痴漢容疑における在宅事件と身柄事件の違いをわかりやすく解説

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パトカー

痴漢の疑いをかけられたとき、逮捕されてそのまま身柄を拘束されることもありますが、逮捕後釈放されて在宅のまま手続きが進むこともあります。このように、身柄事件と在宅事件にはどのような違いがあるのでしょうか?また、それぞれのメリットとデメリットも把握しておくと、今後の対応を考えるときに役立ちます。

今回は、痴漢容疑をかけられたときの在宅事件と身柄事件の違いについて、解説します。

1.在宅事件とは

痴漢容疑をかけられたら、必ず警察に逮捕されて留置場に入れられると思っていませんか?
実は、そういうわけではありません。痴漢以外でも同じですが、犯罪の疑いをかけられたとき、必ず身柄を拘束されるとは限りません。

そもそも、身柄を拘束するのはその方が捜査がしやすくなるためです。たとえば、犯人が外にいると、被害者を脅しに言ったり証拠隠滅をしたりするおそれがありますし、取り調べも自由に行うことができません。共犯者と共謀して証拠隠滅することもあります。

ただ、被疑者(一般的には容疑者と言われる人です)が証人や被害者を強迫するおそれもなく、逃亡するおそれもなければわざわざ身柄を拘束しなくても捜査自体はできるのです。このような場合には、あえて被疑者の身柄を拘束せず、在宅のまま捜査を続けます。このように、身柄拘束をしない刑事事件のことを「在宅事件」と言います。

痴漢でも在宅事件が選択されることがありますし、在宅事件のまま刑事裁判になる例もあります。

2.身柄事件とは

刑事手続きの中でも在宅事件に対する概念が「身柄事件」です。身柄事件とは、被疑者の身柄を拘束したまま捜査を進める方法です。

通常は、被疑者を逮捕してからそのまま引き続いて「勾留請求」をして、勾留決定後、警察の留置場に勾留し続けます。

逮捕後勾留までは最大72時間(3日間)、勾留は最大10日間ですが、その後さらに10日間勾留延長される可能性があるため、勾留期間は最大20日間になる可能性があります。逮捕後勾留までの期間を合わせると、長くて23日間は身柄拘束が続くことになります。

逮捕されても、引き続いて勾留が行われなければ身柄が解放されるので、在宅事件に切り替わります。痴漢の場合、このパターンで在宅事件になることが多いです。

3.在宅事件と身柄事件の違い

それでは、在宅事件と身柄事件には、どのような違いがあるのでしょうか?

3-1.どこで過ごすか

明らかな違いは、被疑者が自宅で過ごせるか警察の留置場で過ごすかということです。身柄事件になったら、警察の留置場内で毎日を過ごさないといけないので、自分の好きなときに好きなところに行くことはできませんし、会社に通勤することもできません。

これに対し、在宅事件であれば、基本的に事件前と同様に自由に生活することができます。普通に会社に出社することもできますし、周囲に何も言わなければ、痴漢事件の被疑者になっていることを知られることもありません。

3-2.取り調べ状況が異なる

また、警察による取り調べ状況も異なります。身柄事件の場合、基本的に警察のペースで非常にタイトな日程で捜査が進められます。1日の間、午前と午後の両方に取り調べが入ることもありますし、現場に連れて行かれて実況見分に立ち会わせられることもあります。

これに対し、在宅事件の場合には、捜査は警察のみの都合では進みません。会社に行っているときに「今すぐに警察に来い」と言われることはありません。逮捕されない限りは任意での事情聴取という形になるので、協力できない場合には断っても良いという建前だからです。ただし、呼出を受けても断り続けていると、「逃亡、証拠隠滅のおそれ」があるなどとして逮捕されてしまうので、注意しましょう。

在宅の場合、捜査はさほど詰めては行われません。数ヶ月に及んで行われ、たまに警察や検察庁に呼び出されて事情聴取が行われるといった程度です。

3-3.普段の生活

生活の内容も全く異なります。留置場は冷暖房も効いていないことが多いですし、お風呂も毎日入ることができません。衣類も限定されますし、食事は配られるものだけで、外から食べ物を差し入れてもらうこともできません。起床時刻や就寝時刻も決められます。

普段の生活からは考えられない不自由な生活になります。

これに対し、在宅事件の場合、完全に普通に自由に生活ができます。
このように、同じ「痴漢事件」とは言っても、在宅事件になるのか身柄事件になるのかで、その後の取扱が全く変わってくるのです。

4.在宅事件のメリット

次に、在宅事件のメリットを確認しましょう。

4-1.自由に生活ができる

まずは、自由に生活ができることです。身柄事件になると、警察の留置場に閉じ込められてこれまでとは全く異なる不自由な生活になるので、大きなストレスがかかりますし、今後どうなるのか不安で押しつぶされそうになります。気持ちがめげるので、警察からの厳しい取り調べにも対抗する気力が無くなり、やってもいないことを認めてしまうおそれもあります。えん罪ではなくても、不必要に悪質な犯罪者に仕立て上げられてしまう危険も無視できません。

