在宅起訴とは|意味とその後の流れを徹底解説

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在宅起訴

ニュース等で「在宅起訴」という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。

「在宅」って家にいることだと思うのだけど、家にいて起訴されるってどういうこと?

などと疑問に感じた方も多いのではないでしょうか。

今回は主に下記の点について詳しく解説致します。

  • 在宅起訴って何?その意味
  • 在宅起訴されると、その後逮捕されることはあるか?
  • 在宅起訴(正式起訴、略式起訴)された場合にすること

ぜひ最後までご一読いただき、在宅起訴について少しでもご理解いただけると幸いです。

在宅起訴って何?

「在宅起訴」を知る上で重要な「在宅事件」と「起訴」のそれぞれの意味をまず、ご説明した上で、最後にまとめとして在宅起訴の意味をご説明したいと思います。

⑴ 在宅事件とは

在宅事件とは身柄拘束、つまり「逮捕や勾留をされていない」刑事事件のことをいいます。

もともと身体拘束されていない事件のほか、逮捕、勾留されたもののその後釈放された事件も在宅事件に含まれます。

⑵ 起訴とは

起訴とは罪を疑われた被疑者が刑事裁判にかけられることをいいます。

また起訴には、正式な刑事裁判を受けなければならない「正式起訴」と、簡単な刑事裁判で済む「略式起訴」があります。

なお、正式裁判では、裁判官、検察官、被告人及びその弁護人が公開の法廷に出席し、必要書類・証拠書類の提出、証人への尋問など必要な訴訟行為を行います。

そして裁判官が、被告人が有罪か無罪かを決め、有罪と判断した場合はいかなる刑罰(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)、刑期、金額が適当かを決めた上で、その刑罰につき実刑か執行猶予にするのかを決めます。

これに対して、略式裁判では、裁判官が検察官から提出された書面にのみ基づいて、略式裁判することが相当か否かを判断し、相当であると判断した場合は「100万円以下の罰金又は科料」の範囲内で刑罰を決めます。

つまり、略式裁判では死刑、懲役、禁錮は科せられないということになります。

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⑶ 在宅起訴とは

以上をまとめると、在宅起訴には下記の2種類があります。

  1. 正式な刑事裁判を受けなければならない在宅起訴(正式起訴)
  2. 簡単な刑事裁判(略式裁判)で済む在宅起訴(略式起訴)

正式起訴された場合、一定の軽微な事件を除き、仕事を休むなどして法廷に出廷し、刑事裁判を受ける必要があります。

これに対して略式起訴された場合、法廷に出廷する必要はありません。

在宅起訴後の流れ|起訴されたらどうすればよい?

次に在宅起訴後の流れを、正式起訴と略式起訴に分けて解説します。

⑴ 在宅で正式起訴されたら?通知はある?

在宅で正式起訴された場合にやるべきことや留意点は以下のとおりです。

① 裁判所から送達される書類を受け取る(起訴から約1~2週間後)

正式起訴されると、裁判所から

  • 起訴状謄本
  • 弁護人選任に関する回答書
  • 資力申告書(任意的弁護事件の場合)

が被告人宛に「特別送達」されます。

受け取らない場合は検察庁から受け取るよう催促されますし、所在をくらました場合は所在を捜索されます。そうした煩わしさを回避する意味でも確実に受け取るようにしましょう。

なお、検察庁や裁判所から「起訴しました」「起訴されました」という通知が来ることはありません。

あくまで起訴状謄本がそうした通知の代わりのようなものとなります。

② 起訴状謄本をよく読む、弁護人選任につき回答する

「起訴状謄本」とは起訴状(検察官が刑事裁判の冒頭手続で読み上げる書面)の写しで、被告人がどんな事実(公訴事実)のどんな罪で起訴されたかなどが記載されています。

起訴状謄本を受け取ったら内容をよく読み、事実を認めるのか認めないのか、認めないとしてどの部分を認めないのか決める必要があります。

また、「弁護人選任に関する回答書」では、以下の3点を回答する必要があります(起訴時点で私選弁護人を選任していない場合)

