痴漢と被害届の関係は?被害届がなくても捜査される?告訴との違い

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被害届

毎日通勤電車やバスを利用するサラリーマンにとって、痴漢は決して人ごとではありません。えん罪を仕立て上げてくる女性もいますし、勘違いで被害届を出す女性もいます。中には、出来心で本当に触ってしまう、痴漢をすることもあるでしょう。

痴漢の疑いをかけられたとき、「被害届」が出ているのと出ていないのとではどのような取り扱いの違いがあるのでしょうか?「被害届」と「告訴」の違いについても押さえておきましょう。
今回は、痴漢の捜査と被害届の関係について、解説します。

1.そもそも被害届とは?

1-1.被害届とは

痴漢をしたり、していなくても疑いをかけられたりしたら、現行犯で逮捕されてしまうことが多いのですが、この場合、被害者から「被害届」が提出されていることが普通です。
被害届は、刑事手続きの中でどのような意味を持つのでしょうか?

被害届は、被害者が「犯罪被害があったことを捜査機関に申告する届出」です。捜査機関は、被害届の提出を受けると、その内容を受けて捜査を開始して証拠を集め、本当に犯罪が行われたという蓋然性が高くなると、被疑者を起訴して刑事裁判にかけるのです。

そこで、痴漢被害を受けたと思った被害者は、警察という捜査機関に対して「痴漢されました」という申告をします。警察はこれを受けて、被疑者を逮捕(現行犯逮捕)して、その後痴漢の捜査を開始する、という流れになります。つまり、被害届は、捜査機関の捜査の端緒(きっかけ)になるものです。

1-2.被害届の書き方と出し方

それでは、被害者が提出する被害届には、どのようなことが書かれているのでしょうか?その内容を確認しましょう。
被害届には、以下のような情報が記載されます。

  • 被害者の住所や氏名、電話番号、職業、年齢などの被害者についての情報
  • 犯罪行為の内容や発生日時、場所などの犯罪に関する情報
  • 犯人の氏名、住所、特徴などの犯人に関する情報
  • その他参考となる情報

これらの情報を全て記入しないと被害届を提出できないということではなく、たとえば犯人の氏名や住所が不明なままでも、人相や服装、推定年齢などを記載することによっても、警察へ被害届を提出することができます。

2.痴漢の罪はどのくらい?

2-1.痴漢の2つの罪

このようにして被害者から被害届が提出されて捜査が進むと、被疑者は有罪になってしまうおそれがあるのですが、そのとき、どのような犯罪が成立し、どのくらいの罪になるのかが問題です。

痴漢の罪は、2種類あります。1つは「迷惑防止条例」という条例による罰則です。これは、普通に被害者に触れて嫌な思いをさせたなどの「普通の痴漢」のケースです。迷惑防止条例違反の場合の刑罰は全国の自治体にもよるのですが、概して6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金刑になることが多いです。

そうではなく、より悪質な場合には、刑法上の「強制わいせつ罪」が成立します。
強制わいせつ罪が成立するのは、以下の2つのケースです。

  • 13歳以上の男女に対して、暴行や脅迫によってわいせつ行為をした
  • 13歳未満の男女に対してわいせつ行為をした

つまり、相手が13歳以上であれば、暴行や脅迫をしてわいせつ行為をした場合が対象となりますが、13歳未満の子どもにわいせつ行為をしたら、手段を問わず強制わいせつになってしまいます。強制わいせつ罪が成立すると、6ヶ月以上10年以下の懲役刑になります。

2-2.どういう行為をするとどちらの罪になるのか?

痴漢をしたとき、どのような行為をすると、上記のそれぞれの罪が成立するのでしょうか?

