旦那が逮捕された!どう対処したらいいの?今後の生活は?
どういう罪であっても、おそらくほとんどの方が、いきなり夫が警察に捕まってしまったという連絡を受けたら、どうしたらいいのかわからずパニックになってしまうと思います。
夫が捕まったら、一体どのような対応をとれば良いのでしょうか?
また、罪を犯し逮捕されたことで夫が辞職することになってしまった場合、今後の生活はどうしたら良いのでしょうか?
正しい対処法を詳しくご紹介していきます。
目次
夫が捕まったら、勾留通知もしくは弁護士から連絡が来る
夫が警察に逮捕されたということは、多くの場合、勾留通知もしくは弁護士から連絡が来ることになります。
では、どの段階で、夫が逮捕されたという事実が伝えられるのでしょうか?
逮捕直後に警察からの連絡
悪意の度合いが高くない場合は、逮捕直後に警察から連絡が来る場合があります。
ただし、この時点では警察には家族などに連絡する義務はありませんので、この段階では連絡が来ない可能性も大きいです。
まず夫は逮捕されたら、警察署で事件についての取り調べを受けることになります。
この取り調べにおいて比較的軽い犯罪であると判断された場合、微罪処分となり、警察官からの注意だけですぐに解放されるというケースもあります。
それ以外の場合には、逮捕後48時間以内に夫の身柄は検察庁に送致されることになります。
勾留決定直前の連絡
証拠隠滅もしくは逃亡の恐れがあり、勾留しておかないと捜査や裁判に悪影響を及ぼす可能性があると判断された場合には、「勾留」が請求されることになります。
事件送致を受けてから24時間以内に、被疑者を勾留するかどうかの判断を検察官が行い、その請求を裁判所が許可した場合、まずは最大10日間という期間で身柄が拘束されることになります。
その際に、刑事訴訟法79条に基づいて、勾留通知もしくは弁護士を通じて連絡が来ます。
刑事訴訟法第79条とは
つまり、弁護士がいない場合は、逮捕された人は誰に連絡してほしいかを聞かれ、夫が指定した家族の1人に通知書もしくは電話が来ることになります。
この時点で弁護士がいる場合は、家族には弁護士を通じて連絡が来ることになります。
妻はどう対応すれば良いか
旦那の職場に休職の連絡をする
夫が逮捕されることになってしまった理由が、職場での犯罪などでなければ、基本的に警察から夫の勤める会社へ連絡が入ることはありません。
会社へ夫が会社を休む旨の連絡を入れておかないと、無断欠勤が続く状態となってしまい、辞職しなければならないリスクが出てきてしまいます。
そのため、忘れずに会社へ休職の連絡を入れるようにしましょう。
まだ取り調べの段階である場合には、2日から3日で解放される可能性もあります。
そのためこの時点では、体調不良もしくは家庭の事情により休むという連絡をしても大丈夫です。
しかし勾留が決定した場合には、少なくとも10日以上、もしくはさらに長引く可能性もあります。
このような場合には、警察に身柄を拘束されていることを会社に説明しければならない可能性もあります。
被害者との示談交渉を行う
夫が逮捕される原因となった事件に被害者がいる場合には、被害者との示談交渉を行うことで、勾留期間が短縮されたり、不起訴となって前科がつくのを回避できる可能性があります。
被害者との示談交渉を行うと言っても、犯罪の内容によって、被害者の連絡先を教えてもらえない場合や、被害者との接触を拒否される場合もあります。
つまり、個人で示談交渉を行うのは困難なため、また被害者の方に妻として責任を果たすため、弁護士に示談について相談する必要があります。
夫が犯罪を犯したら、弁護士に依頼するのが確実
夫が逮捕された場合、取り調べを受けている間(最大72時間)は家族でも面会することができません。
夫も携帯電話などの外部と接触する手段となるものは没収されてしまっているため、どのような状況で逮捕されたのかを家族に知らせることはできません。
しかし、弁護士なら取り調べ中であっても面会することができます。
また弁護士を通じてどのような状況で逮捕されてしまったのかなど、事情を聞くこともできます。
そして、どれくらいの拘束を受けそうなのか確認してもらい、今後どのような対策をとっていくのかなどを相談することができます。
さらに、逮捕から72時間以内に弁護士の依頼ができた場合には、勾留請求阻止のための弁護活動を行うことができます。
旦那が捕まり辞職して無収入になったら、生活費はどうすればいいの?
