罰金刑の金額と納付方法、払えない場合|略式起訴されそうな方へ

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刑事事件では懲役刑よりも罰金刑を科される人の方が多いと思います。しかし、想定される罰金額、罰金の納付方法、払えなかった場合の流れなどに関して詳しくご存知の方は少ないはずです。

  • 略式裁判の罰金額の相場っていくら?
  • 略式裁判の罰金はいつ払う?期限ってあるの?
  • 罰金刑が科されるまでの流れは?
  • 罰金の納付方法や注意点は?
  • 罰金払えない!生活保護受給者なら罰金をまけてくれる?分割払いはある?

そこで、この記事では、について詳しく解説してまいります。

1.罰金刑が規定されている主な罪と罰金額の相場

罰金刑が規定されている罪と罰金額の相場は主に以下のとおりです。

なお、以下の金額は初犯であること(前科、前歴がないこと)が前提です。

また、実際の罰金額は個別事案の事情によって大きく変動します。以下の罰金額はあくまでも目安とお考えください。

⑴ 交通事故(人身事故)

交通事故は主に人に傷害を負わせた場合は過失運転致傷罪、人を死亡させた場合は過失運転致死罪が適用されます。

前者の罰金額は下記のとおりです。

金額相場
過失運転致傷罪20万円~(上限100万円)
過失運転致死罪50万円~(上限100万円)

もっとも、後者の「過失運転致死罪」で罰金刑が科されるのは、被害者にも一定の落ち度があった場合などです。

基本的に過失運転致死傷罪は略式起訴ではなく、「正式起訴」されることが多く、刑罰も罰金刑ではなく「懲役刑を科される」ことが基本となります。

⑵ 痴漢・盗撮

痴漢や盗撮は各都道府県が定める迷惑行為防止条例で禁止されています。

金額相場
痴漢の場合20万円~50万円(上限100万円)
盗撮の場合20万円~40万円(上限50万円OR100万円)

また、条例ではなく刑法の強制わいせつ罪で処罰されることもあります。

「強制わいせつ罪」の法定刑に規定されているのは懲役刑のみ(6月以上10年以下の懲役)で罰金刑は規定されていません。

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⑶ 窃盗・万引き

窃盗とは人の意に反して人の物を自分の物とすることで、万引き、スリ、置引きなど態様を問わず「窃盗罪」が適用されます。

その中でも窃盗の態様としては比較的軽微と考えられている万引きの罰金額は「10万円~40万円(上限50万円)」が相場です。

⑷ 暴行・傷害

暴行とは、殴る、蹴る、叩くなどが典型ですが、直接「人の身体に触れない行為」(例として、あおり運転)なども暴行にあたる場合があります。

その暴行によって「人に怪我などを負わせた場合」が「傷害」となります。

暴行罪の罰金額、傷害罪の罰金額は下記が相場です。

金額相場
暴行罪10万円~(上限30万円)
傷害罪20万円~(上限50万円)

2.罰金刑が科されるまでの流れ

まず、罰金刑が科されるまでの流れを図で示すと以下のとおりです。

なお、以下の図は在宅事件(身柄を拘束されていない事件)の場合を前提としています。

  • 1.警察から検察への事件送致(送検)
  • 2.検察庁から出頭要請、取調べなど
  • 【略式裁判に不同意の場合】
  • 3.正式起訴→正式裁判へ
  • 【略式裁判に同意した場合】
  • 4.略式起訴
  • 5.略式命令
  • 6.略式命令謄本を受領
  • 7.正式裁判の請求をするかしないかの決定

最後に正式裁判の請求をするかしないかを決定しますが、する場合は正式裁判(8)に、しない場合は「略式裁判」が確定(9)します。

以下、詳しく具体的に解説してまいります。

⑴事件送致から略式裁判への同意・不同意まで

警察での取調べなど(捜査)が終わると、事件は警察から「検察庁」へ送致(送検)されます(①)。

送致後、一定期間を経て検察庁から出頭要請を受けた場合は、出頭後、「検察官による取調べ」を受けます(②)。

その後、検察官が事件を略式起訴することが相当と判断した場合は、検察官から「略式裁判を受けることへの同意」を求められます。

ここで同意しない場合は正式起訴され、正式裁判を受けなければならないでしょう(③)。同意した場合は「略式起訴」されます(④)

略式起訴と略式裁判

略式起訴とは起訴の一種で、略式裁判を求める起訴です。

略式裁判とは、裁判官が検察官から提出された書面のみに基づいて、100万円以下の罰金又は科料の命令を出すための「簡易な裁判」のことをいいます。

正式起訴と正式裁判

正式起訴も起訴の一種で、正式裁判を求めるための起訴です。

正式裁判では、「実際に法廷に出廷」して裁判手続を受ける必要があります。

また、正式裁判では、裁判官は罰金刑のみならず「懲役刑」を言い渡すこともできます。

⑵略式起訴から略式命令謄本受理まで

略式起訴されると検察官が選別した事件の書類が裁判所に提出されます。

裁判官はその事件書類を見て、略式命令を発布することが相当であるか、相当であるとしていくらの罰金額(あるいは科料)が適当かを判断します。

その上で罰金額などを記載した「略式命令」をという書類を作ります(⑤)。

その後、その「略式命令の謄本(写し)」が特別送達で起訴された人の下へ送達されます(⑥)。

これを受け取ってはじめて「略式命令を受けた」ということになります。

⑶略式命令謄本の受理から略式裁判確定まで

略式命令謄本を受け取ったら、内容(罰金額など)を確認します。

なお、略式命令謄本の下の方に次の文言が記載されています。

「この命令送達の日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる。」

つまり、略式命令を受け取り、罰金額等に不満がある場合は正式裁判の請求をすることができます(⑦)。

請求をしない場合は、14日を経過した後、略式命令を発布した略式裁判が「確定」します(⑨)。なお、実情としては、請求しない方がほとんどです。

3.罰金の納付方法や注意点

以下では罰金の納付方法や納付の際の注意点について解説します。

⑴ 罰金はいつ納付する?

