刑事事件の「示談書」の書き方を分かりやすく解説!

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刑事事件の被疑者・被告人になってしまったときには、被害者との示談が非常に重要です。示談ができると、不起訴となって身柄が釈放される可能性が高くなりますし、前科がつくこともなくなります。

示談の際には「示談書」を作成しなければなりませんが、「どのような書式で書けばいいのか、わからない」という方も多いでしょう。

そこで今回は、刑事事件の示談書の書き方や書式、効果など全般をご説明します。

刑事事件における示談書の意義

示談とは

痴漢や盗撮、万引きや暴行・傷害など、刑事事件を起こしてしまったら「示談」することが多いです。ただ、「示談とは何か」正確に知っている方は少ないかもしれません。

示談とは、加害者と被害者が話し合いをして、損害賠償金の金額や支払い方法を決めることです。

故意過失による違法な行為をすることにより、他人に損害を発生させると、それは「不法行為」となります(民法709条)。その場合、違法行為をした加害者は、被害者に対して損害賠償をしなければなりません。ただ、どのような損害が発生していてどのように支払うかについては、当然に決まっているものでもないので、当事者が話し合って決めなければなりません。その話し合いの方法が「示談」です。

示談をしても合意ができない場合、被害者は加害者に対し、訴訟(損害賠償請求訴訟)を起こすことにより、損害賠償金の請求をすることができます。

刑事事件を起こした場合、加害者は違法行為によって被害者に損害を発生させることになりますから、被害者に対する損害賠償義務を負います。

そこで、加害者と被害者が示談をして、損害賠償金の金額と支払い方法を決めて、きちんと損害賠償をする必要があるのです。

示談の効果

それでは、刑事事件を起こしたときに示談をすると、どのような効果があるのでしょうか?

民事的な責任を果たした効果

まずは、「きちんと民事的な責任を果たした」効果が発生します。

加害者は、被害者に対する損害賠償責任を負っていますから、賠償金の支払をしなければなりません。示談ができたということは、その賠償義務を果たしたということですから、法的な義務を完了したこととなり、それ以上被害者から裁判をされたりして損害賠償請求されることがなくなります。

不起訴になる可能性が高くなる

それだけではなく、示談ができると、加害者の刑事手続きにも非常に大きな影響が及びます。被害者と示談ができていると、そのことが加害者にとって、「良い情状」となるからです。

情状とは、加害者の刑事処分の判断を左右するさまざまな事情のことです。たとえば、反省していることや監督者がいることなどは良い情状ですし、反省していないことなどは悪い情状です。

被害者と示談ができているということは、民事的に責任を果たしたことを意味しますし、被害もある程度回復されていることになります。また、被害者としても、加害者に対する感情がある程度和らいでいることが普通でしょう。

そこで、示談ができていると、加害者にとっては、非常に良い情状と評価されて、加害者への刑事処分が軽くなります。

捜査中で、起訴前の段階で示談ができると、検察官が不起訴にするので、刑事裁判にならない可能性が高くなります。刑事裁判にならなければ「有罪」になることがあり得ないので、前科がつくこともありません。日本の刑事裁判では、いったん起訴されると99.9%以上が有罪になりますから、前科をつけないためには不起訴処分を獲得することが重要となるのです。勾留によって身柄拘束されたいた場合でも、示談ができて不起訴になったら即時に釈放されます。

判決で言い渡される刑罰が軽くなる

起訴された後に示談ができると、言い渡される刑罰が軽くなる可能性が高くなります。

たとえば、懲役刑(実刑)が見込まれる場合でも執行猶予がつく可能性が高くなりますし、懲役刑(執行猶予)が相当な事案で罰金刑に落としてもらえる可能性なども出てきます。

