痴漢の罪名!迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪は大違い
「ここにチカンがいます!」突然電車内で叫ばれ、駅員室に無理やり連れて行かれ、その場で現行犯逮捕されてしまいました。万…[続きを読む]
性犯罪加害者の中には、常習犯と呼ばれる人もいます。
常習犯はいわゆる性依存症となっているケースが多く、自分でも病気かもしれないと感じている人もいて、この場合、止めたいと思っていても性犯罪に走るのを止められません。
この記事では、痴漢等の性犯罪に走りやすい人の心理・特徴・共通点と、再犯率の実態について解説します。
ご自身や家族が痴漢の常習犯で「もしかしたら依存症なのかも」「性癖を直したい」とお悩みの方は、どうぞご一読ください。
当然ですが、痴漢行為は犯罪です。痴漢行為をすれば処罰されます。
痴漢の処罰規定については、別途記事で解説致しますが、性依存症などで痴漢の常習犯となってしまう方は、このような刑罰は抑止力にならないケースが多いです。
犯罪行為だと分かっているのに、自分の都合のよい方向に解釈す心理も働き、痴漢や盗撮をやめられなくなってしまうのです。
平成27年の犯罪白書には、統計に基づいた性犯罪者の特徴や再犯した人の前科率も掲載されています。
痴漢型は「(何かしらの)前科のある者の割合が91.1%(286人)」で、うち「性犯罪前科のある者の割合は85.0%」です。中でも、強制わいせつによる前科のある者は21.7%、条例違反による前科のある者は79.6%でした*。
このように痴漢をする人は、一度逮捕されても、また繰り返してしまう特徴があるのです。
*記載の前科率は痴漢犯罪に限りません|【引用元】平成27年犯罪白書 第6編/第4章/第3節
医学博士(精神科医)の福井裕輝氏によると、性犯罪に走りやすい人にはある共通点が存在するそうです。
それは「自己愛が過剰に強いこと」、つまり、他者からの賞賛を過剰に求める傾向が強いというのです。
ある意味で理想が高いと言えますが、一方で、他者を物のように扱ったり、男尊女卑的な考え方が強いのも特徴的だと言えます。
自己愛が強い人は、一見プライドが高そうに見えますが、ちょっとしたダメージを受けただけでも過剰に傷ついてしまい、それが犯罪の契機になるそうです。
また、過剰な自己愛を生み出す原因の一つが生育環境にある場合も多いようです。
一般的な傾向として、過保護に育てられた人に自己愛の強い人が多く、過保護でありながらも、親から「適切な愛情」を与えられていない場合に自己愛が強くなりすぎる傾向があるそうです。
また痴漢の常習犯には、自分を律しきれない誘惑に負けやすい心理状態という共通点もあるでしょう。以下に、具体例を紹介致します。
美容室を経営する男性が、電車内で女性のふとももを触るなどしたとして、都迷惑防止条例違反の罪に問われた事件がありました。男性は自宅から店舗に向かう途中だった電車内で、女性が着ていたワンピースを下からめくり、ストッキングの中に手を差し入れたと言います。
被告は7、8年ほど前から痴漢行為を繰り返すようになり、今回で5回目の逮捕。前回の逮捕時は執行猶予期間中だったので、1年間ほど刑務所に服役した経験があります。にも関わらず、何度も再犯に及んでしまう男性の心にはいったいどんな闇が潜んでいるのでしょうか?
被告はこう語りました。
「電車内で若い女性が近くに来ると、性的な欲求が高くなり、自然に手が伸びていき、自然に触ってしまうという悪い癖があるんです。自分には病的な部分があるんです」
また、被告が痴漢を繰り返すきっかけとなったのは、知人が貸してくれた痴漢もののDVDだったそうです。痴漢行為に興奮を覚えた被告は最初はDVDで性的欲求を満たしていましたが、それでは物足りなくなって実際に痴漢をするようになったと言うのです。
裁判で被告の兄が証言台に立ち、母の話が出ると、一段と涙があふれ出した被告。弁護人は、過労やストレスが原因だったのではないかと問いましたが、被告は自分に異常な性的嗜好、性癖があったと思いますと答えています。
被告には婚約者がいましたが、度重なる痴漢行為により婚約を破棄され、被告の経営する美容室も閉じることに決まりました。被告の兄は、被告に心理カウンセリングを勧めています。
最近の傾向として、痴漢専門の掲示板などに影響を受けて痴漢の常習犯になるケースもあります。
また、児童ポルノ法違反などの場合、オンラインコミュニティがきっかけになる場合も多いようです。例えば、下記のような事案です。
16歳の少女に携帯電話で裸を撮影させメールで送らせたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)の疑いで、当時無職の男性(23)が県警により逮捕されました。逮捕容疑は、ゲームサイトで知り合った少女(16)が18歳未満であることを知りながら、携帯電話で少女の裸の写真を撮影させてメールで自分の携帯電話に送信させたとされています。容疑者は容疑を認めているそうです。
このように、痴漢等の性犯罪の常習犯にはある種の心理・特徴があります。
「性犯罪をどうしても止められない」「性癖がなおらない」という人は、放置していると再び犯罪に走ってしまい、被害者を増やすことになりかねません。
「私は病気だ」と感じる方は、すぐに専門の医師の診断を受ける(弁護士に紹介してもらう)などして、この状況を改善することを考えましょう。
また、痴漢などで実際に逮捕されてしまった方やその家族は、弁護士に刑事弁護を依頼することをお勧めします。
痴漢・盗撮などの性犯罪に詳しい弁護士ならば、依存症の可能性を視野に入れた上で、単なる刑事弁護だけでなく再発防止策までもアドバイスしてくれるでしょう。先ほど述べたように、もしかしたら、専門のクリニックを紹介してくれるかもしれません。