接見を弁護士に依頼すべき理由と接見禁止の一部解除について
もしも家族が痴漢や盗撮などの容疑で逮捕された場合、「痴漢は性犯罪の中では軽い罪だから、すぐに本人と面会できるはずだ」…[続きを読む]
痴漢や盗撮の容疑で警察に逮捕されてしまった場合、多くの人がパニックに陥るでしょう。
自由な外部とのコミュニケーションが制限され、自分自身でどう対処すべきかわからず、非常に不安になります。
そんなとき、弁護士に相談できると心強いでしょう。
実際に、逮捕や勾留中の被疑者は、弁護士を呼ぶことができる制度があります。それが「当番弁護士制度」です。
この記事では、痴漢事件においても役立つ当番弁護士制度と、自分で選んだ弁護士との違いについて解説します。
「当番弁護士制度」とは、警察の留置場などに逮捕・勾留されている被疑者が「1回だけ無料で弁護士に接見」に来てもらえる制度です。
各都道府県の弁護士会が主体となって運営している制度で、被疑者の弁護人選任権といった重要な権利を守り、被疑者が不当な取り調べによって不利益を受けないようにすることを目的としています。
一方「私選弁護人」とは、被疑者や被告人が、自主的に弁護士を選んで自分で費用を支払って依頼する弁護人です。
なお「接見」については別途記事で解説しておりますので、併せてご参照ください。
先述した通り、当番弁護士は「一回だけ」しか接見に来てくれません。
一方、私選弁護人は刑事弁護全般を行ってくれるので、何度でも接見に来てくれます。
また、私選弁護人は当番弁護士とは異なり、被害者と示談交渉をして不起訴処分獲得のための活動をしたり、勾留執行停止の申し立てをしたりしてくれます。
起訴されたら保釈請求もしてくれますし、その他の起訴後の弁護活動もしてくれます。
当番弁護士は無料ですが、私選弁護人は費用負担が発生します。
私選弁護人に依頼する場合は、被疑者やその家族が弁護士費用を用意して支払をしなければなりません。
当番弁護士は、被疑者が自分で気に入った弁護士を選ぶことができません。
一方で、私選弁護人であれば、依頼したい人を選ぶことができます。
例えば、当番弁護士の場合、痴漢事件の解決実績豊富な弁護士が来てくれるかどうかはわかりませんが、私選弁護人の場合には、痴漢事件の解決を得意としている弁護士を選んで依頼することができるので、得られるメリットが大きいです。
当番弁護士と私選弁護人は違うものですが、当番弁護士に、引き続き私選弁護人になってもらうことは可能です。
資力のある被疑者の場合、当番弁護士を呼んで、その人を気に入って弁護活動をしてもらいたいと思ったら、お金を払って弁護人として選任すればよいのです。
ただ、当番弁護士をそのまま選任する気がない場合は、痴漢弁護に強い弁護士を選りすぐって依頼するのが良いでしょう。
さて、当番弁護士であれ私選弁護人であれ、「弁護士」を呼ぶと具体的にどのようなことをしてくれるのでしょうか?
まず、被疑者が不安に思っていることについて、質問に答えてくれます。
たとえば、これからどのような手続きが行われるのか、手続きの流れ、今後いつまで留置場に入れられるのか、裁判所で裁判にかけられてしまうのか、家族とはいつ会えるのかなど、気になることを具体的に説明してくれます。
また弁護士に依頼すると、家族に連絡をしてもらうこともできます。
逮捕されたとき、警察が家族に連絡をしてくれることが普通ですが、家族にしてみてもそのようなことは青天の霹靂です。
そこで、逮捕された理由や本人の状態、今後の流れ等を家族に伝え「大丈夫だ」と安心させることができますし、「一度面会に来てほしい」と伝えてもらったり、「~を持ってきてほしい」などと差し入れを頼んだりすると、家族とのやり取りがスムーズに進みます。
また、警察官による取り調べで「しゃべらなかったらいつまででも出さないぞ」とか「正直に言わないと、重い刑罰が科されるぞ」などと言われて脅されている場合にも、そのようなことは「ただの脅し」であることを教えてもらえて安心できます。
虚偽の自白をしないように、というアドバイスも受けることができます。
加えて、早期釈放を捜査機関に求める活動をしてくれます。
例えば、捜査機関に意見書を提出したり、被害者との示談交渉を行ってくれたりします。
更に、最終的に裁判になってしまった場合、被告人の弁護人として弁護活動をしてくれます。
痴漢弁護は私選弁護人に依頼するのがおすすめです。
私選弁護人なら、痴漢事件に強い弁護士を選んで依頼することができるので、その後の充実した弁護活動を期待できるからです。
刑事事件に強い弁護士は、ネット上の情報網を活用することで効果的に探すことができます。
多くの事務所は自分の得意分野を前面に押し出して「〇〇(刑事弁護、交通事故、借金問題など)なら当事務所にお任せ」のように重点取り扱い分野についての記載があることが多いです。
また、弁護士のプロフィールも載っていますし、たいていは写真も掲載されているので、経験年数や男女の区別、雰囲気などもわかります。
当サイトでも「痴漢・盗撮に強い弁護士」を掲載しておりますので、併せてご参照ください。
今回は当番弁護士について解説して参りました。
当番弁護士は、被疑者が一回だけ無料で呼ぶことのできる弁護士です。
接見に来てもらっていろいろとアドバイスを受けられるので非常に役に立ちますが、実際に弁護を依頼するときには、別の刑事事件に強い弁護士を選んだ方が、効果的に弁護活動をしてくれる可能性が高いと言えるでしょう。
刑事弁護はスピードが命です。
痴漢事件で捕まったら、一刻も早く、家族に私選弁護人を探してもらいましょう。
また、家族が痴漢容疑で捕まったのであれば、弁護士に依頼して接見に行ってもらうと良いでしょう。
痴漢事件で不当な不利益を受けないよう、良い弁護士を選んで適切な対処をしてもらいましょう。