勾留が長引き、夫の職場に逮捕された事が知られてしまって自主退職をすることになってしまった場合、生活が出来なくなる不安が大きいかと思います。
夫が無収入となってしまったら、一体生活費はどのようにすれば良いのでしょうか?
まずは区役所・市役所に相談することを考えるべき
夫が捕まったら一番困ることの一つに、生活費などの金銭面の問題があると思います。
もちろん貯蓄に余裕があって、一定期間収入が無くても大丈夫という場合は問題ありませんが、多くの方はご主人の収入がストップした時点で、生活に困窮してしまいます。
このような時、役所の判断で生活保護を受けられる可能性があります。
まずは区役所・市役所に相談しましょう。
夫が逮捕され辞職したことで、収入が途絶えてしまって生活に困窮し、親族からのサポートも受けられない場合、生活保護を受けられる可能性もあります。
生活保護を受給できるかどうかは、区役所または市役所が判断することになります。
生活保護の条件を知る
生活保護の申請を検討といっても、被疑者の家族すべてが受給できるわけではありません。
では、区役所や市役所で生活保護の受給を認めてもらうためには、どのような条件が必要なのでしょうか?
a)身内や親族に援助してくれる人が居ないこと
どんなに生活に困窮していたとしても、身内に1人でも援助できる人がいる場合には、生活保護の申請はできません。
b)生活費に困窮・資産がないこと
預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却し、生活費に充てなくてはなりません。
また車、生命保険などの資産がある場合にも、生活保護を受けることはできません。
c)理由があり働けないこと
幼い子供がいるために子供の世話に手がかかり、パートなどの仕事ができないという条件も必要です。
夫が捕まり辞職して無収入になってしまったら、住宅ローンはどうする?
夫が捕まり辞職して無収入となってしまった場合、生活に困窮するだけではなく、生活の場である自宅の住宅ローンも払えなくなってしまいます。
その場合どのように対応したら良いのでしょうか?
任意売却をする
ご自宅を任意売却する事で得られた資金をローンに当て、不足分があった場合には月々に分割して返済することになります。
賃貸として貸してローンの返済にあてる
まずは住宅ローンを組んでいる金融機関に相談をして、承諾を得ることができた場合には、ご自宅を賃貸物件として貸し出します。
そしてその賃料をローンの返済に当てるというのも一つの方法です。
ただ、今まで住んでいたご自宅を他の方に貸すことになるので、別の場所に家を借りて住まなくてはなりませんが、この時かなり低価格の物件に住まないと、ローンと家賃でプラマイゼロになってしまいますので注意が必要です。
旦那と離婚するかしないか、そんな時どうする?
旦那が罪を犯し逮捕されてしまった場合、離婚するべきか離婚しないべきか迷われることと思います。
「妊娠中の逮捕なんてふざけてる」「離婚したほうが自分や子供のためでは…?」と思ってしまうこともあるかもしれません。
ご自身やお子さんの毎日の生活と今後の人生を守るためには、どのようにすれば良いのでしょうか?