  • 自費で私選弁護人を選任するのか
  • 裁判所に国選弁護人を請求するか
  • 私選弁護人、国選弁護人いずれも選任しないのか

ただ、正式起訴された事件の場合は、必要的弁護事件*と任意的弁護事件があり、それぞれでやるべきことなどが異なります

回答書に必要的弁護事件か任意的弁護事件かが明記されています。

*必要的弁護事件=「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件」で、弁護人がいなければ開廷することができない事件

ア 必要的弁護事件

必要的弁護事件で、私選弁護人を選択する場合は、特定の弁護士事務所と契約を締結する必要があります。

その後、弁護士が裁判所宛に「私選弁護人選任届」を提出してくれます。なお、弁護士会から紹介される弁護士がいない場合、あるいは紹介された弁護士が事件を受任しない場合は「国選弁護人」が選任されます。

なお、最初から「国選弁護人を選択した場合」と「いずれも選任しない」を選択した場合、裁判所が選んだ弁護士が選任されます。

イ 任意的弁護事件

任意的弁護事件でも、私選弁護人を選択した場合は、必要的弁護事件の場合と同様です。

一方で、国選弁護人を選択した場合、「資力申告書」も併せて提出する必要があります。なお、資力が50万円以上の場合は、あらかじめ弁護士会に「私選弁護人選任の申し出」をしなければなりません。

そして、弁護士会から紹介される弁護士がいない場合、あるいは紹介された弁護士が事件を受任しない場合に、はじめて国選弁護人の選任を請求することができます。

また、いずれも選任しないを選択した場合、弁護人がいなくても開廷することは可能です。しかし、被告人の権利保護、裁判所の事務負担の軽減などの観点から、裁判所の判断で国選弁護人を選任されることが多いようです。

③ 裁判に向けた打ち合わせ、準備を行う(起訴から約1か月後~)

被告人から選任された弁護人は、検察官が有している証拠書類や証拠物の開示をまず求めます。

また、開示された場合は証拠書類や証拠物をよく精査して、裁判や被告人等との「打ち合わせのための準備」を進めます。

その後、弁護人の法律事務所に出向くか電話をして、弁護人と裁判に向けての打ち合わせを行います。

弁護人との打ち合わせは、起訴からはやくて1か月前後です。

もっとも、事件の内容・難易度、罪に対する認否などによってそれ以上かかることももちろんあります。また、1回のみならず、2回、3回と打ち合わせを行う場合もあるでしょう。

打ち合わせで行う内容も、事件の内容や裁判の見通しなどによって異なります。1回の裁判で判決前まで進む見込みがある場合は、主に尋問のリハーサルを行うことが多いでしょう。

尋問は被告人に対してはもちろんのこと、被告人の関係者(ご家族など)に対しても行う場合があります。

したがって、法律事務所で打ち合わせを行う際は、被告人のほかその関係者も一緒に来ていただく必要があります。

④ 刑事裁判に臨む(起訴から約1か月半後~)

打ち合わせ、準備を終えたら「第1回公判期日」に臨みます。

第1回目の公判期日は文書で通知され、その後、継続する場合は裁判の最後に裁判官から口頭で伝えられます。

なお、簡易で争いのない事件であれば、通常、起訴から約1か月半前後に初回の刑事裁判が開かれます。

そして、執行猶予が見込まれる事件であれば2回、ないしは1回で判決に至るでしょう。

しかし、事件の内容・難易度、罪に対する認否等で争点が多くなればなるほど遅れますし刑事裁判の回数も多くなります。

刑事裁判が多くなればなるほど、打ち合わせや法廷に出廷する回数も当然増えます。

⑵ 在宅で略式起訴されたら?通知はある?

次に略式起訴される、された場合にやるべきことや留意点は以下のとおりです。

① 略式裁判を受けることに同意するかどうか慎重に判断する

略式起訴の前、検察庁での取調べの際に、略式裁判をおこなうことに対して被疑者に同意が求められます。

略式裁判では被告人が法廷で自己の主張、言い分を言う機会が省略されますから、それでもいいのかどうか事前に確認する必要があるのです。

同意すると略式起訴され、多くの場合、「100万円以下の罰金又は科料」の範囲内で「略式命令」が出ます。

そして、略式裁判が確定すると前科が付きますから、同意するかどうかは慎重に判断しましょう。同意を求められたからといって、必ず同意しなければならないというわけではありません。仮に、迷った場合は判断を留保し、「弁護士に相談」の上、あらためて同意することとしてもよいでしょう。