そこで、被疑者・被告人にとっては、被害者と示談を成立させることが非常に重要となります。

示談書の意義

示談をするときには「示談書」を作成しなければなりません。

示談書とは、被害者と加害者が話し合って示談をした内容をまとめた書面です。

お互いが守るべき内容を記載してあるもので、契約書のようなものだと考えるとわかりやすいです。

では、わざわざどうして「示談書」を作成するのでしょうか?「話し合いができたのであれば、単純に被害者にお金を渡して領収証をもらえば良いのではないか?」と考える方もいるかもしれません。

確かに、示談は口頭でも成立します。当事者がお互いに示談金の金額に納得して、加害者が被害者に支払いをしたら、その時点で民事賠償は完了するはずです。

しかし、示談をしても「示談書」を作っていなければ、外部からは、示談したかどうかが明らかになりません。

加害者としては示談金を支払ったと思っていても、被害者から「まだ損害全額についての支払いを受けていない。あれは一部に過ぎないから、追加支払をしてほしい」などと言われる可能性があります。「あれは、単なるお見舞い金で、示談はまだできていない。これからきちんと損害賠償の話を進めていきたい」などと言われるかもしれません。そのようなことになったら、第三者から見ると「示談は成立していない」という評価になるので、検察官が良い情状として評価してくれることはありません。

単に「一部被害弁償ができている」というだけの評価となりますから、不起訴を獲得することは難しくなります。

このことは、裁判になったときも同じで、やはり「示談が成立していない」という評価になると、刑罰を軽くしてもらうことができません。

そこで、示談書を作ることによって「示談が成立していることを証明する」ことが重要です。示談書は、示談成立の証拠となり、後のトラブルを避けるために必須の書類です。

示談書を作成せずにお金を払うとトラブルの元となりますから、示談金を支払うタイミングは、必ず被害者が示談書に署名押印をして、示談書ができあがった後にしましょう。

示談書の書式(ひな形、フォーマット)と書き方の注意点

以下では、示談書の書式をご紹介します。

書式

示談書

 

被害者〇〇〇〇を甲、被疑者▽▽▽▽を乙として、甲及び乙は、以下に記載する刑事事件(以下、「本件」という)について、下記の通り、示談をした。

 

刑事事件の表示

日時:平成29年〇月〇日

場所:東京都新宿区…

事件の内容:電車内での痴漢行為

 

第1条(謝罪)

乙は甲に対し、本件犯行に及んだ事実を認め、真摯に謝罪をする。

第2条(示談金の支払い)

1 乙は甲に対し、本件の示談金として、金50万円を支払うことを約束する。

2 乙は、前項の金50万円を、甲の指定する口座宛てに振り込み送金する方法によって支払う。

3 示談金の支払い期限は、平成29年〇月〇日とする。

第3条(清算条項)

1      甲及び乙は、甲乙間において、本示談書に定めるほかに、何らの債権債務も存在しないことを確認する。

2 甲は乙に対し、本件について、今後裁判上・裁判外を問わず、一切の請求をしない。

第4条(接触禁止)

乙は甲に対し、今後面談、電話、メールなどの手段を問わず、一切接触しない。

第5条(被疑者への宥恕)

甲は、本件について、乙の犯行を宥恕し、乙に対する寛大な処分を希望する。

第6条(秘密保持)

甲及び乙は、本件について、今後一切口外しないことを約束する。

 

本示談契約の成立を証するため、本書2通を作成し、各自が1通ずつ所持する。

平成29年〇月〇日

(甲)

住所

氏名              印

(乙)

住所

氏名              印

基本的には、この書式を使い、事案に応じてアレンジして使うと良いです。

示談書の書き方

示談書に書き入れる必要事項

示談書を作成するときには、以下の内容を入れましょう。

  • 当事者の表示

まずは、当事者の表示が必須です。誰と誰の示談なのかを明らかにする必要があるからです。被疑者(被告人)〇〇〇〇(氏名)、被害者〇〇〇〇(氏名)などと記載すると良いでしょう。

  • 事件の内容

事件の内容も、大まかで良いので書いておく必要があります。書いておかないと、何の件の示談なのかわからなくなってしまうからです。事件発生日時や事件のあった場所、簡単な概要を書いておくと良いでしょう。

