用語集
あ行
駅員室
駅員室に行ってしまうと、駅員は「担当職務外」という理由をつけて警察を呼んで被疑者の引き渡しを行います。被疑者がどんなに無実を訴えても駅員にとっては責任範囲外と言わんばかりの対応をとる人もいます。満員電車で痴漢に間違われないよう、女性に背中を向けたり両手でつり革を持つなど防御策を講じるのが最善ですが、もし「無実を主張すれば分かってもらえるはずだ」と信じて駅員室に行くと、ろくに事情も聴かずに警察に引き渡されて逮捕されかねません。駅員が来たら、名刺なり免許証なりを提示して立ち去りましょう。それが認められないなら、その時点で当番弁護士を呼びましょう。そして弁護士が来るまで一切黙秘を貫きましょう。
疑わしきは罰せず
裁判において不確かなことは罰しないという原則ですが、痴漢の冤罪被害者は、「疑わしきは罰す」が実態となっており、日本の司法の問題となっています。
か行
強制わいせつ
強制わいせつ罪は、刑法に定められており、13歳以上の男女に暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をし、または13歳未満の男女にわいせつな行為をすることで、6月以上10年以下の懲役に処せられます。
検察官
検察官は、警察が捜査した事件を受理して、被疑者に刑罰を与えるための裁判を起こすかどうかを決めます。裁判を起こすことを「起訴」といい、起訴をしないと裁判は始まりません。つまり、裁判になるかどうかの鍵を握っているのが検察官です。日本では、検察官だけが犯人を起訴する権限を持っています。
勾留
逮捕に引き続き行われるもので、捜査上で身柄の拘束が必要と判断されたな場合、検察官の請求に基づいて裁判官がその勾留状を発付して行います。勾留期間は10日間ですが、検察官が請求すれば裁判官が更に10日間以内の延長を認めることもあります。被疑者を勾留するには3つの理由がそろっていなければなりません。
(1)被疑者が定まった住居を有しないとき (黙秘により住所がわからない場合も含む)
(2)被疑者が証拠などを隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき (自白しているか否かではなく、関係者の証言等への影響も考慮)
(3)被疑者が逃亡し、または逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき
起訴
検察官が裁判にかける必要ありと判断すればそのまま身体拘束は続き、起訴されることになります。この段階で弁護士ができることは、保釈金を積んで裁判所に保釈手続きをすることですが、
保釈金を積めば必ずしも保釈されるとは限りません。たとえ痴漢冤罪だとしても、保釈金は多額となる場合があります。
さ行
差し入れ
拘置所(未決拘禁者)と 刑務所(受刑者)では差入れできる物の範囲が全然違います。未決拘禁者の場合は施設側の管理運営上不都合のない物ならどのようなものでも差し入れられるのが建前ですが、実際には、施設側の管理運営上の理由で数量が細かく制限されたり、自殺防止のために衣類のひもやベルトは禁止、書籍であっても家族からのメッセージが書き込まれているものは禁止など、 細かい制限があります。これに対して受刑者の場合は、基本的に私物の使用は禁止で、 本や筆記用具、限られた種類の下着や日用品の差入れが認められる程度です。食料の差入れもダメです。拘置所・刑務所ともに、本や衣類以外は指定業者の売店で購入した物しか差入れを認めないのが通常です。中でいろんなものが買えるよう、現金が良いかも知れません。
示談交渉
被害者は加害者の顔も見たくないと思っている場合がありますので、ご自身で被害者と示談することは難しいかもしれません。しかし示談交渉が成立または交渉中ならば、
(1)不起訴処分となる可能性が高くなります
(2)告訴が取り消される可能性が高くなります
(3)告訴されても執行猶予付きとなる可能性が高くなります
(4)早期の社会復帰につながります
といったメリットがあります。
出頭要請
任意で呼ばれているので、出頭拒否することも可能ですし、出頭に応じて事情聴取が始まった場合は、いつでもその場を退去することができますが、逮捕状が出されているのに拒否すると、逮捕されることもあり得ます。
できる限り未然に逮捕を防ぎ、取り調べの精神的苦痛から1日も早く解放されるために弁護士をつけることをお勧めします。
