警察からの呼び出し!事情聴取の内容と注意点

・警察から呼び出しをくらった!盗撮したことがバレた?
・任意同行って何?逮捕されるの?
突然、警察から呼び出しを受ければ、だれでもどうすればいいのかと不安を抱えると思います。
事件の第三者として呼ばれている場合を除けば、なんらかの嫌疑(例えば、盗撮や痴漢など)があるから呼ばれているということですから、呼ばれた後どうなるのか、どのように対応すればよいのかについて、少しでも知っておく必要があります。
盗撮・痴漢で警察に呼ばれた?どうしたら良いか
呼び出し=任意同行
警察から呼ばれるということは、いわゆる「任意同行」「任意出頭」を求められている ということです。
呼び出しを受けるということは、「強制」ではなく、あくまでも「任意で」同行や出頭を求められているということです。
呼び出しを受ける理由
警察の捜査が始まるきっかけにはいろいろとあります。被害者から被害届が出されたり、告訴が出された場合などです。
また、事件を目撃した第三者が通報したという場合もあるでしょう。
警察は、犯罪の嫌疑があるということを知った場合には、まずは、ある程度、内密に捜査します。
その捜査によって、逮捕の要件がそろえば、裁判所に逮捕状を請求して、被疑者を逮捕することができます。しかし、
・比較的軽い犯罪である場合
・身柄拘束までする必要はないと判断した場合
・捜査の結果、逮捕の要件がそろったとまではいえないような場合
などは、任意で出頭を求めて話を聞くという場合があります。
その後、事情聴取で容疑が固まり、逮捕の要件がそろったと判断すれば、その後、逮捕状を請求することになります。
呼び出しを拒否することはできる?
もし、すでに逮捕状が出ている段階で呼び出しを拒否すれば、逮捕状の執行によって逮捕されてしまいます。
しかし、まだ逮捕状が出ていない段階であれば,「任意」なわけですから、呼び出しを拒否することも可能です。
ただかえって証拠隠滅や逃亡の可能性を疑われて逮捕状を請求されるおそれはあるので注意しましょう。
事前準備:録音や弁護士の同席は可能か?
上記のとおり、呼び出しを無視したり、拒否したりというのは、逮捕されるリスクを高めることになりますので、呼び出しには応じた方がよいでしょう。
せっかく「在宅捜査」ですむところを逮捕されたのでは、不利益が大きくなります。
しかし、できるだけの事前準備はしておくべきです。
録音の準備をする
録音自体は違法ではありません。ただし、警察は、録音されることを嫌がりますので、録音していることがバレたら警察は事情徴取を切り上げてしまうこともあります。
弁護士に相談、依頼しておく
おそらく警察に呼び出されたということは、何の件で呼ばれているのかについて心当たりがあるかもしれません。
そのような個別具体的な事情を元に、弁護士に依頼すると、
・予想される今後の展開(逮捕されそうか否か)
・警察に聞かれそうなことに対する対応
・供述調書の作成
などにあたって具体的なアドバイスを受けることができます。
心当たりがない場合でも、取り調べ時の対応についてアドバイスを得ておくと、気持ちに余裕をもって、警察に赴くことができます。
また、事前に弁護士に依頼し、弁護士が警察に弁護士選任届を出していると、警察も慎重に対応するという効果も見込めるでしょう。
弁護士の同席
なお弁護士から事前にアドバイスは受けることができますが、弁護士は取り調べに同席することはできませんので注意してください。
事情聴取の内容と「してはいけないこと」
事情聴取の内容
事情聴取では、これまでの捜査や被害者の話などをもとに質問がなされます。
警察からの質問は、被害者の自供を促すように考えられています。
また、怒鳴ったり、自白させようしたり、利益誘導つまり
・認めると早く帰れる
・認めなければ逮捕する
・認めれば処分を軽くする
と述べるなどしたりすることによって、自白させようとすることもあります。
このような取り調べがされた場合には、すぐに弁護士に頼んで、警察に抗議してもらう必要があります。
供述調書とは
任意の事情聴取は、質問だけで終わることもありますが、質問に応じて述べた内容を書面にまとめることも多いです。
これを「供述調書」と言います。これは、裁判になった場合に非常に重要な証拠になるものです。
してはいけないこと
まず、質問を受けているときに重要なことは、記憶にあることだけを明確に話すということです。
あいまいな話をしてはいけません。あいまいな表現をすると、警察にとって都合のよいように解釈されて、調書に記載されてしまうことがあります。
例えば、警察から「こういうふうに考えると、Aだと思わないか?」と聞かれて、「そうですね」とか「そうかもしれませんね」と答えてしまうと調書では、「Aです」と断定して書かれてしまうということも多いです。
この場合には、「分かりません」「覚えていません」というふうに答えなければなりません。
また黙秘権も行使することも可能ですが、嘘をついてもよいということではないので注意してください。嘘をついて、それがあとでばれると非常に不利になります。
また供述調書が作成された場合には、警察が読み上げるのをよく聞く必要があります。また、自分でもきちんと読みます。
その上で、間違いがあれば、必ず訂正か削除を求めます。
あいまいな表現で記載されている箇所がある場合にも、訂正を求めるか、削除を求めます。削除や訂正に応じてくれない場合には、署名・指印を拒否することができます。
任意同行後、どうなるか
逮捕される場合
すでに痴漢や盗撮などの嫌疑で逮捕状が出ていた場合には、そのまま逮捕されることになります。
また、任意の事情聴取の結果、逮捕状を請求できる要件がそろったと判断された場合には、その時点で、逮捕状が請求されて、逮捕されることもあります。
任意同行に引き続いて、逮捕されてしまった場合は、まず、弁護士を呼んでもらいましょう。警察に「弁護士を呼んでください」と頼めば呼んでもらえます。
すでに、弁護士に相談していた場合には、その弁護士との面会を希望する旨を警察に伝えれば、警察が連絡をしてくれます。
事前に相談・依頼していなかった場合には、当番弁護士を呼ぶことも可能ですが選ぶことはできないので、この弁護士とはなにか合わないなと思ったり、不安に思うことがあった場合には、当番弁護士に家族への連絡を依頼し、家族に良い弁護士を探してもらうことになります。
特に痴漢や盗撮などの犯罪は、被害者と示談ができるかできないかが大きな分かれ目となります。
逮捕されなかった場合|2回目はある?
逮捕されなければ、そのまま帰宅することになります。
ただし、呼び出しが1回で終わるということはあまりなく、その後、逮捕を伴わない「在宅捜査」として、複数回警察や検察に呼び出されて取り調べを受けることになります。
この場合にも、次の取り調べに備えて、弁護士のアドバイスを受けた方がよいでしょう。
なお、呼び出しの日よりも前から、弁護士が弁護活動を開始することで、逮捕を回避できる可能性も高まります。
弁護士は、逮捕の必要性がないことを訴えて、在宅捜査にするよう働きかけますし、被害者がいる場合には、いち早く、示談交渉を開始することによって、事件を解決を早めることもできるからです。
このような観点からも、呼び出しを受けたら、まずは痴漢・盗撮に強い弁護士に相談に行くべきであると言えます。