  • 示談金額

示談金の金額も、非常に重要です。間違いのないように記載しましょう。

  • 示談金の支払い方法

支払い方法も、非常に重要です。まずは、直接手渡しするのか、振込送金するのか、小切手を振り出すのかなど、支払いの方法を明記しましょう。その場で現金を手渡しした場合には、「本日〇〇円受領した」と記載して、被害者に領収証を発行してもらう必要があります。

また、期限についても定めておくべきです。「〇年〇月〇日までに支払う」と記載して、期限までに確実に支払いを終えましょう。

  • 接触禁止などの示談条件

たとえば、痴漢や盗撮、ストーカー、強制わいせつなどの性犯罪の場合、加害者が被害者に一切接触をしない、という約束をすることが多いです。その場合には、そのことも条項化して、盛り込んでおく必要があります。

  • 被害者が被疑者(被告人)を宥恕すること

被疑者被告人の情状を良くするには、被害者が被疑者を宥恕(許す)ことが非常に重要です。そこで、これについても必ず盛り込んでおきましょう。

できれば、被害者が被疑者に対する寛大な処分を希望することまで入れておくことが望ましいです。

  • 精算条項

示談成立によって、すべての民事賠償が完了したことを明らかにすることが重要です。これにより、後に被害者から「まだすべての賠償が済んでいない」と言われて追加請求をされるおそれなどがなくなるからです。

  • 当事者の手書きの署名

示談書には、必ず当事者(被疑者・被告人と被害者)それぞれの手書きの署名が必要です。示談書の条項などはパソコンで作成してもかまいませんが、サインは手書きにしましょう。

  • 押印

示談書を成立させるためには、押印も必要です。押印がないと、示談書が無効になってしまうおそれもあるので、必ず押印してもらうようにしましょう。ただ、示談をしたその場で被害者が印鑑をもっていない場合などには、とりあえず署名だけしてもらって、後で印鑑をもらってもかまいません。

パソコンでも手書きでも可

示談書を作成するときには、パソコンで作成しても手書きでもかまいません。ただ、本文や日付はパソコンでもかまいませんが、当事者の署名押印欄だけは、手書きにしましょう。

示談書が無効になってしまう場合

示談書には、当事者の署名と押印が必要です。

ただ、署名押印に関して、示談書が無効になってしまうケースがあるので、注意が必要です。

まず、被害者を脅して無理矢理示談書に署名押印させると、示談書は無効となります。強迫による意思表示は、取り消すことができるので、被害者が取消権を行使すると、示談はなかったことになるからです(民法96条1項)。

また、被害者を騙して錯誤に陥れて署名押印させた場合にも、やはり示談書は無効となります。詐欺による意思表示は取消対象となりますし、錯誤にもとづく意思表示はそもそも無効だからです(民法95条)。

押印方法

さらに、押印方法にも注意が必要です。

さきほど、示談書を作成するときに押印が必要と言いましたが、このとき、シャチハタを使うことは望ましくありません。シャチハタは大量生産の印鑑で、ゴム製で印影が変わる可能性があり、信用性が低いからです。認印でかまわないので、必ずきちんとした印鑑を使いましょう。

実印である必要はありませんが、実印でももちろん有効です。

示談書と合わせて作成すべき書面

示談書を作成するときには、合わせて「嘆願書」も作成しましょう。嘆願書とは、被害者が、加害者に対する刑事処罰を軽くしてほしい、とお願いする内容の書類です。検察官や裁判官に宛てて作成します。

嘆願書があると、単に示談が成立しているよりも、さらに被疑者被告人に対する情状が良くなります。

示談をするときには、嘆願書の書式を被疑者(被告人)側が用意して持っていき、被害者は署名押印だけすれば良い状態に整えておく必要があります。示談をした後に、別途「嘆願書を作成してほしい」と依頼しても、渋られてしまう可能性が高いからです。示談書を作成するタイミングで、嘆願書にも一緒に署名押印してもらいましょう。