ここで在宅事件となり、外で自由に生活ができていたらストレスもありませんし、警察の都合で無理矢理厳しい取り調べをされることもありません。自分のペースで、気持ちを落ち着けて事情聴取に臨むことができるので、虚偽の自白をすることもなく、えん罪のおそれも減ります。

4-2.自分で弁護士を探すことができる

在宅事件の大きなメリットは、自分で弁護士を探すことができる点です。

刑事事件の被疑者になってしまったとき、弁護士の存在は非常に重要です。痴漢事件に強い有能な弁護士に弁護をしてもらったら、会社にバレることもなく前科がつくこともなく、不利益を最小限にとどめることができますが、刑事事件に熱心に取り組んでいない弁護士に依頼してしまったら、対応が後手後手になって、大きな不利益を受ける可能性があります。

身柄事件の場合、自分で良い弁護士を探すことができないので、家族に探してもらうか当番弁護士を呼ぶしかありません。しかし、当番弁護士で来てくれた弁護士がたまたま痴漢事件に強い弁護士とは限りませんし、家族が選んだ弁護士を気に入るかどうかもわかりません。家族が弁護士の探し方をあまり把握していない場合には、痴漢事件をあまり扱ったことの無い弁護士を選んでしまう可能性もあります。

在宅事件なら、自分でインターネット上の弁護士のホームページをチェックして、痴漢事件に力を入れている弁護士を探して相談に行き、自分の目と耳で確認した上で良いと思った弁護士に弁護を依頼することができます。

4-3.解雇されない

在宅事件になると、会社で受ける不利益を小さくすることができるのが、大きなメリットです。多くの会社では「刑事事件で有罪判決を受けた場合」には懲戒解雇すると定めています。そこで、痴漢で捕まった場合、そのことが会社にバレると、解雇につながる可能性が非常に高いです。10日や20日の身柄拘束期間が続くと、その間会社に出社できないので、無断欠勤扱いになって懲戒される例もあります。会社に残れたとしても、痴漢がバレているので非常に戻りにくくなりますし、昇進などが厳しくなることも多いです。

ここで、在宅事件になると、会社に知られずに手続きを進められるので、解雇されるおそれはほとんどありません。身柄拘束を受けず、普通に会社に出社できるので、無断欠勤になることもありません。

4-4.噂にならない

身柄事件になると、しばらく家に戻ることができませんし、家族も慌てるので、何となく普段と違った雰囲気になり、近所の人に不審に思われます。会社でも「どうして出社してこないのだろう?」と不審に思われてしまいます。すると、近隣や勤務先などであれやこれやと噂になることがあります。痴漢とはっきりわからなくても「何か問題を起こしたらしい」「警察に捕まっているらしい」「この前〇〇さん宅に警察が訪ねてきているのを見た」などと言われて、いろいろな憶測が飛び交います。

このようなことになると、家族も近所の中で居心地が悪くなってストレスを感じますし、近隣や会社にどのような対応をして良いかわからなくなって困ってしまう例もあります。
また、ようやく身柄を解放されて家に戻っても、周囲から変な目で見られるので、自分としても嫌な気持ちになるでしょう。

在宅の場合、このように変な噂が起こることはありません。普通に生活ができるので、誰も不審に思う理由がないからです。このことも、在宅事件の大きなメリットと言えるでしょう。

5.在宅事件のデメリット

何かとメリットの多い在宅事件ですが、デメリットはあるのでしょうか?以下で見てみましょう。

5-1.事件が長びく

まず、在宅事件の場合、痴漢事件全体が長びくおそれが高いです。

身柄事件の場合には、逮捕後引き続いて勾留が行われるケースであっても、起訴前の身柄拘束期間は最大23日間です。そこで、事件後23日が経過したら、必ず起訴されるかされないかが決まりますし、不起訴になったらその時点で身柄が解放されて、無罪放免です。

これに対し、在宅事件の場合、こうした期間制限がありません。刑事事件には公訴時効がありますが、反対に公訴時効の間なら、いつでも起訴できる状態になるのです。痴漢の公訴時効は、軽微な場合の迷惑防止条例違反であれば3年、悪質な場合の強制わいせつになると7年です。そこで、普通の痴漢事件の場合、事件後3年間はいつなんどき起訴されてもおかしくない、という状態になってしまいます。その間、裁判になるのかならないのかが確定しないので、被疑者としては非常に立場が不安底です。このことは、在宅事件の一つのデメリットと言えるでしょう。

5-2.突然呼出を受ける

在宅事件の場合、検察官は「いつまでに起訴しなければならない」という制限を受けません。そこで、捜査を先延ばしにして、間延びしたタイミングでいきなり被疑者を呼び出すことがあります。痴漢でいったん捕まっても、その後釈放されて在宅事件になり、普通に会社に通勤して生活をしていると、事件のことなどすっかり忘れていることが多いです。