まず、迷惑防止条例違反になるケースです。こちらは、たとえば電車の中で服の上から相手の身体に触れた場合などです。
これに対し、強制わいせつが成立するのは、たとえば服の中まで手を入れて身体を執拗に触った場合や、相手を脅迫したり暴力を振るったりして相手の身体を触ったケースなどです。強制わいせつは「暴行または脅迫を用いて」とありますが、実際に脅迫的な言動をしなくても、わいせつ行為自体によって相手が畏怖してしまうことになるため、悪質な痴漢行為をすると、当然のように強制わいせつになります。

3.被害者は、必ず被害届を書くのか?

被害届が提出されると、引き続き捜査が行われるので逮捕されたり起訴されたりするおそれが高いのですが、被害者は必ず被害届を書くものなのでしょうか?
痴漢被害があっても、被害者があえて被害届を書かないことがあるのかが問題です。

実際には、痴漢被害が起こったり、被害者が被害を受けたと感じたりしたときにも、被害届が提出されないことはあります。それは、被害届を出すと、被害者にもそれなりの負担が発生する可能性があるためです。そのことについては、項を分けて説明をします。

4.被害届が出ないと、釈放されるのか?

被害者が被害届を提出しなかった場合、被疑者はどうなるのでしょうか?痴漢被害が発生した後の経過について、時間の流れに従って確認しましょう。

電車の中などで痴漢が発生したとき、被害者は「痴漢です」などと言って、被疑者を駅員室に連れて行きます。このとき、逃げようとしても周囲の人が手伝うことがありますし、逃げると後で「どうして逃げたのか」ということになり、かえって不利になるので逃げてはいけません。そして、駅員室に着くと、警察を呼ばれます。

警察がやってきたら、警察は被害者に対して「被害届を提出しますか?」と尋ねます。このとき、被害者が「出します」と言うと、警察は被害者の被害届の用紙を渡して書いてもらい、受理します。そして、被疑者を「現行犯逮捕」します。これが、もっともよくある痴漢のパターンです。

これに対し、警察が被害者に「被害届を出しますか?」と聞いたとき、被害者が「やっぱり出しません」ということがあります。実際に、被害を受けたところで、被害者には被害届を出さないといけない義務はありませんから、警察を呼んではみたものの、やっかいごとが嫌になって被害届を出さない人もいるからです。この場合には、ほとんどのケースで被疑者は解放されます

そこで痴漢の疑いをかけられたとき、被害者が被害届を提出しない場合には、逮捕されて警察の留置場に収監されることがなく、そのまま解放されると考えて良いです。

5.被害届がなくても捜査は継続される?

被害届が提出されない場合には、通常は、被疑者はそのまま解放されて家に帰ったり出勤したりすることができて、普通の日常生活に戻ることができます。しかし、この場合、痴漢が「なかったこと」になるわけではありません。そうなると、被害届が提出されなくても捜査が継続されるのかが心配になります。

まず、被害届が提出されないと、警察があえて迷惑防止条例違反で捜査を継続することは少ないことは確かです。ただし、犯罪行為には公訴時効があります。公訴時効とは、検察官が公訴提起できる期間のことあり、公訴提起とは起訴のことですから、公訴時効の期間中であれば、いつでも捜査をして公訴提起することができるのです。

また、この間いつ被害者から被害届が提出されるかもわかりません。被害届は、被害があってすぐに提出しなければならないというものでもなく、いつでも提出することができるのです。そこで、痴漢行為が行われて、後日になって被害者の気が変わって被害届が提出されることもあります

このように、事件当初には被害届が提出されなくても、後日被害届が提出されると捜査が開始されますし、ある日突然逮捕される可能性もあるので、安心してはいけません。

5-1.現場で警察を呼ばれた場合

犯罪時に被害届が提出されなかった場合の捜査については、その場で警察を呼ばれたかどうかによって、大きく展開が異なってきます。

まず、いったん現場で痴漢を発見されて警察を呼ばれ、話を聞かれたけれども被害者が被害届を出さずに解放された場合には、後日被害者の気が変わって被害届が提出されると、突然警察に呼び出される可能性が高いです。この場合、いったん警察が現場に来て状況を確認しており、警察としても痴漢が行われた蓋然性が高いという認識を持っているためです。