まず自分の気持ちを確認する
離婚を決めるのに、何よりも大切なのはご自身の気持ちです。
どんなに世間体が悪くても、経済的に苦しくても、自分の気持ちを誤魔化して離婚してしまうと、後々精神的な苦しみを味わうことになります。
離婚に向けて、しっかりと自分の気持ちが固まっているか確認するようにしてください。
離婚後の生活を考える|母子手当・慰謝料など
今まで夫の収入だけで生活をしてきた方は特に、離婚後の生活に不安を感じられると思います。
特によく考えなくてはならないのは、生活の基盤となる経済面です。
離婚後にどの程度のお金を受け取ることができるのか、よく確認するようにしましょう。
慰謝料
逮捕されたという理由のみで、慰謝料請求が認められるとは限りません。
慰謝料請求が認められるかどうかは、夫が逮捕された原因や刑事裁判の状況に加えて、その他の婚姻時の事情などを様々な観点から総合的に判断されて、婚姻関係を継続し難い重大な理由があったかどうかということが最重視されます。
そのため、ただ単に「夫が逮捕された」という事実だけを理由に、慰謝料が発生したり増額されたりするかどうかは、一概には言えないので注意が必要です。
ただし、性犯罪などで逮捕されて有罪だった場合は、不貞行為と判断され、慰謝料請求をできる可能性は高いです。
さらに、夫の逮捕が原因となって精神的な苦痛を受けた場合には、慰謝料の請求はすべきです。
その他ご主人が犯した罪によっても慰謝料を請求できるかどうかは変わってきますので、慰謝料請求については、弁護士に相談することをオススメします。
養育費
離婚が成立しても親子関係はなくならない以上、夫の子供に対する扶養義務はなくなりません。
養育費は法律で義務付けられていますので、夫は自分の生活レベルを落としてでも養育費は支払わなければならないのです。
しかし、夫が逮捕されたことにより辞職し、無職で収入がない場合には、基本的に養育費をもらうことは難しいと考えてください。
裁判所は、「養育費算定表」を基準に養育費の金額を決定します。
この算定表によると、無職で収入がない場合の養育費の相場は月々0~1万円とされているため、養育費請求するのは非常に難しいといえます。
その他、財産分与などによって、離婚後に手に入るお金はそれぞれ個人差があります。
児童扶養手当
児童扶養手当は、子供の父母が何らかの理由によって、子供を一人親で養育していく場合、地方自治体から支給される手当のことです。
満20歳未満のお子さん1人につき、月4万2000円の手当が支給されます。
住宅手当
住宅手当は、母子家庭で20歳未満の子供を養育している場合に、家族で居住するための住宅を借りていて、月額10,000円以上の家賃を払っている人に対して支給される手当のことです。
支給額は市区町村によって異なりますが、平均5,000円〜10,000円程度です。
また、この制度は市区町村独自の制度ですので、住宅手当の支給を行なっていない市区町村もあるのでご注意ください。
医療費助成制度
医療費助成制度は、母子家庭の経済的負担を軽減するために、親または子供が医療機関を受診した場合、医療費の一部を県と市町村で助成する制度です。
保育料免除
保育料の免除や減額は、4月1日時点での保育所に入所する子供の年齢と、保護者の前年度の所得額または住民税金額によって、保育料が免除されたり減額されます。
特に、母子家庭で所得が低い世帯については、保育料が免除もしくは減額が認められる可能性が高いです。
このように、夫と離婚して母子家庭となってしまう場合、手当や補助、免除を受けることができるのであらかじめ知っておく必要があります。
勾留中に離婚をするには
ご自身の気持ちや金銭面などを含めた離婚後の生活を考えたうえで、離婚を決意した場合、逮捕された夫と離婚するにはどうすれば良いのでしょうか?
離婚には何よりも、まず両当事者が合意が必要です。
そのため、離婚すると決意しても、夫が離婚に同意しない以上離婚することはできません。
しかしいざ夫から離婚の合意を得ようとしても、面会時間は限られてしまいます。
面会時間は1回につきおよそ15分から20分程度とされていますので、なかなかこの短い時間に夫婦の結婚生活にピリオドを打つ話し合いを行い、同意を得るのは難しいものです。
ただし、弁護士は制限なく面会できますので、まずは弁護士を通して話し合いをするという方法も手段の一つです。
もしも夫から離婚の同意が得られない場合は、調停・裁判を提起することになります。
まとめ
旦那が逮捕されたという連絡をいきなり受けてしまったら、どうしたらいいのかわからずパニックになったり重い責任を感じてしまうのが普通です。
しかし、刑事事件は逮捕後の対応で大きく状況は変わります。
夫の早期釈放を叶えるためには、勾留が確定するまでの72時間以内に対処することが大切です。
また、弁護士を通じて被害者との示談交渉を行うことによって、勾留期間が短縮されたり、不起訴処分となって前科がつくのを回避できる可能性もあります。
夫が逮捕されて、どうしたらいいのかわからない…という方は、いち早く弁護士に相談するようにしましょう。