盗撮は再犯だと罪が重くなるの?初犯と再犯で罪や罰則の違い

盗撮はやってはいけない犯罪です。ですが法律上は、軽い罰金程度で済むこともあるのが実情です。もっとも、「軽い罪や罰則しか課されないんでしょ?」と考えるのは少し早計かもしれません。というのも、盗撮は、再犯が多く、再犯になると罪や罰則の重さも変わってくるためです。
また、地域によっても罰則の内容が違っているのはあまり知られていません。都市部の場合は、特に罪が重くなっています。
今回は、盗撮における罪や罰則の違い、そして初犯と再犯で変わる罪の重さなどについて詳しく解説いたします。
1. 盗撮で捕まった。初犯と再犯の基本的な違い
盗撮と一言で言っても、実際は、初犯なのか、再犯なのか、常習なのかで罪や罰則は変わってきます。まずは、ここから理解していきましょう。
1-1. 初犯の盗撮のケース!迷惑防止条例違反の規定
まず、盗撮についておさらいになりますが、これは刑法上の犯罪ではなく、各都道府県の迷惑防止条例で規定されている犯罪です。
例えば、東京都では、迷惑防止条例では、
として禁止しています。
刑罰の相場はおおむね、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」か「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていると思います(各都道府県の自治体によって、盗撮初犯の罰則は少しずつ異なりますのであくまで相場です)
これだけを聞くと、そこまで罰則の重い犯罪とは思えませんよね。
実際上も、懲役刑になることはほとんどなく、罰金刑や不起訴処分で済むことが多いため、罰則としては軽いという印象を持たれている方が多いでしょう。
1-2. 再犯盗撮のケース
次に、再犯のケースについてです。
刑法では、一度犯罪を犯した後、5年以内に再び犯罪を犯した場合「再犯」という扱いになります(刑法第56条)。
さらに再犯の場合、刑法上に下記の規定があります。
つまり盗撮の罰則は「法定刑の2倍」科される可能性があるということです。
先ほどの「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の規定の場合で言えば、再犯の場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科される可能性があるということになります。
もちろん、必ず2倍になった刑が科せられるというわけではありませんが、「反省していない」「更生していない」という心証を裁判官は持つことになりやすいので、実刑の可能性も高くなります。
1-3. まとめ
罪 | 刑罰 |
---|---|
迷惑防止条例違反(東京都) ※撮影初犯 | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 |
迷惑防止条例違反(東京都) ※撮影再犯 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
盗撮で2回目の逮捕という場合でも、常習性が認められる証拠があれば、重い刑罰が科される可能性があるので注意しましょう。
2. 再犯は「実刑」の可能性が高くなる?
では、再犯をおかすと実刑の可能性は高くなるのでしょうか。
結論から申しますと、再犯を犯してしまったからといって、実刑に必ずなるというわけではありません。
特に迷惑防止条例違反の場合は、数度繰り返した場合でない限り、起訴自体も少ないのが現状です。
盗撮だけではなく他の迷惑防止条例違反も同じですが、2回捕まっただけでは起訴されず、3回目以降に起訴されるというケースが多いのが実情です。
ただ盗撮を何度も常習的に行っているケースはもちろん実刑になる確率は上がります。
たとえば盗撮の場合、複数人の盗撮画像がスマホから見つかり、その分を余罪として立件するという形もあり、それを常習として判断することがあります。
さらに行為態様や前科の状況などから、「2件の犯罪」として立件すべきと判断すれば、2件の犯罪としてカウントされる可能性も否定できません。
ともあれ、実刑の可能性が高いと判断した場合は、執行猶予を獲得するためにも弁護士に相談する必要があると言えます。
■参考記事
痴漢・盗撮で執行猶予を受けるために必ず知っておくべき知識
3. 都市部での盗撮行為は厳しく罰せられる
では、どの地域で盗撮に関する罰則が厳しくなっているのでしょうか。
基本的に、都市部では盗撮に関する罰則が厳しく規定されています。例えば、東京や大阪では他の都道府県よりも厳しい罰則になっています。
先述した通り、東京都と大阪府の迷惑防止条例では、初犯の盗撮につき「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が規定されており、年々厳罰化傾向が急速に進んでいます(東京都迷惑防止条例5条1項2号、2項、8条2項目、大阪府迷惑防止条例6条2項、3項、15条1項)。
一般的な盗撮の初犯の罰則と比べていただくとわかりますが、2倍の重さになっています。同種の迷惑防止条例で痴漢については、特に都心だけが厳しいというようなことはないので、盗撮については、罰則を強化しているということでしょう。
4. 示談できれば、不起訴になる可能性はあり
このように、一見軽い犯罪であるように見える盗撮ですが、いろんな事情を観察してみると、そうではないことがわかるはずです。
反省して、極力、罰を軽減しようとするのなら、起訴前に被害者と「示談すること」が必須になります。
■参考記事
盗撮をしてしまった場合の示談の重要性~盗撮の示談金相場はいくら?
盗撮は性犯罪であり、再犯率も高い犯罪累計です。一度捕まっても、不起訴になったことにより、また犯罪を繰り返してしまう人もいます。
都市部による罰則の強化や、犯罪の態様、再犯などの複数の要素が積み重なれば、懲役刑が科される可能性もあります。
検察官の求刑自体が重くなってしまうこともありますので、盗撮を軽い犯罪だと軽視せず、弁護士に相談することが懸命でしょう。