5-2.現場で警察を呼ばれなかった場合

これに対し、その場では被害者が何の申告もせず、数日後になって初めて警察に被害届を出したようなケースでは、証拠集めが難しくなることが多いです。また、犯人がどこのどういう人物かを特定することも困難ですし、目撃者なども探しにくいでしょう。警察も証拠がないことには逮捕状の発布を受けることが難しいので、こういった場合に実際の逮捕に至る例は、さほど多くはありません。

そこで、痴漢をしてしまった場合、その場で警察を呼ばれたら、たとえその場では解放されたとしても安心するのは危険ですが、その場で警察を呼ばれなかった場合には、その後になって捜査が開始される可能性はあまり高くはないのです。

6.被害届を出さないケースとは?書きたくない被害者もいるの?

痴漢被害が起こったとき、あえて被害届を出さない被害者もいると説明しましたが、それはいったいどうしてなのでしょうか?被害者が被害届を書きたくない理由や被害届を出すデメリットについて、説明をします。

6-1.面倒

まず1つ目に、被害届の書類を書いて提出するのが単純に面倒だということがあります。

電車に乗って会社に通勤をしようとしている女性などは、いちいち時間をとって被害届を書いて警察に提出するより早く会社に行きたいと考えることもあります。

犯人が反省をしていて「二度としません」と言って謝っているなら、被害届まで提出せずに済まそうと考えることがあるのです。ただし、このパターンの場合、後日考えを変えて警察に被害届を提出しに行くこともあります。

6-2.事件に巻き込まれることを嫌う

次に、「事件に巻き込まれるのが嫌」だというケースがあります。被害届を提出すると、その後警察が事件の捜査を始めます。被疑者を起訴するためには証拠集めが必要ですが、そのためには被害者の供述も必要ですし、実況見分などもしないといけません。そうなると、被害者は何度も警察や検察庁、事件現場に行ったりして、捜査に協力しないといけません。また、加害者や加害者の弁護士から連絡が来て、示談交渉などを持ちかけられる可能性もあります。こうした一連のごたごたに巻き込まれるのが嫌で、あえて被害届を出さない人がいます。

6-3.逆恨みのおそれがある

痴漢の被害者は、逆恨みの可能性を恐れることも多いです。

痴漢被害を受けると、非常におそろしい思いをします。加害者は被害者にとって見も知らない男性であり、どこのどのような人かもわかりません。前科がある人かもしれませんし、怖い人たちと付き合いがある人かもしれません。

そのようなわけのわからない人を相手に被害届を提出して関わり合いになると、その後加害者や関係者から仕返しをされるかもしれないおそれがあります。また、相手が普通の人であっても、被害届を提出されて警察に逮捕されて会社を解雇されたり家族が離散してしまったりしたら、自暴自棄になって襲ってくるかもしれません。

このように、逆恨みされることをおそれて、被害届の提出を躊躇する被害者も多いです。

6-4.刑事裁判に出頭しなければならない恐れがある

被害者が被害届を提出すると、その後加害者の刑事裁判が行われるとき、協力を求められる可能性があります。

刑事裁判では、検察官が被害者の供述調書を提出しますが、被疑者が事件の内容を否認していて被害者の証言が必要になったケースなどでは、被害者が検察側の証人として出廷しなければならないからです。

一般的な民事事件であっても、普通の人が裁判所に出頭をして証言するのは非常に大きなプレッシャーとなります。まして、痴漢の被害者として、加害者の目の前で被害事実を証言するのは、精神的に耐えがたいという人も多いでしょう。

実際には、迷惑防止条例違反の場合には、略式裁判になって刑事裁判が開かれないことも多いのですが、事件発生当時の被害者にはそのようなことはわかりませんから、「裁判に関わりたくない」と思って被害届の提出をやめる人もいます。

