迷惑防止条例違反をわかりやすく解説|罰則・逮捕後の流れなど

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は痴漢・盗撮弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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条例

痴漢や盗撮のニュースなどで「迷惑防止条例」という言葉を聞かれた方も多いと思います。迷惑防止条例違反が気になった方は、下記のようなことが気になる方もいるでしょう。

  • どんな行為が迷惑防止条例で禁止されるのか?
  • 迷惑行為の罰則は?時効は?
  • 逮捕後の流れは?
  • 釈放、不起訴を獲得するための方法は?

この記事では、上記の内容について解説してまいります。

迷惑防止条例違反の対象となる行為

迷惑防止条例では迷惑行為を禁止し、違反した者に対しては罰則を科する旨の規定を設けています。迷惑防止条例で禁止される主な迷惑行為としては、下記のようなものがあります。

  • 痴漢
  • 盗撮
  • 卑わいな言動
  • ダフ屋行為
  • 客引き
  • つきまとい

例として、東京都迷惑防止条例に規定されている「痴漢」、「盗撮」、「卑わいな言動」について詳しく見てみましょう。

なお、迷惑防止条例は各都道府県に必ず設けられている条例ですが、都道府県の条例ごとに禁止される迷惑行為の内容、罰則などが異なる場合がありますので注意しましょう。

⑴ 痴漢

痴漢は以下のように規定されています。

【5条】
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。⑴ 公共の場所または公共の乗物において、衣服その他の身に付ける物の上から又は直接に人の身体に触れること

ここで言う「公共の場所」「公共の乗物」とは、具体的には下記のようなものがあります。

  • 駅構内
  • 商業施設
  • 路上
  • 電車
  • バス

⑵ 盗撮

盗撮は条例「5条⑵」に規定されています。例えば下記のような場所で、下記のような行為を行うことが禁止されています。

【場所①】
・住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
・公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入する場所又は乗物
【行為②】
・人の通常衣服で隠されている下着又は身体をスマートフォン等で撮影すること
・撮影する目的でスマートフォン等を差し向け、若しくは設置すること

⑶ 卑わいな言動

卑わいな言動は条例「5条⑶」に規定されています。

卑わいな言動とは、社会通念上、「性的道義観念に反する下品でみだらな言動又は動作」のことをいいます。

たとえば、下記のようなものがそれにあたります。

  • 「下着見せて」などと言う
  • スマートフォンで卑わいな文書、動画を見せる

迷惑防止条例違反の罰則と時効

迷惑防止条例違反(東京都の場合)の罰則と時効をご紹介します。

⑴ 罰則

罰則は迷惑行為によって異なります。いずれも罰金刑だけでなく懲役刑も規定されています。

行為そのものが悪質な場合や、前科・前歴がある場合、過去に同種の行為を繰り返したなど常習性が認められる場合などは「懲役刑」を科されることもあります。

内容 罰則
① 痴漢 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
② 盗撮 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
③ 卑わいな言動 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
④ ダフ屋行為 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
⑤ 客引き 50万円以下の罰金、拘留又は科料
⑥ つきまとい 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

⑵ 時効

時効と一言でいっても様々な意味がありますが、一般に「公訴時効」のことを意図しているケースが多いでしょう。

公訴とは起訴のことです。したがって、公訴時効とは、起訴されなくなるために必要な期間のことをいいます。

上記、①から⑥の迷惑防止条例違反に関する行為の公訴時効は3年です。

なお、公訴時効は迷惑行為を行い、犯罪し終わった時点から起算されます。

迷惑防止条例違反の逮捕の流れとよくある質問

(1) 迷惑防止条例違反の逮捕後の流れ

迷惑防止条例違反は法律ではなく条例であり一般的には軽い罪と言われています。

そのため「逮捕」はされないのでは?と考える方も多いですが、迷惑防止条例違反をした場合、警察に逮捕されます。

迷惑防止条例違反で逮捕された後の流れは、概ね以下のとおりです。

①被害届の提出&犯罪認知・捜査

②逮捕

③警察の留置場に収容

④警察官による弁解録取→釈放→在宅事件

⑤釈放されない場合、送致(送検)

⑥検察官による弁解録取→釈放→在宅事件

⑦検察官による勾留請求

⑧裁判官による勾留質問→釈放→在宅事件

⑨勾留決定

⑩留置場で勾留→釈放→在宅事件

⑪釈放されない場合は、取調べ、実況見分への立会等

⑫刑事処分(起訴、不起訴)

(2) 迷惑防止条例違反で被害届は必要?

迷惑防止条例違反の場合、逮捕するために「被害届」が必ず必要というわけではありません。

もちろん、被害者からの被害届の提出を待って捜査を始めるのが通常ですが、迷惑防止条例違反の場合、通常逮捕のほかに「現行犯逮捕」もあり、その場合は被害届が不要だからです。

なお、現行犯逮捕は一般人でも可能で、痴漢・盗撮で多いです。

(3)  逮捕から勾留までの期間・また勾留された後の期間

逮捕から勾留まで(上記②から⑨まで)はおおよそ3日間です。

その後、勾留されることが決定された場合(上記⑨の後)10日間、留置場にいることとなります

さらに捜査によってやむを得ない事由がある場合は最大10日間を限度して勾留期間を延長されることもあります。

もっとも、迷惑防止条例違反の場合、勾留延長されることは一般的には少ないと言えます。

(4)途中で釈放されることはある?

迷惑防止条例違反で逮捕された場合、警察・検察・裁判所の3つの段階で「身柄拘束の理由がない」「必要性がない」と判断された場合、釈放されます。

勾留後も「不服申し立て」を行うことにより「裁判官の勾留決定が誤っていた場合」や「勾留の理由・必要性が消滅したと認められる場合」に釈放されます。

迷惑防止条例違反で不起訴処分を獲得するには示談交渉が重要

迷惑防止条例違反を犯した場合、加害者は「釈放」「不起訴処分」を早期の獲得を目指します。

そのためには、早期に示談に向けた行動をとる必要があります。

もっとも、示談交渉を始めるには警察から被害者の連絡先等を入手する必要があります。警察は被害者から承諾を得たのち、加害者の弁護人に対してのみ被害者の連絡先等を教えることとしています。

そのため、示談交渉には「弁護士」の力が必要不可欠です。

ただ国選弁護人が選任されるのは勾留決定が出た後のため、逮捕直後から活動はしてはくれません。

他方で、私選弁護人はいつでも選任することができます。逮捕前からでも選任可能ですし、逮捕直後からでも可能です。「勾留前の釈放」「不起訴処分」を希望する場合は私選弁護人を選任する必要があります。

まとめ

迷惑防止条例違反は痴漢や盗撮のみならず、様々な迷惑行為を禁止し、違反した方に処罰する旨の規定を設けています。

迷惑行為と聞くとひびきは軽いですがれっきとした犯罪です。

発覚すれば逮捕される可能性もあります。日頃の行動には十分注意をしましょう。

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