盗撮の再犯率は30%前後!?心の病気?なぜやめられないのか。

痴漢、盗撮、強制わいせつなどの性犯罪は、どれも許されない犯罪行為であり、決してしてはいけないことです。しかし、これらの犯罪がなくなることはありません。
犯罪を行うに至った原因や経緯を知らなければ、犯罪を減らすこともできません。特に、性犯罪は心の問題が影響しているケースも多く、刑罰だけで解決に至らないこともあります。
今回は、「盗撮をしてしまう人の心理や原因、本人や家族がどのようにして解決していくべきなのか」を解説します。

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犯行手口
盗撮は、どんな場所や方法で行われているのでしょうか。
まず、衝動的に盗撮をしてしまうケースでは、駅のエスカレーターで後ろからスカートの下を撮影するケースがよくあります。初めて盗撮を行った人は、衝動的に行動を起こしてしまうことがあります。
次に、商業施設などで盗撮が行われるケースです。防犯用や監視用の隠しカメラを悪用するケースがあります。多くの人が利用する公衆トイレや商業施設のトイレに設置されていることもあります。
なかなか信じがたいですが、脱衣所に設置するケースでは、女性が協力する場合もあるようです。
最後に、再犯の可能性が高いケースでは、腕時計にカメラを仕込む、自撮り棒を使ってエレベータースカートの下を撮影するなど、特殊な器具を使って撮影する手口です。何度も行っている人は、インターネット上の、「盗撮スポット紹介サイト」などに投稿しているケースもあります。
最近では、盗撮に対する防犯意識が低い観光客を狙った観光スポットで犯行も多発しています。
このように、犯行場所や方法はさまざまです。何度も盗撮を行っている人ほど、器具を使ったりするなどして巧妙になってくることがあるようです。
なぜ盗撮してしまうのか?
では、なぜ盗撮行為を行ってしまうのでしょうか。
盗撮は、逮捕されることにより初めて発覚します。「盗撮しそうだな」なんて予兆はありませんし、本人も衝動的に行うことが多く、家族や周囲が先に気づくことはまずありません。そのため、盗撮などの性的問題行動は、未然に防ぐことがかなり難しいといえます。
もっとも、幾つかの要因が重なり盗撮行為にでてしまうというパターンもあります。
①スマホの無音化も要因の1つ
まず、1つの原因として考えられるのがスマホの無音化です。これは先にお話しましたが、アプリなどで無音化するツールがあり、スマホでは簡単に撮影できてしまいます。
これはどういう結果を生むかというと、盗撮に対するハードルが下がってしまうことに繋がります。無音化アプリがあるから悪いというわけではなく、状況が揃えば簡単に行動に出やすくなるということです。
普段はそんな気がおきなくとも、ストレスが重なり衝動的に行動に出る可能性もあります。無音であれば、バレないという意識が働き、行動に出やすくなってしまうのです。
②性癖が関係する?盗撮する人が特別なわけではない。
次に、盗撮する人が必ずしも特別な性癖を持っているというわけではありません。
人間である限り、性欲は自然なことです。男性の場合、成長の過程で異性に興味はあるがそれを実現できないという抑圧を抱える時期があります。この成長過程において、性的趣向や性癖が定まります。そして、それを大人になると理性で抑えるようになります。
しかし、理性で抑えているだけなので、ストレスなどが重なり、状況や手段が揃えば、盗撮行為に走ってしまう人もいるんです。もちろん特別な性的趣向を持つ人もいますが、普通の人でも簡単に走ってしまう可能性があるということを理解しておきましょう。
このように、盗撮は簡単に出来る方法と状況があれば衝動で起こしてしまえる犯罪です。特別な人ではなく、多くは普通の人が盗撮をしていまいます。特別な要因があるわけではないということも認識しておくべきかもしれません。