6-5.二次被害に遭いたくない

被害者が被害届を提出して警察が捜査を開始したら、その後被害者は何度も警察や検察に行って、痴漢の内容を事細かく説明しないといけません。普通、痴漢被害など一刻も早く忘れたい嫌な事実ですが、このように何度も繰り返し説明させられると、いつまでも忘れることができません。また、話したくないことを話すことが大きな精神的苦痛になりますし、捜査官が適切な質問方法をしなければ、二次被害が発生することもあります。

被害者の中には、こうした二次被害をおそれ、そんなことであれば早期に忘れるために被害届を提出せずに終わらせたい、と思う人もいます。

以上のように、被害者が被害届を提出しない理由はいろいろあります。反対に言うと、被害者が被害届を提出する場合というのは、こうしたデメリットがあってもあえて被害申告をして、犯人に罰を与えてほしいと考えていると言うことだとも受け止められます。

7.被害届が虚偽の場合、被害者に責任が発生する?

さて、被害届が提出された場合、内容が真実であるとは限りません。痴漢事件では、そもそもが被害者のでっち上げで完全にえん罪であることもありますが、そのように虚偽の被害届が提出された場合、被害者にも何らかの責任が発生するのでしょうか?

まず、被害者が「故意に虚偽の被害届を提出した場合」、被害者(と主張しているもの)は虚偽告訴罪という犯罪を行ったことになります。

虚偽告訴罪とは、「人に刑事処分や懲戒処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴や告発その他の申告をした」ときに成立する犯罪です(刑法172条)。

虚偽告訴罪という名前から、嘘の告訴をすると成立することはわかりやすいのですが、それ以外に、虚偽の被害届を提出した場合にも、やはり虚偽告訴罪が成立します。法定刑は、3ヶ月以上10年以下の懲役となっており、かなり重いです。

そこで、痴漢えん罪のケースで、相手が「示談金を巻き上げてやろう」などと思ってわざと嘘の被害届を提出した場合、その行為によって虚偽告訴罪が成立します。

また、相手が「痴漢された」などと周囲に触れ回ったりネットに書き込んだりした場合には、「名誉毀損罪」が成立し、3年以下の懲役または禁固、50万円以下の罰金刑となる可能性もあります。
このように、被害者がわざと嘘の被害届を書いて提出したら、被害者にもそれなりの刑罰が科されるおそれがあります。

ただ、被害者に虚偽告訴罪が成立するためには、「故意に」虚偽の内容の被害申告をする必要があります。勘違いした場合には、虚偽告訴罪にならないということです。

痴漢の場合、被害者が勘違いしたのかわざと嘘を言っているのかは、非常に証明しづらいです。実際にはわざとであったとしても、被害者が「勘違いでした。すみません」と言い続けると、それ以上「故意」を立証することが難しくなる可能性が高いでしょう。

そこで、痴漢えん罪で刑事裁判となり、最終的に無罪となって被害者の被害届が虚偽であったことが明らかになったとしても、被害者を処罰してもらうのは難しいことが多いのです。
明らかに被害者から離れた位置にいて、両手を上に上げていて「被害者に触れられる状態ではなかった」ということが明確なケースなどでもなければ、虚偽告訴罪によって相手を追及してもらうことは困難でしょう。

8.被害届が出た後の捜査の流れは?

さて、被害届が提出されると、現行犯逮捕されて捜査が始まるのですが、その場合、捜査の流れはどのように進んでいくのでしょうか?

8-1.在宅捜査か身柄拘束か

まず、このとき、在宅捜査になるのか身柄拘束されるのかの違いがあります。

在宅捜査の場合

在宅捜査とは、被害者の身柄を拘束せずに日常生活を続けさせながら捜査を続ける方法です。この方法の場合、被疑者は時折警察や検察庁に呼び出されて取り調べを受けたり、実況見分に立ち会わされたりします。この場合、いつまでに捜査をしなければならないということもないので、事件後数ヶ月くらい経ってからいきなり検察官に呼出を受けて、調書を取られて、ある日突然起訴されることもあります。

