痴漢の現場を目撃したらどうすればいい?

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は痴漢・盗撮弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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目撃者

満員電車などでは、身動きが取れず他人と密着状態になります。下手をすれば、腕など人と人の間に挟まって動かせないほどの状況になることもあるでしょう。このように人が混雑している隙をついて痴漢が発生する場合があります。

痴漢を目撃してできることは?

自分が普段、利用している路線などで痴漢の現場を目撃した場合、犯人を捕まえるという選択肢も思い浮かぶ方もいるでしょう。ですが、相手が大人しく捕まるとは限りません。また、自分よりも力が強い相手ならば自分のほうも危険が及ぶ可能性も出てきます。混雑している車内で犯人が暴れてしまえば、周囲に対しても負傷者が出てしまうこともあるため、安易に取り押さえるために行動するのは得策ではありません。

ほとんどの男性にとって痴漢は「オレには関係ない」かも知れません。良い意味でそうであって欲しいと心から願います。もしそんな良識ある男性が、たまたま通勤電車で痴漢の現場を目撃してしまったらどうすればいいでしょうか?

痴漢を捕まえようとするリスクとは?

もう一つのリスクとしては、自分は被害者を助けようと思って行動しても、肝心の被害者が現場から逃げてしまう可能性です。被害者は、犯人に対する恐怖から、電車を降りてそのまま逃げてしまうこともあります。自分が犯人を取り押さえても、痴漢をしたという事実を認めなければ、自分のほうが障害の罪に問われてしまう可能性もでてきます。そのため、痴漢を目撃した場合には、助けようとする行動は立派かもしれませんが、自分に対して、周囲に対してのリスクも同時に考える必要があります。

また、腕っぷしの強い女性なら有無を言わさず取り押さえるのかも知れませんが、男性には「もしオレの見間違いだったら大変なことになる」という恐怖があるのではないかと思います。世の多くの男性は痴漢冤罪の恐ろしさをよく知っているからです。

痴漢誤認するという可能性もあるため、その点に関しても注意が必要です。混雑している車内では、はっきりと現場を目撃できている状況でなく、なんとなくあやしいそぶりをしているように見えるだけで、実際には、何もしていない可能性という場合もあります。

もし、犯人だと決めつけ、取り押さえてしまうと、何の罪もない一般人を裁判にかけることになります。そのような場合には、その人の世間体、仕事、家族からの信頼などさまざまなものを失ってしまう可能性もあります。こっちは、正義感などから行動をしても、罪のない一般人を逮捕に追いやる結果となってしまっては、とても後味の悪い結果になってしまうことがあります。困っている人を助けるために行動するということは、とても勇気のいることです。しかし、軽はずみな行動は人の人生を狂わす可能性も秘めているということを忘れてはなりません。自分の行動に対する責任、リスクなどを良く考えることが重要です。

助けるはずが犯人に?

そして、安易に被害者を守ろうと被害者と犯人の間に入ろうとした場合、確かに被害者を守ることになるかもしれません。ですが、被害者は、痴漢されている状況のため冷静な判断ができません。恐怖により周囲にまで気を配る余裕もないでしょう。

そのような状況で、仮に自分は被害者のことを考え守ろうとしても、肝心の被害者のほうが、勘違いを起こしてしまい自分のことを犯人と誤解してしまう可能性もあります。そうなってしまうと、被害者のために行動しても自分の人生が狂ってしまう結果になってしまいます。誤解だといっても、周囲の方が証言してくれる場合には、誤解が解ける場合もありますが、周囲に証言をしてくれる人がいない、自分が被害者を守ろうとした気持ち、そして行動を取ったとしても、被害者が勘違いしてしまえば犯人扱いになりかねません。

犯行現場を見たからといって、被害者が犯人を見ているとは限らず、状況によっては無関係な人を犯人扱いしてしまうこともあります。軽はずみな行動を取るのは、かなりリスクが高くなる可能性もでてくるため、現場の状況判断が重要です。

痴漢現場を目撃してできること

では、現場を目撃した場合にはどのようにしたらいいかという点としては、鉄道警察に相談するといいでしょう。どの路線で、時間帯、そして犯人の特徴などを伝えておくことで、鉄道警察のほうが対策などをしてくれる場合もあります。犯人自体は、定期的に同じ路線を利用して犯行を繰り返している可能性もあるため、警察に知らせておくことは大切です。

現場を目撃した時に、自分に対してリスクがある状態で無理に行動しなくても、このように警察に頼る、知らせるということは重要です。その後の犯罪防止、予防にもつながるため現場を目撃した場合には、できるだけ鉄道警察に詳しい状況や犯人の特徴を知らせておきましょう。

また、状況によっては被害者が犯人を捕まえる可能性もあります。本人が捕まえた場合であっても、それを証明する人がいなければ、犯人は否定し続けることでごまかそうとするでしょう。ですが、実際に自分がその現場を見ていたのならば、それを証言することもできます。被害者から証言して欲しいと頼まれたら協力することで、犯人を逮捕するための手助けになります。

痴漢をしている犯人を捕まえることで、被害を減らすことにもなります。被害者を増やさないためにも、自分に出来る行動、的確な判断をすることは大切です。感情的な行動に出ず、冷静に判断することや、しっかりと犯行をしているという確証があるかという点、また、犯人の特徴などもしっかりと覚え、鉄道警察に間違いのないように詳しく説明しましょう。

自分の身を守りつつ、被害者と思しき女性のために何か行動をするとしたら、痴漢か女性が降車したときに女性に声をかけて実際に痴漢被害を受けたのかどうかの事実確認をしてから、自分が目撃した情報を提供して差し上げるのが良いともいえますが、警察に報告するよりはリスクを被ることにはなるので注意が必要です。

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