しかし、数ヶ月やときには1年近く経過してから、突然検察庁から呼出をされてしまうのです。このような場合、被疑者は非常に焦りますし、「どうなるの?」と不安になってしまいます。

また、このときまでに被害者と示談ができていなければ、起訴されてしまうおそれも高いのですが、事件から時間が経ちすぎていると、被害者の側にしてみても「今更何を言っているのか」ということになり、示談を進めにくいです。結果的に起訴されて、一生消えない前科がついてしまう不利益を受けます。

6.どういった場合に在宅事件になるのか?

身柄事件と在宅事件を比べて見ると、在宅事件にデメリットがあるとは言え、身柄事件のデメリットの方がよほど大きいですし、できれば在宅事件にしてほしいと考えるのが普通です。それでは、痴漢事件で身柄事件か在宅事件のどちらになるのか、その判断基準はどのようなものとなっているのでしょうか?

このとき、以下のような要素が考慮されます。

事案の内容

まず、事案の内容によって異なります。悪質であれば身柄事件になる可能性が上がります。

被疑者の反省

被疑者が強く反省している場合、釈放してもらえる可能性が高くなります。「何が悪い」という開き直った態度をとっていると、身柄拘束の必要性があると判断されやすいです。

被害者の被害感情

被害者の被害感情によっても判断が左右されます。被害感情が強く「絶対に許せない」という場合や被害者が未成年など保護の必要性が強いケースなどでは、身柄事件になる可能性が高まります。

逃亡のおそれ

被疑者の逃亡のおそれも考慮されます。たとえば、家族(妻と子ども)がいて、サラリーマンで毎日通勤しており、住宅ローンを組んでいるような人は逃亡のおそれが小さいので、身柄拘束されない可能性が高くなりますが、独り者や定職に就いていない人などは、身柄事件になる可能性が高いです。

7.在宅で、いきなり検察庁から呼出しを受けたらどうしたらいいの?

在宅事件が選択されると、突然検察庁から呼出を受けることがあります。このとき、どう対処したら良いのかわからないという人が多いので、説明します。
まずは、きちんと呼出に従って検察庁に行きましょう。無視していると、逃亡のおそれがあるなどとして逮捕されてしまうおそれがあります。

検察庁に行ったら、おそれなくても良いので、事件のことを思い出しながら記憶にある範囲で答えましょう。検察官が「~だったんじゃないか?」などと言ってきても、」それが事実と違うなら認める必要はありません。

また、調書が作成されたら、必ず見せてもらって間違っている部分がないかどうか、始めから終わりまでしっかりチェックしましょう。もし違っていたら、署名押印をせずに、訂正をしてもらいましょう。いったん調書に署名押印したら、それは裁判に提出されて証拠になってしまうので、ここで不利益な内容が書かれていたら、それを前提で判決を受けることになってしまうからです。

検事調べに不安がある人は、事前に一度、弁護士に相談に行ってアドバイスをもらっておくと良いでしょう。

8.在宅事件でも弁護士に相談する必要はある?

在宅事件になったら、普段通りに普通に生活出来ますし、取り調べなどもなく数ヶ月が経過するので、事件のことが頭から無くなってしまう人が多いのですが、このような場合でも弁護士に依頼する必要があるのでしょうか?

在宅事件でも、弁護士に対応してもらうことは非常に重要です。在宅事件になったということは、「無罪放免」になったのではありません。単に被疑者が在宅のまま捜査を進めているということであり、捜査が終了したら起訴されて裁判になる可能性もあるのです。日本では有罪率が99.9%以上なので、起訴されたらほとんど間違いなく有罪になり、前科がつきます。前科には時効や期限がなく、一生消してもらうことはできません。

そこで、在宅事件でも弁護士に弁護を依頼して、不起訴にしてもらう必要があります。そのためには被害者と示談をしたり検察官に効果的に働きかけたりしないといけないので、刑事事件に強い弁護士に依頼する必要性が高いです。

在宅事件で弁護士に相談しておかないと、ある日突然起訴されて裁判になり、思わぬ重い刑罰を適用されて、「こんなはずじゃなかった!」と後悔することにつながります。
自分や家族が痴漢事件で在宅扱いになっているなら、まずは刑事弁護に強い弁護士を探して相談の申込みをしましょう。

まとめ

痴漢事件には在宅事件と身柄事件があり、明らかに在宅事件の方が大きなメリットがあります。ただ、在宅事件であっても無罪放免ではないので、きちんと弁護士に対応を依頼して不起訴処分を勝ち取るための活動をすすめるべきです。
インターネットのホームページを見比べて刑事弁護や痴漢事件に力を入れている弁護士を探し、早めに弁護を依頼しましょう。

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