのです。
スマホで盗撮行為は、どう見てもバレやすい
盗撮を行うんだから、見つからないように気をつけて盗撮行為を行っている人が多いはずです。しかし、よく考えてみてください。実際、スマホによる盗撮でよくあるシチュエーションは、エスカレーターや階段です。段差によって盗撮しやすいシチュエーションとなってしまいます。そして、階段などでスマホのカメラを上に向けて、女性のスカート付近を狙っているように見えたら、明らかに目立ちますよね。
歩きスマホが一般的になっているので、スマホ自体持って歩いていても不自然ではないですが、カメラを上に向けて撮っているときの挙動というのは誰が見ても少し不自然です。また、「スマホが撮りやすい」と思っている盗撮犯は、ふとした出来心で行ってしまう人が多いと思います。実際、周到に準備して盗撮に走った盗撮犯は少なく、そのときの心理状況などが影響して「出来心」から盗撮行為をしてしまったという人が多いのです。とすると、バレにくい態勢を自分で作り、まるで盗撮のプロのようにカメラを向けるなんてことは不可能に近い、ということです。
スマホは盗撮の手段として使いやすい道具であるのかもしれません。しかし、周囲から見てみると、行動などから明らかにわかりやすいというデメリットもつきまといます。心理的ハードルは下がっても、実際の行為はバレやすくなっているということでしょう。
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スマホで盗撮する理由
これほどバレやすいスマホでの盗撮スタイル。なぜ、ここまで普及してしまったのでしょうか。
盗撮に使いやすい機能性がある
まず、考えられるのはスマホの使いやすさです。毎日使っているものだからという点だけではなく、盗撮時に懸念されるシャッター音について、アプリで簡単に消すことができるということも影響しています。昔は、盗撮の危険性から日本においてはシャッター音が消せるアプリは禁止されていました。しかし、いつからか解禁されるようになり、これを盗撮犯が使っているという現状があります。この機能により、ばれないと考えるようになりました。
参考外部サイト「iPhoneでカメラのシャッター音を消す3つの方法:無音カメラアプリ・動画撮影・iOSのバグ利用」
また、インスタ映えという言葉もあるように、撮った写真をキレイに加工するアプリはたくさんあります。仮に、常習犯で、撮ったものをインターネット上の掲示板などに載せようとしている場合、スマホで加工してそのままアップできるというのは、かなり利便性が高いアイテムということになるでしょう。
スマホ盗撮なら、多めにみてもらえるという期待感
また、スマホによる盗撮である場合、「初めてやったことなので許してください」と言いやすいということもあります。
スマホ盗撮が盗撮された女性に見つかってしまい、咎められるというのは想定できます。しかし、女性も「大事にしたくない」、「相手も初めてだといって謝っているので、消したことを確認したあとはそのまま逃がしてあげよう」という心理が働くことがあります。実際にその盗撮犯が、初めてやったことかどうかはわかりません。しかし、言い訳しやすい口実になることは確かです。警察に捕まったケースであったとしても、特殊な道具を使わずスマホを使っているんだから「出来心の初犯です」と言いやすいでしょう。
もっとも、実際のところはそんなに甘いわけではなく、逮捕後にスマホやPCの中身を調べれば、常習であるかどうかはすぐにわかってしまうので、無駄な抵抗といえます。しかし、犯人の心理としては、「見逃してもらえるかもしれない」という気持ちを持っている可能性はあります。
盗撮用器具を使うほどではない
「盗撮用の道具を使うほど自分はハマっていない」「小型カメラだと逆に本格的にやっていると思われるかもしれない」
このように考える人もいるでしょう。実際、盗撮用の道具まで買って盗撮行為を行っていると、自分は盗撮行為を止められずハマってしまっていると自己認識しやすくなります。しかし、誰でも使っているスマホで盗撮しているだけなので、「自分はそこまでではない」、「常習者と一緒にしないでほしい」、「魔がさして」、「ついつい/たまたまと言い逃られる」という心理状態が見え隠れします。
現実は、複数回行っていれば、特殊な道具を使っていようがいまいが常習犯です。自分では「捕まるはずがない」と認識しているかもしれませんが、常習で行っている限りいつかは捕まります。
このように、自分で犯罪行為を行っている認識から逃げようとしている心理状態が影響している可能性があります。自分は盗撮道具を使うほどではないので、大丈夫と思っている方は意外と多いのかもしれません。
盗撮する人の心理
では、そもそも盗撮する人の心理とは、どういったものなのでしょうか。
ストレス発散
盗撮を始めた理由は、「ストレス発散のため」というのはよくある話です。
実際、盗撮を行う人は、真面目で我慢強く、ビジネスでも成功している人が多いという傾向があります。地位のある職業についている人も多く、優秀な人が多いと言われています。そんな彼らがなぜ犯罪行為に手を染めるのか。それは、過度なストレスが原因です。仕事上や私生活上のストレスをうまく発散できず、スリルのある犯罪行為に走ってしまうケースがあります。性格的には、物やお酒への依存傾向が高く、自分の比を認めることができない人が多いそうです。
性格的傾向やストレスが相重なり、「出来心」で盗撮行為をしてしまったという方は数多くいると言われています。
性的趣向
