痴漢の心理カウンセリング

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は痴漢・盗撮弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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カウンセリング

痴漢は『病』?

某新聞が「痴漢は依存症」という心理カウンセラーの見解を踏まえて「痴漢は『病』」という見出しを書きました。日本は病理化に熱心な国ですので、男性主導のメディアや加害者側の弁護士が「精神疾患なのだから本人の責任を問うべきではない」という主張をすれば、減刑や無罪などという形で判決にも影響が出てくるのではないでしょうか。女性からすれば「そんな馬鹿なことがあってたまるか!」と言いたくなりますが、痴漢加害者のカウンセリングを行う心理カウンセラーは「痴漢は単に性欲や性癖では片づけられない依存症、一種の病だ」と分析しています。

かと言って「痴漢は病気だから」という理由で免罪されることがあってはならないと思います。罪は罪として罰した上で、再犯防止策を講じることが重要です。

実際、痴漢は再犯者も多く、自分では止めたいと思っていても止められないことに悩んでカウンセリングを受けに来る患者も多いのです。ただ、一言に依存症と言っても、タバコやアルコール依存症と同列に考えるべきではありません。多くの痴漢加害者に共通するのは、女性の気持ちや痛みを想像する「共感力」の低さです。心理カウンセラーによると、男が聞いても腹が立つほど女性の感情に無関心で、「女性が喜んでいると思った」と勘違いしている人もいるそうです。

加害者がこのような心理状態に陥ってしまうことには明確な原因があります。その一因が「日々のストレス」と言われています。ストレスが溜まり過ぎると、脳が理性的な判断を下す前に本能で行動してしまうのです。事実、痴漢常習犯になると無自覚に近い状態で犯行に及び、捕まって初めて自分が痴漢をしたことに気付くケースもあるのです。

他の原因に、過保護な生育環境の影響も示唆されています。なぜなら、過保護に育った人は、困ったときすぐに親が助けてくれるので、我慢する力が弱いからです。ですから、痴漢は「我慢」では治らないのです。

心理カウンセラーによるストレスケアや家族の協力といった「治療」が必要なのです。

痴漢行為は誤った認識が再犯へつながる

  • 改善のためには精神科に行くしかない。
  • 痴漢、盗撮は気持ちの持ち方で改善できるはずだ。
  • 性的関心を無くすことができれば2度と繰り返すはずがない。
  • 十分反省したのだから、もうしないだろうと本人も家族も思っている。

再犯をしてしまう人は、上記のような間違った認識を持っているために再犯に至ってしまうことが多いようです。
痴漢や盗撮という行為は一種の依存症ですが、タバコやお酒のような他の依存症と同じように、本人の気持ちの持ちようや誤った取り組みでは改善しません。本人や家族の協力だけで改善できると過信しないで、心理カウンセラーなど専門家のサポートを受けて下さい。

痴漢をする人は被害者感情への想像力が弱い

痴漢をする人は、被害者がどういう精神的ショックを受けるのかという事にとても鈍感であると言えます。人の心に関する意識が弱いため、自分の気持ちを適切に表現できず、本能のままに痴漢という問題行動で表現してしまうのが特長ですが、被害者の精神的ショックを思いやることが再犯防止に必要なのです。しかし再犯者には、心のどこかで被害者の気持ちに目をふさごうという感情があります。「人の痛みを直視できない」という心の弱さを持っているとも言えます。

痴漢をしてしまう人の心理的特徴

痴漢をする人の共通点は、ストレスとの付き合い方が下手であること、口数が少ないこと、自己表現が苦手であることなどが挙げられます。つまり、再犯防止には、ストレスに対する習慣や、家族など身近な人とのコミュニケーションの習慣を改善していく事が必要です。しかし、このような共通点について本人は無自覚なので、自分の意思で改善することが難しいのです。

自分で制御できずに心理カウンセリングに真面目に通って下さる方は、自分が自覚できていないことについて話をしていくうちに、次第に自覚できるようになっていくので、ゆっくりと改善していきます。また、心理カウンセリングに通い、人と話すことで自己表現の欲求が満たされるので、心が軽くなっていきます。このように、カウンセリングには痴漢の再犯防止に役立つ要素がたくさんあります。

痴漢防止には夫婦関係とストレスケアが大切

痴漢犯罪を起こさないために必要なことは、まずストレスのケアです。痴漢をする人というのは、自分がストレスを抱えているという自覚が弱く、気付かないうちにとても処理できないぐらい大きなストレスを溜め込んでしまう傾向があります。

問題行動を防止するには、ストレスケアを通じて、ストレスと行動の関係を自覚して頂く事が重要なのです。心理カウンセリングでは、ストレスへの自覚を促したり、なぜストレスを感じにくいのかという根本的な事を一緒に考えていきますので、自分ひとりでは気付けないことに気付けるようになっていきます。そしてストレスとの付き合い方を改善することに目を向けるようになり、ゆっくりと改善に向かうのです。

もう1つ痴漢犯罪を防止するために必要なことは、良好な夫婦関係を築くことです。外で仕事をされている時間はストレスの連続です。家庭で夫婦の会話をする時間は、ストレス解消の大切な機会なのです。日頃から夫婦でいろんな事を話しあえる関係を築けるように、カウンセリングでコミュニケーションの取り方をアドバイスしてもらうことも大切です。

【参考】盗撮の再犯率は30%前後!?心の病気?なぜやめられないのか。

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