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盗撮する人の心理。どんな問題があるの?
次は、盗撮する人の心理を考えていきましょう。盗撮は、心の問題が大きく絡んでいるケースがあります。
①女性への認知がゆがんでいる
まず、女性に対する認知がゆがんでいる可能性があります。
「盗撮されて、女性は喜んでいる」、「露出の多い服を着ているから盗撮しても良い」など、女性は嫌がっていないと思い込んでいるケースがあります。普通に考えればありえないのですが、実際にこのような認識を持ってしまった人もいるのです。
これ以外にも、「しばらく性交がないので、このくらいの刺激は求めても仕方ない」などと自分を正当化してしまうケースがあります。これらは、女性に対する認識がゆがんだ結果であり、この認識を変えていかなければいけません。
女性に対して差別的な意識が根底に潜んでいる場合もあります。
②達成感やスリルを得ることを目的にしてしまう
次に、達成感やスリルを得るために行うケースです。
性犯罪の場合、多くは性欲を抑えきれず行ってしまうのがパターンですが、性欲が原因でないケースもあります。ストレス発散やバレなかったことへの達成感、ゲーム感覚などで犯行に及ぶ人もいます。
意外なことに、これを目的に盗撮行為をしてしまう人は、高級官僚や医者、弁護士など社会的ステータスの高い人が多い傾向にあります。独立心が高く、上昇志向の強い人はスリルを求める傾向にあり、ストレスがトリガーとなり性犯罪に走ってしまうケースがあるのです。
③ストレスを発散するため。
また、優秀な人材と評価される人も盗撮に走ってしまうケースがあります。
優秀で仕事が出来る人ほど多くのストレスを抱えています。これを発散する方法がわからず、知らないうちに溜め込んでしまい、犯罪に走ってしまうケースがあります。自分の性的趣向や欲求に気づいておらず、盗撮を行ってしまうということもあるようです。
④依存的性格
最後に、性格です。依存的な性格や、自分の非を認められない人は盗撮に走りやすい傾向にあります。盗撮は、達成感やスリルを体験することができるため、アルコール依存症や薬物中毒と同じように依存してしまう可能性があります。
このように、盗撮を行う人の心理にはさまざまな問題があります。多くは自分のストレスをうまく発散できない場合ですが、心の奥底に問題を抱えている方もいます。
なぜ繰り返してしまうのか。心の病が関係している可能性も。
「ひどいことをしてしまった」「もう絶対にやらない」。
盗撮をしてしまった人のほとんどがそう誓います。それにも関わらず、盗撮の再犯率は非常に高いのが実情です。年に数回、ひどい場合には月に何度も繰り返してしまうという人も少なくありません。盗撮はなぜ繰り返されるのでしょうか。
①スリルを忘れられない。
盗撮は、1度成功すると「できるんだ」という感覚と、見つかるかもしれないというスリルと味わうことができます。この感覚が忘れられず、何度も繰り返してしまうという結果に繋がります。
人間は同じ行動を何度も繰り返してしまう生き物です。「意志が弱い」というのは本当の理由ではありません。日々のストレスを解放し、スリルを味わい快感を得るという目的を達成するため、盗撮を行ってしまうのです。
②ゆがんだセルフイメージが、ハードルを下げてしまう。
「一度捕まってしまったから、次はこうすれば捕まらないはず」という歪んだ認知もあります。とくに、「自分はバレない」「バレても罰金で済む」などの気持ちがあり、一旦「自分ならできる」という自己認識をしてしまうと、犯罪を繰り返してしまい、ゆがんだ自己認識が強化されてしまいます。
成功して自信がつくというのとは逆に、自暴自棄になって「もう捕まっても良い。自分なんか必要ない」という意識の方もいます。盗撮や自分に対するゆがんだセルフイメージが犯罪へのハードルを下げてしまうのです。
【参考】痴漢で罰金を支払うと前科はつく?生活への影響と不起訴との違い
③「性依存症」という精神疾患の一つの可能性も
性欲を抑えることができないという方は、性依存症の可能性があります。
性依存症とは、強迫的な性衝動を抑えることができず、精神的・身体的に平常を保つことができない状態のことで、精神疾患の1つです。薬物中毒などと似たような状態で、自分で抑えられるものではありません。
依存症の場合は、早い段階で治療すべきです。専門家の治療を受け、自助グループなどに参加すると自分で性衝動を抑えられるようになる可能性があります。依存症の場合、1人では難しいので誰かの助けが必要です。
このように、盗撮の再犯には、心の問題が大きく影響しています。「もう二度としたくない」と思っている方には、カウンセリングを受けて自分がどういう状態なのかを知ることをおすすめします。
今度こそ更生したい! 本人や家族ができることは?
では、再犯しないための予防策はあるのでしょうか。
①盗撮できない状況を作ることも重要
まず、盗撮ができない状況を作ることが大切です。日常生活に支障が出ることもありますが、盗撮できる状況を作らなければ自分を抑える回数も減らすことができます。
これ以外にも認知を変える必要があります。以下を実践してみましょう。
・ストレスを認知し、解消する方法を見つける
・ストレスを溜めにくくするため、物事の捉え方を変える。
・生活習慣を改善する(依存的生活習慣をやめる)
これらを実践し、少しずつ自分を変えていく必要があります。もっとも、全てを自分だけですることには限界がありますので、家族や専門家による支えが必要です。
特に、依存症であると自覚している場合は、専門家の治療を受けることが大切です。
②自助グループに参加する
上記以外には、自助グループに参加することもおすすめです。
アルコール依存症などの自助グループと同じように性的問題行動を起こす人々の自助グループがあります。犯してしまった罪や問題行動を話し、性衝動を抑えられた経験をわかちあうことで、成功体験を高める効果があります。
性犯罪を犯しそうになったら、仲間に連絡し止めるように説得してもらう方法もあります。実際に、「助かった。仲間に救われた。」と感じる人も多いです。同じ衝動を抱えた人と交流することで回復する可能性もあります。
居場所を作ることは、再犯を防ぐことに繋がります。
③カウンセリングを受ける
「自分が起こしてしまったことが信じられない」「どう抑えたら良いのかわからない」そういう感情をお持ちの方もいらっしゃると思います。この場合、今自分に何が起きているのかを知ることが重要です。医者やカウンセラーに話を聞いてもらうと、自分が思った以上にストレスを抱えていることに気づくこともあります。
実は、性的問題行動を起こす人の多くは、両親の不仲やいじめ虐待を経験したことがある人です。過去の傷を癒しながら、徐々に回復を目指していきましょう。
【参考】「撮影しようとした」でも犯罪!?盗撮の罪名と刑罰。
【参考】盗撮したスマホが押収された!余罪追及で罪は重くなる?