性的趣向も盗撮行為に走る要因とされています。もともと、女性の体に対してだけではなく、下着に性的趣向が向いているという方は、盗撮行為に走る可能性を秘めていると言われています。もちろん、下着に性的趣向が向いている方が必ず盗撮をするということではありません。自分でも気づかない性的趣向を持っている方もいます。しかし、上述したストレスが引き金となり、突発的にコントロールが効かなくなり、衝動的に行動を起こしてしまうという事例があるようです。
常習性は、繰り返すほどに増していく
また、盗撮行為は常習性が高いと言われています。
一度だけのつもりが、複数回繰り返し常習犯となってしまうケースもあります。
一度目に捕まらず、盗撮が成功すると、その人は成功体験を得ることになります。これにより、何度も同じスリルと成功体験を得たいという欲求が高まり、やめられなくなってしまうのです。また、行為を続けるうちに、「本当は女性も喜んでいる」、「嫌がっていない」など女性に対して歪んだ認知を抱いてしまう人もいます。複数回行い、逮捕されなかった場合、「自分は捕まらないんだ」という意識が芽生え、何度もなんども繰り返し行ってしまうという傾向があります。
逮捕された盗撮犯の中には、「100回以上繰り返した」という人もいるのが現実です。
このように、盗撮は本人の性的趣向とストレスが相まって出来心で始まるケースが多いということがわかっています。そして、一度始めるとあとは依存症に近い形で、常習性の高い犯罪となっていくのです。
参考:盗撮の再犯率は30%前後!?心の病気?なぜやめられないのか。
盗撮で捕まったらどうなるか
では、盗撮行為で捕まってしまった場合は、どうなるのでしょうか。法律上の罰則や社会生活への影響を見ていきましょう。
常習の場合は2年以下の懲役刑の可能性もある
盗撮で逮捕された場合は、迷惑防止条例違反で捕まることがほとんどだと思います。ほとんどの地域では、「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が定められているケースが多く、常習であったケースでも、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」がほとんどとなっています。これだけでも十分重い罪なのですが、都心では、さらに厳しい条例を設けている場合もあります。例えば、東京都の迷惑防止条例では、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」(同法8条2項
)が規定されています。常習の場合では、「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が規定されており、通常の罰則の倍が課せられる可能性があります。
また、撮影された人が18歳未満であった場合、児童ポルノで立件されるケースもあります。児童ポルノ法は処罰が厳しく児童ポルノに当たる動画や画像を所持しているだけでも、罰せられます。所持の場合で、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」(7条1項)が課せられる可能性があり、撮影を行ったことがわかった場合には、「製造」と判断される可能性もあり、この場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」(7条3項)が課せられる可能性もあります。
さらに、盗撮行為については軽犯罪法にも規定があります。同法1条23号によると、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は1日以上30日未満の拘留、または1000円以上1万円未満の科料が課せられることが規定されています。
このように、法律上、盗撮行為は厳しく罰せられます。
何よりも社会生活への影響が深刻
法律上の罰則も厳しいですが、実生活への影響も大きいものとなります。
まず、実名報道の可能性があります。
実名報道されるかどうかは、事件の大きい小さいでは判断できません。小さな事件であったとしても報道される可能性はあります。弁護士がついていれば、報道しないように働きかけることも可能ですが、何の対策もしなかった場合、実名報道の可能性は否定できません。報道されると、盗撮行為を行ったことが全国に知れ渡ります。たとえ、不起訴処分で終わったとしても、社会的制裁は大きなものとなります。
また、仕事を解雇される可能性もあります。
盗撮行為が報道されなかった場合でも、逮捕後に勾留が続き、会社を休まなければいけない日が続くと、会社に不審に思われるケースもあります。最初は病気だという言い訳で通用するかもしれません。しかし、休みが続くと説明しなければいけない状況に追い込まれていきます。実際、盗撮で逮捕された人が企業を解雇されたというケースは数多くあります。公務員や教員の場合には、懲戒免職ということも十分に考えられるのです。
このように、実生活への影響も計り知れないものがあります。盗撮行為で捕まれば、家族も理解をしてくれず、離婚に至るケースもあり、逮捕だけでは済まない影響が出てくるのです。
盗撮は捕まります。更生のためにも、弁護士に相談を
スマホの普及により、簡単にできるようになってしまった盗撮行為。1回だけのストレス発散のつもりが、いつのまにか止められなくなってしまったという事例は数多くあります。被害に遭った女性が申告しづらいという現在の状況を考えると、実際の事件はもっと多い可能性が高いでしょう。今まで捕まったことがないから、次も捕まらない。絶対にそんなことはありません。いつか捕まるかもしれないと悩んでいるなら、カウンセラーや弁護士などの専門家に相談して助けを求めるようにしてください。小さな一歩が更生への大きな一歩につながります。