捜査が進んでいる間に被害者と示談が成立したら、不起訴処分にしてもらえる可能性が高いです。

身柄拘束事件の場合

次に、身柄捜査とは、警察に身柄拘束をされながら捜査が行われることです。被疑者が逮捕されるとそのまま警察の留置場に収監され、48時間以内に検察庁に送致されて、その後24時間以内に検察官が勾留請求をして裁判所が勾留の決定を出し、そのまま勾留されます。

勾留期間は原則10日ですが、その間に捜査が終わらない場合には、さらに10日勾留延長することができます。このように、身柄事件では最長23日の間に痴漢事件の捜査が行われて、勾留が満期になるときに、検察官が起訴するかしないかを決めます。このときまでに被害者と示談ができていたら、起訴されずに済む(不起訴処分)となる可能性が高いです。

身柄事件の場合、被疑者は警察の留置場に入ったままになるので、日常生活を普通に送ることは不可能です。家に帰ることもできませんし、会社に出勤することもできません。家族との面会も非常に限られたものとなり、外部との連絡も自由にできません。

8-2.不起訴になった場合

身柄事件の場合でも在宅事件の場合でも、不起訴になったら無罪放免になります。
身柄事件の場合にも身柄が解放されて自由になります。

8-3.起訴された場合

これに対し、起訴されてしまったら、そのまま引き続き身柄が拘束されて、刑事裁判が始まります。ただ、起訴されると保釈が認められるので、逃亡や証拠隠滅などのおそれが無い限り、保証金を積んで保釈してもらい、身柄をいったん解放してもらうことができます。

在宅事件の場合には、在宅のまま裁判が始まり、自宅宛に期日の召喚状が届きます。

裁判の期日には、検察側と弁護側がそれぞれ主張と立証を行います。被害者や目撃者が証人として呼ばれることもあります。最終的に被告人への質問が行われて、検察側と弁護側が最終の意見を述べて結審し、判決が言い渡されます。

8-4.略式起訴された場合

なお、迷惑防止条例で略式起訴が選択された場合には、裁判所で期日が開かれることがなく、裁判所が罰金だけを決定して、被告人宅に罰金の納付書を送ってきます。これを支払ったら一応すべてが終わるのですが、略式起訴の罰金刑であっても、一生消えない前科は残ってしまうことには注意が必要です。

以上のように、痴漢事件全体の流れはかなり複雑で、ケースによって異なる経過をたどります。ただ、どのような手続きも、被害者の「1枚の被害届」から始まっています。被害者が被害届さえ提出しなければ、このような捜査も裁判も行われませんし、前科がつくこともないのですから、被害届は非常に重要な書類であることがわかります。

9.被害届と告訴状の違いとは?

さて、ここまで被害届について詳しく説明をしてきたのですが、これと告訴状の違いがわからない、と言う声もよく聞かれます。そこで、以下では、被害届と告訴状の違いについて、説明をします。

9-1.被害届とは

被害届については、これまで説明をしてきたとおり、犯罪事実があったことを警察や検察などの捜査機関に申告するための届出です。提出するもしないも被害者の自由です。被害届けがなくても捜査が行われることはありますが、痴漢の場合には、被害届がないと捜査が行われないことが多いです。

9-2.告訴状とは

告訴状とは、被害者が加害者を処罰してほしいという意思を明確にするための書類です。
告訴状は、刑事告訴をするために提出されます。

ここには、被害者の氏名や住所、犯罪事実の内容、場所、時間、犯罪の態様、被疑者の氏名住所などが記載されますが、被害届よりも詳細な既述が必要になります。
罪名も明らかにして、犯罪事実のどの部分がどういった構成要件に該当するのかなども詳しく書くので、被害届よりも長文になりますし、内容も細かく詳細になります。
また、相手を厳しく処罰してほしい、という被害者による処罰意思を明確に記載する必要があります。告訴をするときには、証拠も一緒に提出することが多いです。

9-3.相手を処罰してほしいという意思の強さ

被害届と告訴状とは、どこが異なるのでしょうか?

