留置場と拘置所の違い、家族にできることとは?

「夫、息子が痴漢で逮捕された」と聞くと、家族も動揺するでしょう。
夫、息子は、今どこで、どうしているのか?本人の言い分は?家族にできることは?
この記事では、警察に捕まった人がどのような場所に拘束されていくのか、その中で家族ができることは何かについて解説します。
1.留置場と拘置所の違い
1-1.留置場とは
留置場とは、被疑者の身柄を収容する施設のことで、警察署に設置されています。
大抵、A警察に逮捕されたら、A警察署の留置場に身柄拘束されます。しかし、例えば、共犯がいる場合には、一人はA警察署の留置場にいるけれど、もう一人はB警察署の留置場にいるということもあります。
また、女性専用の留置場を備えている警察署などもあるので、女性の被疑者は、捜査している警察とは違う警察署の留置場にいるということもあります。
留置場は「代用監獄」と呼ばれます。本来は、拘置所で身柄拘束をしなければならず、代用監獄である留置場は、例外的に利用されるべきものなのですが、実際は、起訴されるまで留置場で身柄拘束されています。
このような留置場の利用の仕方については、捜査している警察の施設にずっと留め置かれるということになり、自白強要の温床になる等の理由で国際的には批判されています。
改善される様子はありませんが、警察としても、留置場の管理は「留置管理係」という、捜査をする部署とは違う部署が管理するということを徹底する、というような方策を取っています。
1-2.拘置所とは
拘置所とは、被疑者や被告人の身柄を収容する施設のことで、各都道府県に設置されており、法務省の管轄下にあります。証拠隠滅や逃亡を防ぐために、裁判が終わるまで身柄拘束される場所です。
刑務所は、裁判が終わり、実刑が確定した人が懲役刑や禁固刑を受ける場所であるのに対して、拘置所は、あくまでも犯罪の容疑がかかっている人が裁判を待つために拘束されている場所ですので、刑務所よりは自由度が高いと言われています(それでもさまざまな規則・制約はあります)。
2.逮捕から裁判までの流れ
詳しくは「痴漢で逮捕されたら、弁護士としか接見できない?-逮捕と勾留」をご参照ください。
3.留置場や拘置所にいる家族に面会できる?
3-1.逮捕されているとき(留置場)
逮捕中の72時間は、家族が面会することはできません。
着替えなどの差し入れは受け取ってもらえることが多いですが、あくまでも、その警察署の規則に従います。
被疑者も、逮捕中は検察庁や裁判所に行っていたりするため、昼間はあまり留置場にはいません。
弁護士はいつでも面会できますし、夜間にも被疑者に会いに行けますので、被疑者の様子を家族に伝えたり、伝言を伝えたりすることができます。もちろん、犯罪の隠匿を指示するような伝言など、伝言を断られる場合はあります。
3-2.起訴前勾留されているとき(留置場)
被疑者が接見禁止でなれば、その家族は留置場に面会に行くことができます。
家族との面会は、平日の午前8時頃から午後4時頃までの間で、15~20分と時間が決められ、面会中は立会人がいます。時間については警察署ごとに決まりがありますので、事前確認が必要です。
家族に限らず、友人などでも、同じルールで面会ができます。ただし、警察署によっては、1日1組までしか面会できないなどのルールもありますので、こちらも事前確認が必要です。
3-3.起訴後勾留されているとき(拘置所)
起訴されて、本人が拘置所に移送されたら、家族は拘置所へ面会に行きます。
拘置所でも、留置場同様に平日の昼間しか面会ができませんし、時間制限があり、立会人がいます。
4.家族にできることは?
4-1.面会する
勾留された後、接見禁止になっていなければ、家族は本人と面会することができます。
一日に15~20分程度だとしても、家族と会えることは大きな安らぎになります。
4-2.差し入れする
着替えの他にも、本などを差し入れすることができますので、警察署の規則をよく確認して、本人の好きな本や手紙を差し入れしてあげれば、本人も気が紛れると思います。
また、お金の差し入れも必要です。留置場及び拘置所では、もちろん食事は支給されますが、自分でお金を出して、お弁当やお菓子を買うこともできるからです。
4-3.示談金の準備
本人が犯行を認めている場合、一番重要なことは、被害者の方に対して反省の意を示し、示談をすることです。しかし、弁護士も家族が示談金を準備してくれなければ、被害者に示談のお願いをすることができません。そこで、まずは示談金の準備をすることが重要です。
起訴前の勾留中に示談が成立すれば、不起訴処分(起訴猶予)になる可能性もあります。
4-4.保釈金の準備
起訴後は、保釈の申請をすることができます。保釈が認められると、裁判までの期間を、拘置所ではなく自宅で過ごすことができます。
保釈を申請するためには保釈金が必要ですから、起訴が見込まれる場合には、必要と思われる金額を弁護士に聞いて準備をしておいた方がいいでしょう。
また、家族は、保釈の際の身元引受人になります。