盗聴と法律|盗聴は犯罪・違法ではない?逮捕されないの?

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は痴漢・盗撮弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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盗聴の罪

「盗聴」とは、当人たちの承諾なく、会話や通信などを盗み聞いたり、録音したりすることです。

もし自宅や職場などに盗聴器が設置されたり、自分と友人・家族との携帯電話による通話が盗聴されていた場合、非常に気味が悪いと思うでしょう。

この記事では、盗聴で成立する犯罪と、盗聴器を発見した場合の対処法を解説します。

盗聴罪はない

誰かの会話を相手に黙って録音することは、意外と身近なことです。例えば、無断盗聴・無断録音について、下記のような疑問がある方もいるかもしれません。

  • 盗聴器を設置することは、法律違反の気がする
  •  探偵に依頼して浮気現場を録音するのは犯罪幇助ではないですか
  • 警察の盗聴は違法ではないのでしょうか。警察の特権なのでしょうか。
  • パワハラなどでボイスレコーダー・icレコーダーで職場で記録するのは違法でしょうか。

上記のように、盗聴器やボイスレコーダーを利用して盗聴をすることは一見、犯罪のように見えます。

しかし実は、盗聴器を購入・設置することに加え、通信を傍受すること自体については犯罪が成立しない場合がほとんどです。

盗聴と刑法|盗聴は違法か?犯罪か?

「盗聴罪」はありませんが、盗聴行為に付随する行為が、刑法等で規定する犯罪に該当する場合はあります。盗聴に関わる法律・刑法は下記の6つが存在します。

①住居侵入罪

盗聴器を設置したり、回収したりする目的で、正当な理由なく勝手に他人の住居、建造物などに侵入する場合があります。

この場合は「住居侵入罪」に問われます(刑法第130条)。

住居侵入罪の罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

②器物損壊罪

盗聴器を仕掛けるために他人の建物や持ち物(コンセントや電話機器など)に穴を開けたりする場合があります。

この場合、「器物損壊罪」が適用される可能性があります(刑法第261条)。

器物損壊罪の罰則は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。

③電気通信事業法等違反

電気通信事業者の取扱中に係る通話の秘密は、侵してはならないとされており、違反した場合には、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(電気通信事業法第4条)。

また、有線電気通信における通信の秘密を犯した者も処罰され、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(有線電気通信法第9条、第14条)。

加えて、無線通信を傍受して、その内容を第三者に漏らしたり、盗用したりした場合、電波法違反となります(第59条)。これに違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。

④脅迫罪・恐喝罪

盗聴によって得た情報を元に他人を脅迫した場合は「脅迫罪(刑法第222条)」に、同じく盗聴によって得た情報を元に金銭を要求した場合は「恐喝罪(刑法第249条)」に該当します。

脅迫罪が成立した場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。

他方、恐喝罪が成立した場合、10年以下の懲役に処されます。

⑤名誉棄損罪

盗聴で得た情報を用い、被害者のことを誹謗中傷した場合、名誉棄損罪が成立する可能性があります(刑法第230条)。

名誉棄損罪が成立した場合、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処されます。

⑥ストーカー規制法違反

盗聴で相手の旅行場所などを知り、それを元につきまとう行為は犯罪行為で、「ストーカー規制法」違反となる可能性があります。

ストーカー行為をした場合、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処されます。

盗聴器が発見された場合の流れ

もしも、盗聴器を被害者側が発見してしまった場合は、その後どういう流れになるのでしょう。ここでは、盗聴器を誰かが発見した場合の流れを説明します。

刑事責任の追及

盗聴されていることに気づいた場合、被害者側がまず「警察に連絡」をします。

盗聴が犯罪に該当する場合、加害者は刑事責任を問われます。

上述した「住居侵入罪」「器物損壊罪」「脅迫罪・恐喝罪」「ストーカー規制法違反」など、盗聴自体ではなく、盗聴に関わることで罪に問えることはないかを考え、被害者側は警察にそのことを併せて伝えることになります。

もっとも、警察が捜査する場合、ただ「盗聴された」というだけでなく、以下のような具体的な盗聴の証拠・痕跡をはっきりとさせる必要があります。

  • 住居に入られた形跡がある
  • 盗聴器設置のため、家に穴を開けられた
  • 特定の人にしか伝えていない内容を、なぜか第三者が知っていたことがある

その後、証拠が固まり次第、警察が加害者を逮捕することとなります。

民事責任の追及

また、盗聴行為により被害者はプライバシーが侵害されているため、被害者側は相手方に対し、損害賠償を請求するケースがあります。

もっとも、被害者一人で加害者に損害賠償を請求するのは困難です。

というのも、被害者は加害者と面識がないケースが多いですし、盗聴をしてきた者と会いたくないと感じる方もほとんどでしょう。そのため、当事者同士で問題を解決することはあまりありません。

盗聴犯に損害賠償を請求しようと考える方は「弁護士に依頼」するケースが多いです。

弁護士は、被害者の代わりに盗聴の証拠の収集、加害者との交渉、裁判になった際の訴訟代理人になり、依頼者のために必要な活動してくれるからです。

弁護士に依頼後、損害賠償請求訴訟が始まります。

まとめ

今回は、盗聴は違法か犯罪か、刑法・法律・罰則について、また盗聴器を発見した場合の流れを解説して参りました。

実際のところ、盗聴した犯人を捕まえたいと思っても、多くの人の認識と異なり、盗聴そのものは違法ではないことがほとんどです。

ただ「盗聴そのものではなく、それ付随する行動によって罪に問われる可能性がある」ということだけでも覚えておくと、それ以降の対応が違ってきますので、ぜひ頭の片隅に置いておきましょう。

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