セカンドレイプ
性の二次被害。痴漢被害後の取り調べなどにおいて辱められること。
前科
逮捕されたけれども不起訴になった(処罰は受けなかった)、というような場合には前歴と呼ばれ、前科にはなりません。もし在職中に前科がついて会社が事実を知った場合、会社から何らかの懲戒がなされることが多いと思われます。特に上場企業などは処罰が確定した時点で、社内において厳密な手続きがなされることが多く、就業規則に書かれた手続きで懲戒の手続きがなされることが一般的です。冤罪ならば、隠さず弁護士にありのままを話し、すぐに会社の同僚や上司に連絡してもらい、会社の全面的な協力を得て目撃者の捜索など、無罪獲得に向けて動いてもらいましょう。
た行
痴漢冤罪
痴漢をしていないのに、疑われたり罰を受けたりすること。本来、刑事裁判における犯罪の証明には、捜査機関が「被告人が犯罪をした証拠」を提出する必要がありますが、痴漢の場合は物的証拠がほとんど残らないという犯罪の性質上、被害者の「この人が痴漢をした」という証言と、被疑者の自白程度しか証拠がないことが少なくありません。その証言や自白のどちらが信用に足ると認定されるか次第で、具体的な物証がなくとも有罪無罪が決まるといっても過言ではありません。冤罪被害を防ぐには、被疑者が「痴漢をしていない証拠」を示す必要がありますが、やったことの証明よりもやっていないことの証明がいかに難しいか想像できるでしょうか?痴漢をしていないことを証明するのは、絶対に不可能であることが問題点として指摘されています。このような構造になった原因として、もともと日本では軽微な性犯罪であると見なされていた痴漢に対する社会的制裁が軽く、弱い立場の女性が泣き寝入りすることも多く、これを是正するために警察や裁判所が女性を守ることに重点を置いた対応をするようになったことが挙げられます。
調書
被害の状況を詳細に聞いた上でまとめる資料ですが、実際にはまるで被疑者が罪を認める内容をしゃべったかのような口調で取り調べ官による「作文」がなされることがあります。調書は勾留や起訴を決める検察官や、裁判になった場合の有力な証拠となりますので、安易に署名と指印をせず、間違っていることは削除や訂正を求める心構えが大切です。
は行
被害届
被害の事実を申告する届け。後日に被害届を提出することも可能です。
不起訴処分
不起訴処分とは、公訴を提起しない旨の検察官による処分です。不起訴処分に持ち込むためには、逮捕された直後すぐに弁護士に依頼することが大事です。
防犯グッズ
電車の中の痴漢撃退用などにおすすめの防犯グッズに、防犯ブザーがありますが、大き目の鏡も有効です。痴漢は背後から行われることが多いので、いつでも犯人の顔を見れるという威嚇に使えます。また、スタンガンや催涙スプレーもあります。スタンガンは目の前でスパークをバチバチッと見せつけるだけで威嚇効果があります。危機的な状況では痴漢に対抗するより回避することが一番の安全策です。催涙スプレーは学校や公共機関、金融機関、宝石店、パチンコ店、コンビニなどでも利用されていますし、非力な女性には相手との距離を保てるので有効です。
ま行
身柄付送致
現行犯逮捕後、48時間以内に検察庁に送るということ。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は都道府県ごとに定められている条例です。迷惑防止条例違反に対しては、おおむね6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されています。一般的に痴漢といわれているのがこの犯罪です。女性が被害を訴えればすぐに逮捕されてしまうことや非常に混雑した電車内での出来事ということから冤罪と思われる事案が非常に多いのも特徴です。
黙秘権
黙秘権は自分に不利益な供述を強要されない権利で、憲法で保障されています。不利益な供述とは、自分の刑事責任の基礎となるような供述です。刑事手続きにおける被疑者・被告人は刑事手続きのどの段階においても、自分の意思に反して事実に関する供述をする義務を負わず、終始全面的に沈黙することも権利として認められます。このことを常に念頭において、取り調べ官や検察官の強行な圧迫に屈しないことが大切です。
ら行
略式起訴
通常の公判を求めず、調書等の必要書類によって裁判所に処罰を求めること。