罰金の納付時期は正式には略式裁判が「確定」した後、つまり正式裁判の請求期間が経過した後です。

上述の解説で言うと、⑨以降ということになります。正式裁判の請求期間である14日間が経過し正式に刑を執行してもよくなった、という状態になってからです。

この確定によって、刑を執行する検察庁(検察官)は略式命令を受けた人に対して「罰金を納付しなさい」ということができますし、略式命令を受けた人は罰金を納付しなければならなくなるのです。

もっとも、罰金刑については「例外」があり、罰金の納付時期が略式裁判の確定前、とされることがあります。

具体的には略式命令謄本を受領した日の翌日から正式裁判の請求期間が経過する14日間(上述した⑥~⑨までの間)です。

まとめると、罰金の納付時期は基本的に「略式命令謄本を受けた日以降(上述⑦以降)」と考えておいた方がよさそうです。

⑵ 罰金の納付場所・方法

検察庁から「納付書(納付告知書)」が送られてきます。

その納付書をもってお近くの金融機関(一部金融機関を除く)で納付すれば手続は終わりです。

また、検察庁の窓口(徴収係の窓口)で直接納付することもできます。納付の際、手数料などは取られません。

⑶ 罰金納付の注意点

以下では罰金納付の際、注意していただきたい点をご紹介します。

① 特段の事情がない限り「分割払い」は認められない

罰金は刑罰の一種で、お金の貸し借りで借りたお金とは性質を異にします。したがって、基本的には分割払いで納付することはできません

もっとも、「特段の事情」が認められる場合は、検察官の許可を得て分割払いをすることも可能ですが、いかなる場合を「特段の事情」として認め許可をするかは検察官の裁量に委ねられています。

はじめから分割払いありきで臨むのは検察官の印象を悪くするだけで逆効果ですからやめた方が無難でしょう。

② 納付期限がある

罰金には納付期限があります。上述した⑥~⑨までは「14日」、⑨以降(確定以降)は決まりはありませんが、通常「14日」の期限を区切られることが多いと思います。

⑩までに罰金を納付しなかった場合は、改めて検察庁から納付書(督促状)が送られてきます。

③ 罰金刑を受けてお金を払えない場合、刑務所に収容されるおそれがある

期限内に罰金を納付しなければ「刑務所」に収容されることがあります。

罰金を納付しない代わりに1日に換算された金額が罰金額に達するまで刑務所に収容されることを「労役場留置」といいます。

もっとも、期限が経過したからといって直ちに収容されるわけではありません。下記、詳しく解説致します。

④ 収容を避けるには担当者(検察庁の徴収係)に連絡・相談する

収容を避けるには期限内に罰金を完納することはもちろんですが、仮にそれができない場合は担当者にこまめに連絡を入れて期限内に納付できない事情を説明しましょう。

また、この際、一定の納付の目途を立てておくと担当者も安心します。

状況に応じて分割や期限の延長などの相談にも乗ってくれますからまずは相談することが大切です。

なお、「生活保護受給者」などお金に困っているという理由のみで、他の方と異なる有利な取り扱いを受けられることはありません。お金に困っている事情があっても担当者にこまめに連絡を入れ、相談することが大切です。

⑤ 罰金を納付しても前科は付く

懲役刑ではなく、罰金刑であっても前科は付きます。また、罰金を納付したかしなかったかにも前科に関係にありません。

前科は懲役刑、罰金刑などを言い渡した裁判が確定すると付くものです。

なお、逮捕後、被害者などと示談をして、その結果不起訴処分だったケースの場合は罰金は支払う必要がなく、前科も支払う必要はありません。

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4.罰金払えない・未納の場合「労役場留置」に

前述した、「労役場留置」についてご説明します。

労役場留置は刑罰ではなく、刑罰の一種である罰金刑の換刑処分、つまり罰金を完納することができなかった場合にその刑の代わりとなる処分です。

罰金刑は刑罰の中でも財産刑と言われていますが、換刑処分は財産刑特有の処分です。

なお、労役場といっても特別な施設があるわけではなく、「刑務所・拘置所などの中」に設けられています。

まず、検察庁から指定された日時に検察庁へ出頭するよう呼出しを受け、出頭すればそのまま刑務所などに収容されます。出頭しない、あるいは逃亡した場合は収容状(逮捕状ではない)に基づき強制的に身柄を拘束されて刑務所に収容されます。

また、略式命令謄本には「この罰金を完納できないときは金●●●●円を1日と換算した期間被告人を労役場に留置する。」と書かれています。

「●●●●は5000円」とされることが多いです。したがって、罰金40万円の場合の労役場留置期間は80日です。

なお、罰金の「一部納付」の代わりに、労役場留置に服することも可能です。たとえば、半分の20万円を納付した場合の労役場留置期間は40日服することとなります。

5.まとめ

罰金額は罪や事案の個別の事情によって変動します。

罰金には決められた納付方法、納付期限があり、これを遵守しないと労役場留置といって罰金納付にかわる換刑処分を受ける可能性があります。

罰金は交通違反の際に科される反則金とは性質、手続が全く異なりますから混合しないよう十分注意しましょう。

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