痴漢容疑における在宅事件と身柄事件の違いをわかりやすく解説
痴漢の疑いをかけられたとき、逮捕されてそのまま身柄を拘束されることもありますが、逮捕後釈放されて在宅のまま手続きが進…[続きを読む]
「先日、痴漢容疑をかけられ、警察署で上申書を書かされた!」
このようなことがあると、その後どうなるのか不安になる方もいらっしゃるでしょう。
また。上申書を書いた際に、後で警察から連絡が来ることもあり、このケースでは無視すると大変なことになってしまいます。
今回は、上申書には一体どんな意味・効力があるのか、また、後日逮捕されてしまうのかなど「痴漢事件の上申書」について詳しく解説します。
まず、上申書とは、痴漢行為などの犯罪があったときに警察に出す書類のことを指します。
特に決まったフォーマットはなく、基本的には、犯罪事実を認めているケースで書かされるものです。
被疑者が警察宛てに犯罪行為の具体的な内容を記載し「寛大なご処置をお願いいたします」という内容のものとなります。
犯行は衝動的なのか・計画的なのか、どのような行為態様だったのか(服の中か、服の上から触ったのか)などを事細かに書くことになります。
「実際に何を書いたら良いか分からない」という方もいらっしゃると思いますが、警察官がどんな内容を書くのかは説明してくれます。
不安になるかもしれませんが、実際にあったことを報告するだけですので、過度に心配する必要はありません。
なお、行為態様が悪質でなく、被害者が被害届を出さない場合に、念のため上申書を書かせるというケースが多いようです。
上申書を書いた後は、たいていの場合釈放されます。
具体的には、住所や勤め先など身元が明らかであり、前科がなく、そして十分な反省が見られる場合にそのまま家に帰すという方法をとることが多いようです。
もっとも、これで事件が終わりというわけではありません。
上申書で痴漢行為自体を認めた場合、そのまま何もお咎めがない場合もありますが、その後警察から連絡がくる場合があります。
警察から連絡があるかどうかは、検察が立件するどうかもしくは被害者が改めて告訴をしたかどうかなどによって変わります。
警察から連絡が来た場合、在宅事件として警察・検察官からの取り調べを受けることになります。
その後、検察官が起訴・不起訴を判断します。起訴になった場合は、裁判を受けることになり、判決が下されます。
では、逆に上申書で痴漢行為を認めなかった場合はどうなるのでしょうか。
否認している場合は、上申書を作成しないケースが多いようです(仮に作成したら、犯罪を認めたことになります)。
また、被害者の供述が曖昧で、事件性が低いと判断された場合は、住所などの身元を明らかにした上でその場で釈放されるケースもあります。
もっとも、被害者が被害届を提出した場合は、警察から呼び出しを受ける場合もあります。
その後は、上申書で認めた場合と同じように在宅事件として警察・検察による取り調べが行われ、起訴か不起訴かの判断がなされることになります。
このように、否認した場合は、基本的に上申書は作成しないでしょう。もっとも、絶対ではなく警察側の裁量によりますので、作成を指示されるケースもありえます。
先述の通り、上申書を作成する・しないに関わらず、後日警察から呼び出しを受けることがあります。
では、警察から呼び出しがある場合、いつくらいに呼び出されるのでしょうか。
これについて、はっきりとした期間などはわかりません。基本的には、警察の都合によって決められてしまいます。
それは1週間後かもしれませんし、1年後かもしれません。別の犯罪を犯した場合に、余罪として指摘されるかもしれません。
ただし、上申書を書くケースは、比較的罪が軽いと判断されたケースです。すぐに立件されないのならば、過度に心配する必要もないでしょう。
では、警察からの呼び出しを無視した場合どうなるのでしょうか。
警察から呼び出しがあっても、「自分の犯した犯罪が家族にばれるのを避けたい」という感情から、警察を無視し続ける人がいます。
警察からの呼び出しを無視しても法律違反となるわけではありません。
実際に、一度出頭しなかったからといって、すぐに問題が発生するわけではありません。
しかし、度重なる不出頭により「逮捕」されてしまう可能性があります。
上申書を書き犯罪事実を認めている場合、すでに事件として立件されている可能性があります。
この場合、出頭を何度も拒否すると、「罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れがある」と判断されてしまい、逮捕の必要性が高くなります。
以上から、警察から呼び出しがあった場合は誠実に対応しましょう。不安がある場合は、法律の専門家である弁護士に連絡してから出頭するのも良いでしょう。
仮に警察から連絡があった場合、すぐにでも弁護士に連絡し、示談の依頼を受理してもらうべきです。
というのも、示談が成立しているかどうかが起訴・不起訴にある程度大きく影響するためです。
とは言いましたものの、示談ってそもそも何?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。そこで、示談について軽く説明します。
示談とは、簡単にいうと、当事者の合意による和解のことです。これを確認・証明用に文書にしたものを示談書といいます。
示談は、様々な被害者(暴行、窃盗、交通事故等)との間で広く行われています。
法律問題の解決というと「裁判」をイメージする方が多いのですが、実際の法的紛争の多くはこの示談によって解決が図られています。
私的自治のもと、当事者同士で解決する方が望ましいと考えられているためです。
示談の文書では、合意内容や示談金の額などが細かく明記されます。
刑事事件においては、「被害者が許している」ということが書かれていることが重要となります。
では、示談をするためには、どのように進めれば良いのでしょうか。
痴漢事件の場合、相手方が「加害者とは話したくない」と主張する方がほとんどです。もちろん寛大な方もいらっしゃいますが、やはり性的被害で傷ついている方の気持ちを尊重すべきです。そのため、示談の話も拒否されるケースがあります。
したがって、加害者本人からの示談の申し込みは避け、第三者から示談交渉を行うのがベストといえます。
第三者というと、ご家族やご両親などが考えられるかもしれません。しかし、この場合も法律の専門家ではないため、示談の内容として適切なものかどうかをは判断できない可能性が残ります。
そのため、示談は弁護士に任せるのがベストと言えるでしょう。被害者も、弁護士となら話しても良いというケースが多くあります。
弁護士なら、法律の専門家であるため、示談の内容もしっかりと整えてくれます。また、示談だけでなく、警察とのやりとりについてもアドバイスをしてくれるため、どのように対応したら良いのかを状況に応じて判断できます。
何より専門家がついていることで、精神的にも楽になるはずです。
「上申書を書いて、自宅に戻されたけど、後日連絡が来た。」
そんなときは、専門家である弁護士に相談することが賢明な判断と言えます。