痴漢冤罪を回避!弁護士費用保険のメリットと注意点
近年、首都圏の鉄道、特にJR東日本の埼京線などで、痴漢行為を指摘されたり疑われたりした人が逃走する事件が頻発しています。これにより、列車の遅延が多発し、中には逃走した人が高架線路から転落して死亡するという悲しい事例も発生しています。
痴漢は絶対に許されない犯罪行為ですが、身に覚えがないのに痴漢を疑われたり、誤解されてしまった場合、男性にとっては大きな関心事となるでしょう。
こうした状況の中で、「痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険」という保険が注目を浴びています。この保険について詳しく解説します。
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険とは
痴漢冤罪を巡る現在の状況
2007年に公開された「それでもボクはやってない」という日本映画を覚えている人も多いでしょう。
痴漢冤罪をテーマにした、特に男性にとっては考えさせられる内容でした。前述のとおり痴漢に関する事件が多発していることから、それから約10年経った現在、痴漢冤罪への対処が再び男性の大きな関心事になっています。
そして、痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険という保険の加入者が急増しています。なお、この保険は少額短期保険業者が取り扱っています。
少額短期保険について
それでは、商品内容を見る前に、少額短期保険について触れておきましょう。
少額短期保険とは、ひとことでいえば、「生命保険会社や損害保険会社が扱わないニッチな保険」のことです。「ミニ保険」、「すき間保険」などともよばれ、少額短期保険業者が扱っています。2018年5月1日現在、97事業者が登録されています。
少額短期保険は、保険業法でその取扱いについて数々の制限が設けられています。
例えば、1被保険者について引き受ける保険金額には上限があり、死亡保険:300万円以下、医療保険(傷害疾病保険):80万円以下、損害保険:1,000万円以下などとなっています。加えて保険期間も1年以内(第2分野商品は2年以内)とされています。
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険外にも、「ペット保険」や「チケット保険」、「お天気保険」、「モバイル保険」、「ハーレー保険」など、ユニークな保険がたくさんあります。
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険とは
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険は、商品分類としては「損害保険の個人賠償責任保険の一種」になります。
個人賠償責任保険自体は、自動車保険や火災保険に特約で付帯することができ、保険料も月額100円~200円程度ですので、加入している人も多いでしょう。
この保険のポイントは、何といっても「契約者特典として、痴漢冤罪ヘルプコール(保険料無料)がついていること」です。痴漢と疑われたとき、すぐに弁護士にヘルプコール(電話)をすることができ、弁護士から取るべき行動の指示を受けられます。
先ほどの痴漢冤罪への対応方法として、この「痴漢冤罪ヘルプコールの特典目的で加入している人が多い」のです。
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険の概要
商品概要について、もう少し詳しく見てみましょう。
補償内容と保険金額(賠償責任保険部分)
- 弁護士費用等保険金:最高300万円
- 法律相談費用保険金:最高10万円
- 個人賠償責任保険金:最高1,000万円
となっています。
補償の対象者
加害者となったときの補償
・個人賠償責任保険金:本人および同居者
被害者となったときの補償
・弁護士費用等保険金、法律相談費用保険金:本人、本人の配偶者、本人または配偶者の同居の親族、本人または配偶者の別居の未婚の子
保険期間
保険期間は1年です。保険始期日の午前0時から保険終期日の24時までです。
保険料
保険料は月払い:590円(年払い:6,400円)です。年払いだと680円安くなります。
痴漢冤罪ヘルプコールについて
賠償責任保険に特典として付帯されている痴漢冤罪ヘルプコールは、あくまで当保険の契約者向けの独自サービスです。申込完了後、携帯電話やスマートフォンにヘルプコール利用画面をブックマーク登録することでサービスが利用可能になります。
例えば、電車内でもし痴漢に間違われてしまった場合、ヘルプコールの利用画面のボタンを押すと、登録されている弁護士の携帯電話・スマートフォンに一斉にメールが送信され、対応可能な弁護士から保険契約者の携帯電話・スマートフォンにメールが届く仕組みです。
メールには弁護士名・電話番号が記載されていますので、弁護士に電話をすることにより、弁護士からアドバイスをもらうことができます。
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険のメリット
何といっても、痴漢冤罪ヘルプコールが無料付帯されていることが一番のメリットといえます。痴漢に間違えられた場合、パニックにならずに冷静に対応しうまく切り抜けることは、普通の人ではなかなか難しいでしょう。そのような場合、すぐに弁護士の指示を仰ぐことができるシステムがあることは大きなメリットといえます。
万一痴漢と疑われ逮捕されてしまった場合、逮捕~勾留~取り調べ~起訴という一連の流れが待っており、辛く厳しい数日間を過ごすことになってしまいます。最初の段階で弁護士の適切な指示を仰ぐことができれば、このような事態を防ぐことができる可能性があります。
また、当保険は保険料の負担も小さいため、加入しやすいこともメリットといえます。
加えて、ヘルプコール以外にも、当保険はそもそも個人賠償責任保険ですので、日常生活のリスクヘッジの一手段として活用することもできます。トラブル発生時には何かにつけて「訴訟」という言葉がつきまとう現代社会では、賠償責任保険への加入は必須といえます。
さらに、当保険には実は「痴漢被害ヘルプコール」もついています。痴漢の被害者、つまり女性の方も利用することができるのです。
痴漢冤罪ヘルプコール付弁護士費用保険のデメリット
一方、次のようなデメリットもあるので注意しましょう。
- 保険料は掛け捨てですので、途中で解約しても返戻金(戻ってくるお金)はありません。
- 生命保険会社や損害保険会社が経営破たんしたときは、「保険契約者保護機構」による補償がありますが、少額短期保険の場合は対象外ですので補償はありません。
- 保険料について、生命保険の生命保険料控除や、損害保険の地震保険料控除のような税制優遇はありません。
注意点
主に痴漢冤罪ヘルプコールの注意点について確認しておきましょう。
- 弁護士がすぐに現場に駆けつけてくれるわけではありません。弁護士に電話をかけることができるだけです。間違えないようにしましょう。
- 利用可能日時に制限があります。利用できるのは、平日7~10時、17~24時です。土日祝日と、平日のその他の時間は利用できません。
- ヘルプコール利用画面のボタンを利用できるのは、保険期間中1回のみです。
- 通信環境やメール送受信の設定により、メールが届かない、または届くまで時間がかかる場合があります。
- 過去3年以内に賠償責任保険の保険金を3回または合計5万円以上受領している場合、当保険には加入できません。
また、2018年5月21日現在、当保険は「ジャパン少額短期保険株式会社」1社が取り扱っています。
まとめ
痴漢冤罪への対処はケースバイケースで難しく、正解はないのかもしれません。
しかしながら、首都圏在住で毎日満員電車で通勤する会社員にとっては、冤罪被害に遭うリスクは避けられず、何らかの準備は必要です。弁護士のアドバイスがもらえる特典はやはり魅力的ですので、心配な人は、リスクマネジメントの一手段として当保険に加入しておくとよいでしょう。
ただし、商品内容やメリット・デメリット、注意点を事前に十分理解しておく必要があります。不明点があれば、契約前に当該少額短期保険会社に確認しておくとよいでしょう。