起訴猶予をわかりやすく解説|期間と前科とその後について
起訴猶予とは刑事事件において「なんとなく有利な処分だ」というイメージを持たれている方が多いと思います。確かにひとまず…[続きを読む]
このような場合、「今後どれくらいの期間にわたって身柄拘束されるか」は、その後の生活に大きな影響を与える重要事項と言えるでしょう。
この記事では、痴漢で逮捕された場合の釈放されるタイミングについて解説をしていきます。
まず、逮捕されると2~3日間の身体拘束が行われます。正確には下記のような流れとなります。
上述のとおり、警察と検察の取り調べの後、検察官が被疑者の勾留を請求し(起訴前勾留)、裁判官がこれを認めた場合、「10日間の身体拘束」が継続します。
場合によっては、更に10日間の勾留延長されることもあり、その場合、逮捕から合わせて最長で23日間の身体拘束が行われます。
その後、勾留期間が終わるまでに、検察官は被疑者を「起訴」するか否か決定します。
起訴の決定がされた場合、その後も勾留が行われる場合があります(起訴後勾留)。
起訴後勾留は、一か月単位で更新することができ、期間制限等もありません。
そのため、逮捕されてから裁判で判決が確定するまで、身体拘束が続く可能性があります。
次に、逮捕後に釈放される可能性があるタイミングについて詳しく説明します。
そもそも「逮捕」とは、被疑者の身分が明らかでなかったり、容疑を否認していることにより逃亡や証拠隠滅の可能性があると判断されたりする場合に、身柄を拘束するというものです。
つまり、痴漢の容疑で逮捕されてしまっても、以下のような事情がある場合は、早ければ逮捕されたその日に釈放されることもあります。
すなわち、身分が明らかであり、逃亡せずその後きちんと取り調べなどに応じる可能性が高いと判断された場合は、釈放される可能性が高いでしょう。
それでも、後日取り調べなどは行われますので、呼び出しにはきちんと応じ、捜査に協力する姿勢をとることが必要です。
検察での取調べ後に、釈放される場合があります。パターン別に見てみましょう。
警察官は、逮捕後72時間以内に、捜査資料とともに被疑者の身柄を「検察官」に送ります(送検)。
そこで行われる検察官の取調べは、送検後24時間と決まっています。
その後、検察官が勾留請求の必要がないと判断した場合には、被疑者は釈放されるでしょう。
罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れがあったり、起訴するか否かの処分を未だしかねるという場合、検察は裁判所に対して勾留請求を出します。
しかし、この勾留請求を裁判所が却下すると、被疑者を勾留することはできないので、被疑者は釈放されます。
先述のように、勾留請求が認められると最大で20日間勾留され、その間検察での取調べを受けることになります。
その取調べの結果「起訴猶予」を与える、もしくは「略式起訴」にする、という判断になった場合、釈放されます。
略式起訴とは「起訴」の一種ですが、実際の裁判は行わず、起訴→量刑の決定(罰金刑のみ)を書類上ですべて終わらせる簡略化された手続のことです。
起訴猶予については下記記事も合わせてご参照ください。
起訴され、かつ起訴後勾留が行われた場合でも、「保釈」が認められると身体拘束から解放されます。
保釈とは、裁判所に一定の金銭を渡し身体拘束から解放される制度です。
保釈に際しては、被告人が公判に出席する等の条件がつき、これを破った場合には預けた金銭が没収されることになります。
起訴後勾留された場合、被疑者は保釈請求を行って、身体拘束からの解放を目指すことになります。
「弁護士」は依頼を受けたタイミングに応じ、勾留期間がなるべく長引かないよう、さまざまな方法で本人の身柄が早く釈放されるよう弁護活動を行います。
検察官から裁判所への「勾留請求」の却下を求める場合、弁護士は却下の可能性を十分に検討した上で、
などの必要書類を準備して裁判所へ提出し、判断を仰ぎます。
勾留請求は逮捕後3日以内に行われるため(それ以上の身体拘束を求めるのが「勾留請求」です)、勾留を阻止したいのであれば、逮捕後できる限り迅速に書類を作成し、提出する必要があります。
なお、逮捕後3日間は被疑者は弁護士以外とは面会ができません。
そのため、逮捕されたら(もしくはされそうになったら)できる限り早期に弁護士に面会を依頼し、本人の意向を確認した上で釈放に向けた手続を進める必要があります。
勾留請求をされ、裁判所もそれを認めて勾留となってしまった場合は、釈放のために「不起訴」を目指すことになります。
不起訴処分とは、裁判にかけられずに事件が終わることです。不起訴が決まった時点で被疑者は釈放され、前科も付きません。
一般的に、不起訴を目指すには「被害者との示談」が必要です。示談とは、被害者に示談金を支払い、犯罪事実を許してもらうという当事者間の和解を指します。
示談したからといって必ず不起訴になるわけではありませんが、起訴される確率はぐっと下がります。
しかし、痴漢事件などの性犯罪の場合は相手方の被害感情が強い場合も多く、本人はもちろん家族などが直接被害者と示談交渉をするのは現実的ではありません。
とはいえ「弁護士さんとなら話をしてもいい」と譲歩してくれる被害者も多く存在します。
示談には時間がかかることもありますので、不起訴および早期の釈放を目指すのであれば、早めに弁護士に依頼するべきと言えます。
不起訴となって前科もつかず釈放されるのがベストですが、状況によっては不起訴に持ち込むのが難しいこともあります。
その場合は「略式起訴」に持ち込み、できるだけ早期の釈放を目指すこともあります。
痴漢・盗撮など、比較的軽微な性犯罪は罰金刑の場合もありますので、「略式起訴」に持ち込める可能性は十分にあります。
本来であれば制式裁判が相当である事件でも、弁護士が示談を成立させたことで略式起訴にとどまる、という場合もあります。
通常の起訴がされると、あとは裁判が行われるのを待つことになります。
しかし、裁判が終了するまで勾留され続けることは、本人にとって負担が大きいものです。
被告人(起訴されると「被疑者」から「被告人」に呼び方が変わります)には「保釈」を求める権利があります。
保釈を希望する場合、下記の必要書類を準備して裁判所に保釈の請求を行います。
保釈の決定が出ると、保釈金を支払った上で、早ければ請求から2~3日で保釈されます(場合によっては却下されてしまうこともあります)。
保釈後、裁判所からの呼び出しなどにきちんと応じ、特に問題なく手続が進めば、裁判終了後に保釈金は全額返還されます。
もっとも、手続の途中で証拠隠滅や逃亡などを謀ったりした場合、保釈金は没収され戻ってきません。
逮捕され、その後勾留期間が長くなると、勤務先で解雇されたり、学校などに痴漢で逮捕された事実がばれてしまうなど、その後の生活が非常に心配になると思われます。日常の生活に一刻も早く戻るために、早い段階で弁護士へ依頼することが必要です。
刑事事件はとにかくスピードが命です。弁護士への依頼が1日遅れただけで、勾留期間が20日延びてしまうという可能性もあります。
家族が痴漢で逮捕されてしまったら、早急に弁護士への依頼を検討しましょう。