② 正式裁判を申し立てるかどうか判断する

仮に、同意し、略式起訴されると、起訴状と同時に検察官が選別した書類が簡易裁判所に提出されます。

なお、正式起訴の場合と同様、略式起訴の通知はありませんが、以下でご説明する「略式命令謄本」がそうした通知の代わりのようなものとなります。

裁判官は検察官から提出された書類を見て、略式裁判することが相当かどうか判断し、相当と判断した場合は罰金又は科料の金額などを書いた略式命令という書類を発布します。

裁判官から略式命令が発布された後は、裁判所からご自宅に略式命令謄本が特別送達されます。略式命令謄本には犯罪事実、罪名、罰金額(罰金の命令が出た場合)、科料額(科料の命令が出た場合)などが記載されています。

なお、在宅事件の場合、いつ略式起訴されるのか、いつ略式命令が出て略式命令謄本が送達されるのか時期は読めません。

つまり、検察庁や裁判所の事務処理の都合に左右されるということになります。もっとも、いつまでも処理せずにいくわけにもいきませんから、同意してから1か月から2か月程度で略式命令謄本が届くと考えておいてよいでしょう。

略式命令の内容に不服がある場合は正式裁判を申し立てることができます。正式裁判の申し立て期間は、略式命令謄本受領の日の翌日から14日です。申立てない場合は何もする必要はなく、期間の経過とともに略式裁判が確定します。

③ 略式命令に記載された罰金、科料を納付する

略式裁判が確定すると、略式命令に記載された罰金、科料を納付しなければなりません。納付先は検察庁ですが、検察庁から納付書が郵送されますので、その納付書を使うことによって罰金等を取り扱う金融機関で納付することも可能です。

納付期間は略式裁判確定の日から2週間ですが、期間内に納付が難しい場合は2週間ごとに期間を延長されるでしょう。

なお、納付の態度が見られないと判断された場合は検察官から「収容状」という逮捕状に似たようなものを発布され、収容状に基づいて刑務所に収容されてしまうおそれもあります。

納付が難しい場合は検察庁の担当者にはやめはやめに対応し、納付期限の延長などの措置を検討してもらいましょう。

(3) 正式起訴・略式起訴の違い(まとめ)

以上、正式起訴、略式起訴についてまとめると下記のようになります。

正式起訴略式起訴
被疑者の同意の要否不要必要
起訴の通知なし(ただし、起訴状謄本が送達される)なし(ただし、略式命令謄本が送達される)
弁護人選任の要否必要(ただし、例外あり)不要
裁判に向けた打ち合わせ、準備の要否必要不要
法廷への出廷の要否必要(ただし、例外あり)不要(書面審理のみ)
裁判(判決、命令)で科されうる刑罰全て(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)100万円以下の罰金又は科料
起訴から判決・命令までの期間1か月~(ただし、事件内容により長期化することもしばしばある)同意から1か月~2か月程度で略式命令謄本が届く
不服申し立て控訴、上告正式裁判申立て

在宅起訴とその後|起訴後に逮捕される事はあるか

在宅起訴されたその後、逮捕されて留置場や拘置所に入ることはあるのか?と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。

在宅起訴されたということは、捜査機関が必要は証拠を集め捜査をひととおり終えたことを意味しています。

したがって、その時点で裁判官に逮捕状の発布を請求したとしても、その後逮捕の理由、必要性がないとして却下されることは目に見えています。

以上より、一度、逮捕されて釈放された場合はもちろん、はじめから逮捕されていない場合でもその後逮捕されることはないと考えてよいでしょう。

もっとも、在宅起訴(正式起訴)された後は法廷に出廷する義務があります。

そこで、裁判所から呼び出し(召喚)を受けたにもかかわらず、正当な理由なくこれに応じない、あるいは応じないおそれがあるときは「身柄を拘束」されることがあります。これを「勾引」といいます。

おわりに

在宅起訴とは在宅事件での起訴です。

そして、在宅起訴には正式裁判を受ける必要がある正式起訴と、受ける必要がない(書面審理のみで終わる)略式起訴があります。

それぞれで手続、留意点が異なりますから、この際しっかり確認しておくとよいかと思います。

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