未成年との示談書での注意点

被害者が未成年の場合には、示談書作成時に注意が必要です。

民法上、未成年は、単独では有効な法律行為をすることができないとされているからです(民法5条1項)。未成年者本人の署名押印があっても、法定代理人(通常は親)に取り消されてしまうおそれがあります(民法5条2項)。

そこで、未成年者と示談をするときには、必ず法定代理人である親と示談交渉を進めなければなりません。そして、親の署名押印をもらっておく必要があります。

必ず不起訴になるとは限らない

最後に、示談をしても「必ず不起訴になるとは限らない」ことも理解しておく必要があります。

示談ができると、被疑者にとって良い情状となるので、示談ができていない場合よりは、はるかに不起訴になる可能性が上がります。ただ、もともとの罪が重すぎるケースなどでは、いくら示談ができても、起訴されます。たとえば、人を殺したり放火したりしたら、示談ができても起訴は免れないと考えましょう。万引きや痴漢行為などでも、常習で度重なっている場合や悪質なケースでは、示談ができても起訴される可能性があります。

示談書の類似書類について

示談書と類似する書類についても、簡単に説明をしておきます。

嘆願書

まずは、嘆願書が重要です。これは、被害者が、捜査機関や裁判所に宛てた書類で、加害者への処罰を軽くすることを望む書類です。嘆願書は、損害賠償金の支払いとは無関係なものですし、被害者が単独で作成するものですから、示談書とは異なります。

ただ、示談書と一緒に作成を依頼することが多いです。

念書

念書は、加害者が一方的に「賠償金を支払います」と書いて被害者に差し入れる書面です。

示談書には加害者と被害者双方が署名押印しますが、念書は加害者しか署名押印しません。

念書を差し入れても、示談ができたということにはなりません。念書に書いた通りの支払いをしても、賠償金を全額支払ったとは限らないので、後日被害者から追加請求される可能性があります。また、念書を差し入れただけでは、被害者は加害者を宥恕しませんから、良い情状として評価してもらうことも難しいです。被害弁償をするなら、必ず「示談書」を作成しましょう。

謝罪文、反省文

被疑者被告人が被害者に示談を申し込むとき、謝罪文や反省文を送ることが多いです。

これは、被疑者や被告人が犯罪を犯してしまったことを悔いて、被害者に謝罪する意思を伝える書類です。

謝罪文、反省文を送っても、示談ができたことにはなりませんが、被疑者被告人が反省していることがわかるので、何もしないよりは情状が良くなります。

被害者に反省文を送るときには、どのような内容の反省文を送ったのか、証拠とできるようにコピーをとっておきましょう。

私文書か公文書か(示談書の公正証書化について)

ところで、示談書を作成するとき「公文書なのか、私文書なのか」を気にされる方がいます。

通常、被害者と加害者が話し合いをして、パソコンなどで書類を作成し、双方が署名押印をする、という示談書は「私文書」です。私文書の場合、加害者が約束通り支払をしなかったら、被害者は加害者に対し、裁判を起こすなどして取り立てをする必要があります。

これに対し、示談書を「公正証書」という「公文書」にしておく方法があります。

公正証書とは、公証人が作成する公文書の1種です。公正証書にしておくと、加害者が支払をしないときに、被害者は裁判なしに、いきなり加害者の財産を差し押さえることができます。

もし、被害者が公正証書化を望むなら、受け入れると良いでしょう。公正証書にしても、きちんと支払いをしたら差押えを受けることがないので、特段不利益が及ばないためです。

ただし、公正証書化するときには、費用がかかるので、その費用をどちらが持つかについては、話し合いをする必要があります。

まとめ

被害者が存在する刑事事件においては、示談が非常に重要です。逮捕されてしまって早く釈放されたいとき、不起訴となって前科を免れたいとき、起訴されてしまったけれども実刑は免れたい場合など、どのようなケースでも、示談が有効です。ただ、被害者と示談をするときには、刑事処分が終わるまでに成立させなければならないので、急ぐ必要があります。

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