まずは、相手を処罰してほしいという意思の強さが違います。被害届の場合には、単に犯罪事実があったことを捜査機関に申告するだけのものです。ここには、「相手を罰してほしい」という被害者の意思は含まれていません。

これに対し、告訴状は、単に犯罪が行われたというだけではなく、相手を罰してほしいという明確な意思・希望を明らかにするものです。

そこで、告訴状が受理されると、被害届が提出された場合よりも捜査機関は重く受け止めますし、捜査を開始することも多いです。また、捜査が行われた場合の被疑者(被告人)の処罰内容も、告訴状がない場合より厳しくなります。

10.被害届が事実と違う場合の対処方法とは?

10-1.やっていない事実を認めてはいけない

最後に、被害届に書いてある内容が事実と異なる場合、どのような対処方法をとったら良いのかを説明します。

被害届に記載されていることが100%事実と異なる場合(痴漢をしていない場合)には、明らかにえん罪ですから、被害届に書いてあることを全面的に否認して、事実を争うべきです。
また、被害届に書いてある事実と実際の行為が、一部異なると言うことも多いです。

この場合にも、やはり「実際にあったこと」を説明して、正しい内容で判断してもらう必要があります。

痴漢の場合、被害者が実際以上に犯行態様を悪質に説明していることもあります。何分くらい触っていたのかや触り方によって、起訴になるか不起訴になるかが変わることもありますし、略式になるかどうかや、刑罰の内容も変わってきます。

そこで、「どうせ痴漢したんだから、内容はどうでもいいや」などと考えて被害者の言うままの事実を認めるのは危険です。

刑事事件では、やっていないことを認めると、被疑者にとってどんどん不利な状態になっていきます。特に身柄拘束を受けると、不安な気持ちになる上に警察から脅されて精神的に追い詰められて、やってもいないことまで認めてしまう人が多いのですが、えん罪はそのようにして生まれるものです。
完全にえん罪の場合はもちろんのこと、被害届の内容が実際とは異なり大げさに書かれている場合にも、それを前提にせず、必ず自分として正しいと考える内容の主張を維持することが重要です。

10-2.刑事弁護に強い弁護士を頼ろう!

自分一人では捜査機関に対抗できないときには、弁護士に頼ることをおすすめします。

当番弁護士を呼んだり、家族に弁護士を探してもらったりして、とにかく一度早めに弁護士に面会に来てもらい、今後の対応を相談して、不利な供述をしないように対処しましょう。
在宅事件の場合にも、放っておくと起訴されてしまって一生消えない前科がついてしまうおそれがあることから、やはり早めに弁護士に相談をして、対処を考える必要があります。

このように、刑事弁護を依頼するときには、刑事弁護に強い弁護士を選ぶことが重要です。痴漢の刑事弁護はどのような弁護士でも取り扱っているわけではありませんし、取り扱っていても不得意なケースも多いためです。

刑事手続きでは、いったん不利な供述をしてしまったら、撤回するのが非常に難しいシステムとなっています。被害届が事実と異なる場合、不用意な発言をする前に、早期に弁護士の適切なアドバイスを受けましょう。

まとめ

痴漢をしたと言われて逮捕される場合、被害者から被害届が提出されていることが普通です。現行犯で逮捕されても、結局被害届が提出されなければそのまま身柄を解放されます。
ただ、その場では被害届が提出されなくても、その後提出されることで捜査が開始することもあり、安心はできません。

被害者が故意に虚偽の被害届を提出したら「虚偽告訴罪」が成立しますが、故意でない場合には犯罪にはなりませんし、故意の立証は簡単ではありません。
被害届と刑事告訴は、似ていますが性質や効果が全く異なるので、正確に理解しておきましょう。

被害届の内容に納得できない場合には、被害届とことなる事実を主張して、争うことも必要です。自分一人で対応が難しい場合には、刑事事件に強い弁護士に対応を相談しましょう。

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